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終末週末紀行  作者: 和寂
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あさ

こちらは以前投稿していたものを再編集して投稿しているものです

以前のものはカクヨム様のほうに残っているので良ければどうぞご覧ください

一部設定ごと変わっていたりします

『──続いてアリアラ地方の気象情報をお伝えします。ネクリュースの天気は快晴のち曇り。最高気温は10℃最低気温は-4℃。フォアリヴェクは終日曇り、最低気温は6℃最低気温は-5℃。ノクリマリアは曇りのちあられ、最高気温はー5℃最低気温は-14℃。久々に晴れるところがあるので午前中に外へ出られる方はお気をつけて。以上天気予報でした。TYSラジオが午前10時をお知らせします。──』


陽気なコメンテイターが朝のバラエティー番組を始めたのでラジオを切った。



今日は半年(9ヶ月)ぶりに晴れるらしい。しかもよりにもよって快晴ときた。

晴れになると、宇宙(そら)から諸々(もろもろ)の宇宙線が減衰(げんすい)せずに降り注ぐ為、外に出るには防護スーツを着用しないと半日ほどで死んでしまう。

だが、|運の悪いことに《Unfortunately》今日買い出しに行かないと食料と燃料が尽きて死んでしまう。

だが防護スーツを着るのはめんどくさい。が、死にたくはない。


朝っぱらからかなりレベルの低い悩みをしていると、呑気な妹が起きてきた。


「んー……おはよう……」

「おはよう。テーブルの上にご飯あるから早く食べな? もう10時になったぞー」

「えー、ちゃんと起こしてよー……」


何回起こしても起きなかったのはどこのどいつだ。

「いいから早く食べろ。10時半から授業だろ? 俺は買い出しに行ってくるからちゃんと準備して出席するんだぞ」

「わかったー」


わかってないようなわかってないような返事をしながら食べ始めた瑠奈を横目にそそくさと防護服を着る。


『じゃあ行ってくる。ちゃんと授業出ろよ』

「はーい……」


たぶん帰ったら寝てるだろうなと思いつつ家を出る。


二重の機密扉を抜けて玄関を出ると、そこにはどこからか流れてきた瓦礫(がれき)やらが(ひろ)がっていた。

うへえ。後で()けないと。

げんなりしながら玄関のタラップを蹴って瓦礫の山を飛び越える。防護服のパワーアシストがなければこんな動きは出来ないな。


道を(しばら)く南に行って大通りに出ると、朝っぱらから人影があった。

こんな天気(晴れ)なのに朝からご苦労さまです。俺も。


そのまま大通りを東に行くとさらに人が増えてきた。今日は何かイベントがあるのか?


『おや? これはこれは大地どのではないですか』

後ろから声を掛けてきたのは不審者、ではない。まあ防護服の中から見えてるし。


『やあやあ康太殿。御機嫌(ごきげん)(うるわ)しゅう』

『こうも天気がいいと気分が晴れますなあ!』

『このところどんよりとしてましたからなあ』


急に黙ったので振り向いた。

『なにこの茶番』

『お前が始めたんだろ』

いきなり正気に戻るな。


この不思議生物もとい変なヤツは『おい』井上康太、同じ哨戒班(しょうかいはん)の同僚だ。

いつも何かと陽気で、職場のムードメイカーといったところだ。 ……ただ呑気なだけとも言えるが。

まあ変なヤツだ。

『お前いま結構ひどいこと考えてただろ』

『まさか。お前の為人(ひととなり)に感服してたんだよ』

『ぜってー嘘だ』


全く。こういうところだけ勘が良いんだ。



そういえば、こいつは何しに外に出てるんだ?

こんな天気でわざわざ外出する理由なんてそうはないはずだが。

『お前も買い出しに来たクチか?』

『いーや、支部の方から招集を受けた。緊急だとよ』

やれやれと言いたげな感じで首を振る。

あー、AGEの出現か。

朝っぱらからちらほら人がいるのは恐らくそれだな。


『時間外労働、誠に御苦労様(ざまあねえ)です。給料分はちゃんと働けるといいですなあ』

『てめえ、いつ俺が給料泥棒になったんだよ』

『いやでもいっつも玲華にスコア取られてんじゃん』

『そういう意味かよ。……お前からもなんか言ってくれよ。あいつお前の言うことしか聞かねえじゃん』

『大丈夫。ちゃんと言ってある。康太のスコア(かす)め取れるタイミングをな』

『おい! てめえの仕業かよおお!!! クッs


雑音(ノイズ)が酷くなったので通信を切断した。

さてお買い物に行こう。 


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