秋の一日
学園都市の秩序は、割りと乱れやすい。
日常生活におけるいざこざから、政治的な権力闘争まで、人の営みから起こり得るいさかいに加え、DIEシステムという可能不可能の境界線が曖昧なものの存在に、競争が推奨される場所。
それらもあってか、上流階級や各区画の自治体は自衛戦力、それを生業にする民間武装企業などの、話が拗れた際に武力衝突になることは決して珍しくない。
当然だが、そういった手段が正当として認められている訳ではなく、そう言った武力行使と違法集団相手の自己防衛の違いを始め、その辺りは色々と制約や罰則もある。
「ちなみに竜星のダンナは、屋台通り運営委員会の雇われって形」
「そう言えば、裕樹はどういう立ち位置なんだ?」
「クーポンとかが報酬の、ほぼボランティア。ここ居心地いいし、裕香とアサヒも気に入ってるから」
故に学園都市治安維持組織、保安部は勢力としては最大級であり、12の機動部隊所属者は心身ともに高水準が求められている。
そして、これらの組織に欠かせない人材とは、強い武闘派と優秀な電子ツール開発者。
「で、今回の話……武器商人グール」
「名称以外は現状一切不明、か。気に入らんな、武器商人に良いようにされると言うのは」
「同感、けどどの騒動でも尻尾つかめない現状じゃ、迂闊に動く訳にもいかんだろ」
「裕樹の言い分もわかる。わかるが……」
場所は屋台通りで、2人はかき集めた落ち葉で焼き芋。
「のんびりしすぎじゃないか?」
「だったらダンナ、宛もなくうろちょろする?」
「……わかった。そろそろ焼けたんじゃないか?」
「よし、じゃ頂きます……うん、焼き芋は美味いが、男2人でやることじゃないな」
「ああっ……女か子供がいなきゃ、絵的にアウトだこれは。焼けるだけ焼いて、差し入れにでもするか」
と、雰囲気的にきついものを感じた2人は、焼き芋をさっさと食べて用意してた焼き芋をせっせと焼き始めた。
「妹逹は?」
「アサヒは昼寝。裕香は学校のハロウィン行事の準備」
「クロは?」
「用事で出掛けてる……やっぱ、現状辛いだろうさ」
「まだ足取りが掴めていない所に、この騒動だ。心配するなと言う方が無理か」
黛蓮華がクロとして、屋台通りに来てから。
今はすっかり馴染んでこそいても、やはり本来の使命と定めた場所ではない。
「傍に居なきゃいけない時に、行くことが許されない……ってとこかね」
「そう考えると歯がゆいな」
「まあこっちも、腰を据えて構える以外はないだろ。気分悪いのは同じさ。女の苦痛なんて、体重計の上だけで……」
閑話休題
「……いってえ」(フクロにされた)
「一日一言とまで言わないから学習しろ、頼むから」
「努力します」




