ブラックマーケット訪問
学園都市の流通には、当然のように裏が存在する。
学園都市の規則上では禁止されてる品……例えば、年齢制限がある物に盗品、DIEシステムの違法技術に危険度の高い電子ツールのデータ。
一般生徒では足を踏み入れる事がなければ、あってはいけない……それが、学園都市ブラックマーケット。
「やっぱり、まだ情報はないのか?」
「そりゃありませんよ。水鏡家の側近に代々伝わる一品、もし流れたなら断片的だろうと聞こえます」
「わかったーーじゃあ次は、武器商人グールの方は?」
「いいや、全然ですな。電子ツールとは言え、武器商人なんて危険度の高すぎる商売、手掛ける奴はそういませんよ」
奪われた黛家の家宝捜索と、武器商人グールの情報集め。
龍星に留守番……もとい、屋台通りの治安を任せ、裕樹とクロはブラックマーケットの開催場に来ていた。
武装系電子ツール開発は、保安部や生徒会SP、あるいは名家の自衛組織に入るのが真っ当な進路。
そういった組織は学園都市の合法として、ある程度の活動と保証も約束されているので、こう言った武器商人の商売が成り立つことはまずない。
しかし今回のグールの場合、卸す武器の質が高いーー低コスト、高性能な品はどうしても需要が出てくる為、それが此度の騒動に繋がっている。。
「真っ当な場ではないことはわかっていましたが……一般価格の数割り増しに加え、並んでいる品はどれもが質の高い純製品ばかり。一体何処から横流しされているかもそうですが、横流しでこんな暴利を貪るとは」
「問い質したりはするなよ。次の開催がわからなくなる」
「わかっています」
学園都市の盗品は、ほぼ間違いなくブラックマーケットに流れる。
クロにとって優先すべきは、奪われた家宝を取り戻すこと……その為、ブラックマーケットの情報は決して失えない。
「そうだ、ちと女性の勉強でいい本があるんですが、安くしときますよ?」
「へえっ、どんな本?」
「カーマスートラ」
「却下!! いきますよ、朝霧さん」
……インド三大”性”書の1冊




