電子ツール騒動
電子ツールとは専用のプログラムを現実の物質として具現する、学園都市の代表技術、
こちらは電子召喚獣のように、際立った大型化は出来ないために建造物や乗り物に使うことは出来ないが、ある程度のシンプルな携帯品として重宝されている……勿論、構築する際にはモデルが必要であり、物質として成り立つ構造であることが前提。
学園都市の必需品であるDーPhoneを通じ、具現されるため荷物がかさ張ることもなく、消耗品としても使用ができて、使用制限が掛けられるため安全面でも保証付き。
さらに言えば、既存の物質にも影響を及ぼす研究もなされており、果物や野菜の品種改良、そして限定された空間内で環境そのものを造り上げる研究もされている。
そして、一般的な携帯品では特に必要にならないが、プログラミングの構築次第では特殊な効果が付与できる等、DIEシステム専攻研究者は日々研究を重ねている。
「はい、出来たぞ」
久遠光一
DIEシステム専攻の学生で、やや色白の痩せた体躯の少年。
電子召喚獣、電子ツールの研究を行っており、裕樹の六本の太刀”六道”のメンテも行っている。
受け取ったDーPhoneから太刀を具現し、裕樹がまず1本を手に一振り……それを6回
「うん、いい調整だ」
裕樹の愛刀”六道”、6本1組で1本1本に前述の特殊な効果が付与されている武器であるが、作り事態も裕樹の本気に耐えられるレベルで、電子ツール製の武器としては最上位に位置する程に強固に構築されている。
「それとダンナ、これ」
次に龍星の前に、ドンと武骨な装甲板……取っ手が着いていることから、シールドが置かれた
「? こんなの頼んでないが」
「試作品。それと……」
光一がDーPhoneを操作し、情報網……研究者の意見交換の掲示板を表示
「重火器の電子ツールデータが、大量流出してる?」
「内容は拳銃……どころか、アサルトライフル、マシンガン、対大型召喚獣用のRPG……しかし、こんな大量の」
一応、学園都市で学べないことはなく、あらゆる分野での企業も学園都市への支援が行われている。
その中には各国国防総省と取引している軍需産業もあり、電子ツールのモデル提供とデータ収集を目的として、本物こそ提供していないにせよ、電子ツール開発に援助を行っている。
「この物語はフィクションです、実在する団体、施設、人物は一切関係ありません」
「いきなりだな」
「試し斬りがてら、ちっと調べてみるか。内容が内容だ、とんでもないことになりそうだ」
「手を貸すぞ」
……戦いの臭いがする。
そう呟いた裕樹の口角は、笑みを浮かべていた。