イチロー
密集しているとも、散開しているとも言いがたい、疎らな間隔で突撃してくるAGEに対して、特にこれといって効果的な戦術はない。ただ撃破あるのみ。※諸説あり
自動で割り振られたマーカー3の中型に、角度を付けながら突っ込む。まァ、今は後ろが佐藤さんだから余程のことがない限り致命的なミスにはならないっしょ。だから思いっきり踏み込んでいける。
スラストレバーを上げながら、セレクターレバーを一度武装切り替えに入れてインパクトハンマーを選択し、|背部ユニットコントロール《 右下 》に入れる。下段にハンマーを構えつつ、スラスターを振りながら慣性に抗わずにトリガーを引き、機体の重量も載せながら水平に振り抜く。
ハンマー内部のリボルバーが回り、そのまま次の目標へ。
右下に振りぬいた格好から、ハンマーの予定軸線上に中型が来るようにスラスターを揺り戻す。っと思ったら慣性が少し足りないんで、慌ててコントロールレバーのシフトスイッチを押し込み、右二三番《右手中指と薬指のボタン》を押さえながらコントロールレバーを引くことで右脚を畳む。
コンマ3秒差で間に合ったインパクトに合わせてトリガーを引き、胴体ど真ん中を抉って振り上げられるハンマーを確認しながら周囲モニタに目をやると、僕の機体の背後に敵が回らないように潰しているのがわかる。うっは、こっちは目の前の敵とその次くらいまでしか意識が向かないのにさすがだァ。思わずリアモニタを見ると、二匹まとめて薙ぎ倒している佐藤さんの機体が目に入った。うわぁ。流石Rd型、というよりは佐藤さんの腕だ。
Sa型はどちらかというとトップヘヴィの機体なので、Rd型と違ってセレクターをボトムに入れてガシガシ動くことは少ない。井上先輩はあれはヤバい。
なにはともあれ、この群れは次の中型で終わり。左右に振り子のように重心を振って、相手の様子を伺う。右腕から何か飛ばそうとする予兆を見てから、敢えてそちら側から突撃する。ギアをアッパーに入れて前傾姿勢を取りつつ回避し、機体を起こしながらインパクトハンマーを起動する。抜刀術ほど大したものじゃあないが、それでも、よくモーメントの乗った一撃がAGEをカチあげる。
『マーカー8撃破確認。マーカー情報クリア。流石だな』
「佐藤さんが言うと嫌味にしか聞こえないっすよ」
『嫌味が聞きたいならいつでもいいぞ』
「うぇ、いや、大丈夫っす」
『戦況モニタから目を離すなよ。恐らく次が来るのは俺たちが撤退行動を始める時だ』
「うっす」
『とりあえずここで待機』
「はーい」
また生き延びた。それを今は喜ぼう。
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