学園都市の誇るべき力
学園都市は、あらゆる方面で世界勢力の縮図と称されている
世に広く普及された物から、限られた地域の伝統まで、学園都市を通じて世界に広めるべく、様々な物が集まってくるこの場では、今まで世の目に触れることなく、埋もれていた宝物が出てくることも珍しくはない
その中で新しい発想が出ることもあるが、それも決して未来が約束されることなどなく、人の世の未来は、常に人が伸ばした手の先にしかない。
新古入り乱れる中で名を知らしめる……それだけでも至難の道ではあるが、栄華を極められる素質も希に存在する
その一例は……
学園都市外周ハイウェイ
主にバイクあるいは、モノレールが長距離移動手段の学園都市の外周に連ねる高架道路……の上を
<ガルルルゥウウ!!>
大きさは象位はあるだろう、巨大な豹が怒り狂いながら駆け抜けている
電子召喚獣、ただし違法改造を施し、本来の役割ではなく武力行使の道具として機能するもの
一体誰がなんの目的で作成し、放ったかはわからないが、目にした対象に攻撃を仕掛けるそれにより、学園都市の交通が全体的に麻痺する事態。
それを追走するバイクが1つ。
「あれか」
朝霧裕樹
学園都市の武闘派……主に要人警護や武力抗争など、危険度の高い事柄を仕事として請け負う学生
柔術や骨法といった古武術、マーシャルアーツやコマンドサンボと言った軍人体術、そして世界規模の財閥の要人警護の為の英才教育、といったそれらの追随を許さぬ不動の最強
学園都市としては決してあり得ぬ筈の、栄華を極めた実力者である
<ガルァアアア!!>
豹がそのバイクに気づき。攻撃を仕掛けてきたのを、危なげないバイク裁きで回避。
その勢いを利用し、左手で握る具現した電子ツールの刀で斬りつけ、豹の苦悶の叫びのなかで斬られた箇所の確認
即座に修復されていくその手応えを感じつつ距離をとり、バイクを走らせつつ敵を見据え。決して深追いはしない。
「こちら朝霧裕樹、対象との接触に成功。現状でコアの破壊は不可能と判断、予定通りに頼む」
裕樹がバイクを走らせ、それを上回るスピードで追ってくる豹の攻撃。
それをかわしつつ、裕樹はある地点までバイクを走らせる。
備え付けの監視カメラ、遠隔操作のドローン、あるいは小型の電子召喚獣を遠し現状は伝わっているだろう事を確認しつつ、ただ攻撃をかわしては斬る、のヒットアンドアウェイを繰り返す。
「来たぞ!」
「よし、タイミングを間違えるな!」
その攻防を確認した学園都市治安維持部隊、保安部のメンバーが予定していた配置で自身の電子召喚獣と共に、映像と周囲の確認
裕樹のバイクが予定地点を通過した事を確認すると、周囲の保安部員の電子召喚獣がそれぞれの能力を展開
<ガルァァァアア!!>
突然の障壁あるいは四肢の拘束が豹の動きを遮ったのを確認し、バイクのブレーキをかける。
相手の動きさえ鈍れば、と裕樹はバイクから降りて左手の刀を構えて駆け出す
「よし、いける!」
四肢を拘束された豹は、向かってくる裕樹に対して食らいつくこうとし、その開いた口から剣を突き立てられた。
そのまま顎と鼻先を斬りはらい裕樹は豹のコアを両断、豹の姿は砕け四散していく。
「ーーふぅっ」
ヘルメットを脱ぎ、一息
周囲のカメラ、ドローン、電子召喚獣を通じて今、保安部やニュースサイトに広まっているだろうこの光景に、笑みを浮かべる
これが、学園都市のあり方。