学園都市の流行りもの
ピコンッ!
「ん?」
学園都市の基本は、ネットワーク技術にあり。
DIEシステム、電子データを現実の物体として具現するシステムにより、それが原著に出ているのが特徴。
学園都市住人の必需品にして、身分証明その物であるD-Phone等のハードから、電子ツールをはじめとするアプリと行ったソフトまで、最新は常に更新されている。
「これって手紙の妖精、メールフェアリーじゃないですか?」
「やっと実用化されたんれしゅね。これって風のシルフ、可愛い」
メールアプリ”手紙の妖精”、通称メールフェアリー
電子召喚獣技術の応用を組み込んだメールアプリで、画面から妖精が通知音と共に飛び出し手紙を広げ、返信の際には音声入力でフェアリーが紙とペンを取りだしせっせと文章作成
メルヘンチックな可愛さで、ダウンロード開始前から現在学園都市女生徒に大人気なアプリである。
フェアリーの種類は、火のイフリータ、土のノーム、風のシルフ、雷のヴォルト、水のウンディーネ。
所有者の電子召喚獣の属性によって、どのフェアリーになるかは決まる
「ーー以上。じゃ、返信頼むな」
音声入力を済ませた裕樹にお辞儀をして、D-Phoneの画面に妖精は入っていった。
一応フェアリーの具現は、端末を開くのが条件なので、いきなり具現と言うことはない。
「まるで絵本の中に入ったような気分だ」
「妖精型なんて、あったんですね」
「一体どなたの電子召喚獣なんでしょうか?」
「いや、聞いたことないな……人形でも珍しい部類なのに、妖精型なんて話題の1つにあがっても、おかしくないはず」
電子召喚獣関係の技術は、必ず元となる電子召喚獣が存在する。
姿形、能力はマスターの成績、経験によって可能性の数だけ分岐するものであり、内容によっては前例のない全くの新しい姿、能力となることは年に1回は必ず存在する。
さらに言えば、一人の人間の学園都市で過ごした時間その物に等しいこの技術は。現存のデータを使用しなければ実用化は不可能と言われている。
「早くダウンロードしたいなあ。私のD-Phoneに妖精が来るの、いつになるんだろ?」
「ああっ、今サーバーがパンクしてるんだってな。事前登録もサーバーのパンクで、急遽先着限定になったとかって」
「そうなんれしゅよ。話聞いてすぐ繋いだのに……今どうかな?」
つぐみとみなもが、サーバーの復旧告知の確認をし始めたところで、裕樹はニュースサイトを開いた。
話題は専らメールフェアリーであり、サーバー復旧の目処は現在たたず、コールセンター大混乱など物騒な話もちらほらと見えていた。
「裕香ちゃんはもってないんですか?」
「いや、持ってない。事前登録とれなかったって残念がってたから」
「あっ、つぐみちゃん。復旧の目処が立ったらしいです」
「えっ、ホント!?」
「……学園都市中の女子生徒ほぼ全員分のアクセスか。こりゃすぐまたパンクしそうだな」
結局、ダウンロードサーバーのパンクが相次ぎ、学園都市の機能麻痺発生という事態に発展
学園都市最高権力、生徒総会によりダウンロードページにアクセス制限がかけられる事に
「……すげえなおい」
「まさかここまでなんて……」
「ビックリれしゅ」
つぐみとみなものD-Phoneに手紙の妖精がやってきたのは、それから1週間たった頃になった。




