学園都市食料自給について
学園都市で学べないことはない
それは決して比喩ではなく、目立ちはしなくても学科も施設も存在する。
例えば……
「へえっ、ここがファームなんだ」
「結構広いんですね。でも話に聞いた通り殆どがビニールハウスなんれしゅね」
学園都市の食料事情は、外部からの輸入と食料自給施設、通称ファームの2つに別れている。
パーセンテージで言えば、一般的な物から高級品までと量や質では外部からの輸入が勝っているが、学園都市の農業科、畜産科といった学生による食料自給施設はある試みが行われている。
それは、DIEシステムによる環境設定ーー特定の季節、あるいは地域でしか育たない作物の栽培、独自の品種改良の実験施設という面も持っている。
本日つぐみとみなもは、屋台で出すお菓子の為のフルーツ、野菜を直接みに裕樹に伴われファームに来ていた。
「…………zzz」
ーーその裕樹の背中では、アサヒが寝息をたてている。
「なんだか、コアラみたい」
「知ってるか? コアラってナワバリ意識強くて、その場からあんま動かない動物なんだってさ」
「尚更ですね。それじゃえーっと……」
「手続きはある程度すませてあるから、個人で見て回ろう。アサヒの食育のためもあるし」
「アサヒちゃんの? 確かに、普通以上に少食ですから、大変でしょうけど」
「…………んにゃ?」
おはよう、アサヒちゃん。
その一言で、一旦話はおしまい。
所変わって、ファーム卸売り取引場。
卸売りのための手続きの場で、つぐみとみなもは並べられた試食品を食べながら、購入の検討開始。
「結構色々とあるんですね。ヤシの実は知ってましたが、まさかマンゴーまで育ててるなんて」
「……ドリアンはもっと早く注意してほしかったれしゅ」
「確かに、思ったよりきつかった……で、ご満足いただけましたか、お嬢様がた」
「早く調理したいれしゅ」
「うん、搬入されるのが楽しみ」
つぐみとみなもは、満足と言う顔で頷いた。
「…………くだもの、おいしい」
「気に入ったのはあるか?」
「…………これと、これ」
「じゃあ今日のデザートに3個ずつ……と追加発注で、今度これで何かつくってもらえないかな?」
「いいですよ」
「アサヒちゃん、楽しみにしててね」
快く引き受けたつぐみとみなもに向けて、アサヒが笑顔で頷いた。
そこに……
「失礼しま……あれ、裕樹さんたち」
「あれ、ひばり? どうしたんだ。こんなところで」
ひばりは、食品衛生栄養管理科に所属する。
業務は外部からの食品の検品と安全調査が主な仕事だが、ファームにおいても同様の職務がある。
「仕事ですよ。新しく品種改良に成功した品の安全調査、流通許可に関して」
「へえっ、安全調査はとにかく、市場流通関係まで仕事に入ってるのか。こっちは屋台の買い出しと、アサヒの食育。今からは野菜の吟味、かな」
「うんうん、食育は大事だよ。それでアサヒちゃんは、何が気に入ったんですか?」
「…………これと、これ……」
「で、次は野菜なんだけど……へえっ、大根が豊作なのか。なんか大根サラダが食いたくなったし、買って帰るか」
「…………だいこん……にもの、食べたい」
「おっ、いいな……大根のうまいレシピ、教えてくれない?」




