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学園都市の混沌(3)

 ヒュンッ!


「!」


 風を切る音と共に、裕香とアサヒ目掛けた攻撃を裕樹の剣が一閃。

 弾かれたムチが宙を舞い、其が手元に引き戻された。


「ひっ!」

「…………!!?」


 突然の事だったが、自分達が狙われた事を理解し、裕香とアサヒが悲鳴をあげる。

 二人をつぐみ、みなも、ひばりが抱き抱えるようにして下がり、裕樹が車イスで前に出る。


「流石に、深手を負っても最強は伊達じゃないか」

「不意打ちで子供狙うようなやつの一撃、通用されてたまるか……鬼畜軍曹ジョン」


 振るわれたムチーークヌートを手に、グリーンベレーの服装と、ナイフに拳銃、手榴弾を装備した男。

 通称、鬼畜軍曹ジョン……軍人のスタンダードな先頭スタイルだが、周囲の被害を楽しんで出すことから、そう呼ばれている。

 

「……お前、今明らかに裕香ちゃんとアサヒちゃんを」

「ガキは泣きわめくのが仕事だ。それに、弱いものいじめは楽しむものだろう」

「成る程、だから鬼畜軍曹か……なら、早めにご退場願った方がいいか」


 龍聖とクロが臨戦態勢をとり、ジョンと相対……


「ーー!」


 に割り込むように、響く銃声。

 龍聖とクロは、咄嗟に自分達を狙った銃弾を回避。


「! ダンナ、クロ、後ろ!!」


 裕樹の声に振り返り、2人は跳弾した銃弾を回避した。


「まずはお前だ、榊龍星!」

「お前、卑劣漢ダン!」


 そこから続けるように、銃を撃っただろう男……卑劣漢ダンが、龍聖との距離を積めた。

 龍聖は咄嗟に迎撃しようとしたが、其の迎撃の腕を弾かれ……


「分厚い筋肉だが……」


 ドンッ!


「!? がっ……!!」

「この一撃は発剄だ。直接内蔵に叩き込まれる衝撃の前では、意味は無い」

「ぐぅっ……あの時は、よくも芹を!」

「俺だって残念だぜ、あの綺麗な声で上がる悲鳴、サイコーだったのに声を失うだなんて」


 左手に口径が大きい特殊な銃を握る、スカジャンを羽織った男、卑劣漢ダン。

 自身で作成した跳弾しやすいよう設計した、電子ツール製の銃弾と拳銃で相手の動きを制限してなぶり、最後は中国武術、発剄で止めをさす。


「榊さん!」

「おっと、男装の麗人さんは、俺の相手してくれよ」


 ムチの一薙ぎが、咄嗟に駆け寄ろうとしたクロを遮った。

 その片手で拳銃を抜いて、ジョンが構えをとる。


「言っとくが、軍曹と呼ばれるからには、普通に戦ってもそれなりに強いぞ」

「みたいだな」


「……まずいな、2人とも相当強い。2人がかりだったら、俺が万全でも手こずりそうだ」

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