朝霧裕樹、出陣
蓮華がクロと名乗り、屋台通りに来てから。
一向に進展がしない探し物に、1つの名が浮上した。
「まずは、この作品はフィクションです。実在する人物、団体、施設等は一切関係ありません……と言うわけで」
「金城カンパニー……ですか。裏金、賄賂、脱税とか、お金関係で黒い噂が耐えないーー」
「嫌な名前だな」
学園都市では、起業も1つの選択肢。
1年で有名企業としての成功もあれば、先代から受け継いでダメにする衰退も、当然存在する。
「金城太……またあのブタかよ。あんま関わりたくないんだけどな」
「知ってるのですか?」
「脳みその代わりに、黄金色の生ゴミがつまったブタだ。生徒会の内部調査で、何度こいつの名前が出てきた事か」
「そんな嫌悪感露なのは珍しいな」
「ブタ肉が食えなくなるからヤなんだよ」
「……どんだけなんだ」
裕樹は基本、仕事に感情を挟むことはしないし、好き嫌いを表に出すことはない。
それ故に、裕樹がこんな悪態をつく所は、ほぼ初めての事。
「けど、どうして足取りを?」
「最近そこが新しい電子ドラッグ開発したって聞いて、調べてみたらその情報が手に入った」
「電子ドラッグ!?」
電子ドラッグ
学園都市で出回っている、電子ツール技術で生成された麻薬。
主に脳内麻薬の分泌を促す物であり、既存の物を変質させて作るものが多く、気づかず中毒になるケースも多い。
「ーーで、俺が情報をつかんだ事は、もうアッチも掴んでる。悪いけど、2人は屋台通りの警護頼む」
「ああっ、任せろ」
「……私たちが責任をもって、ここの人たちに手出しはさせません」
「一応、保安部にも連絡は入れてあるから、万が一もないだろ……俺の留守は頼んだぜ」
ーー所変わって
「ジャマすんぜ」
金城カンパニー事務所は、雇われただろう柄の悪い一団が警備していた。
裕樹はそんななかに、真正面から出向いて……。
「ーーげえっ!? 朝霧!?」
「よおっ、随分とふざけた事企んでるみたいじゃないか、ブタ野郎」
逃亡した者を除いて壊滅させ、いつものように単身突入。
「手応え無さすぎだ。せめて俺を敵にする時くらい、贅沢より安全に金つぎ込め」
「ぶっ、ぶふぅっ……わかった、降参だ」
「……そのブタみたいな息の吐き方やめろ、ブタ肉が食えなくなる」
「ぶひぃっ!! 息だけでそんな言い方ないだろ!!」
「さて、俺からの要求だが、新型電子ドラッグを廃棄しろ」
「無視すんな! ……わかった、廃棄しますよ。すればいいんだろ!」
「……で、こっからは商談なんだけど。これ持ってないか?」
「これ……ああっ、担保として預かった品に、そんなのあったな。けどもう、手元にはないぞ」
「担保ねえ……はい、この数字は何を意味してるかわかるかな?」
「ぶひっ! ぶひひひひっ! 勿論だ」
「……その笑い方やめろ。気色悪いわ、ブタに失礼な気がするわ、ブタ肉に嫌悪感がわきそうだわで、三重の苦痛だ」
「流石に酷いぞそれ!!」




