ハロウィンの屍喰鬼行進
学園都市がハロウィンに向け、色々と準備に勤しむ時期が近づいた。
イルミネーションだったり、仮装衣装だったり、お菓子だったり……
「…………ハロウィン……カボチャ……パイ、食べたい」
「アサヒちゃん、最近食欲旺盛だね」
「…………おしょくじ、おいしい……しあわせ」
「アサヒちゃん、パンプキンパイが食べたいの?」
「わかりました。今からつくってあげましゅ」
少々違うかもしれないが、純粋にお祭りを楽しみにしている、初等部達の楽しみな姿だったり。
学園都市の格言、文化の発展はイベントにあり。
それに従い、学園都市はあらゆる分野がハロウィンに向けて、奮闘していた。
しかし、平和は突如として崩れるもの。
学園都市は原因不明、正体不明のグール型電子召喚獣が大量発生し、全体的に無差別襲撃という事件が起こっている
『ギュオオオオオオオッ!!」』
ここ、屋台通りでも……
「早く避難を!」
「行かせるか!!」
2mを越えてはいるが、枯木を思わせる細い身体で牙と爪を構えて、のそのそと前進する、
一体一体が強く、数もあってかクロと龍星は苦戦を強いられる
「邪魔だどけ!」
そう、クロと龍星は苦戦を強いられる。
「……つくづく信じられない、デタラメな戦闘力」
「戦闘に集中するぞ、気にしてたらキリがない」
剣の一閃で数体を切り払い、蹴りでも数体を吹き飛ばす
そして俊足とジャンプ力を駆使し、避難に危害が及ばない程の広範囲を攻撃。
避難が終わり、いざ……
「……またか」
と言うところで、パキンっとガラスが割れるような亀裂が、グール達に現れる。
違法改造を施した電子召喚獣の実体化を強制解除をした時の現象であり、ガラスが砕けるように消滅していく。
「避難が終われば即退散……毎回こればっかだ、いらつくな」
「イベントの妨害、いつもの事ではありますが他の区画でも同じ、と言うのは」
「更には無差別なのがタチ悪い」
ハロウィンイベントの妨害
それ以外に全く意図がわからない襲撃事件に、学園都市全体が頭を悩ませていた。
被害は物的破損のみで、調査結果も完全な無差別襲撃な為、容疑者どころか目的もが絞れず保安部も調査が難航中。
「で、調査はどうだった光一?」
「今回も同じだ。資金に物資の流通、商売上の対立関係、被害状況……どれもが完全に無差別」
久遠光一、屋台通りでケーキの屋台経営と、DIE専攻科で研究に勤しむ学生
彼の電子召喚獣、柴犬型のシラヒメが被害区画を、光一がデータ関係を洗って調査しーー共通点は見つからずじまい。
「本当に、それだけだったのですか?」
「本当にそれだけ。手がかり、になるかはわからないけど、これさっき見つけた」
そう言って、光一は小さなタグを取り出した。
そこには……
「グール、だと? これまさか……」
「ああっ、ちょっと前の騒動で使われた重火器型電子ツールを売りさばいていた大本」
「それって武器商人か? まさか、商品のプロバガンダとでも?」
「……でしょうね。イベント準備は多くの人が関わる以上、人目がなければ宣伝にならない」
「となると現状で、簡単に尻尾はつかめないだろうな。仕方ない、シャクだが今は守りに徹するしかないな}
「見回りを強化しましょう。今はそれくらいしかできません……お嬢様は、大丈夫だろうか?」




