初め語り
「皆さんお久しぶり、或いは初めまして。僕の名は東条太助、主に医療の発展を志す平凡な男……の成れの果て。いや、人にすらなれなくなった異形、かな」
あるいは魔王、あるいは復讐者、あるいは獣、あるいは自滅機構、あるいは……
「いや、失敬。まずこの物語だけど、理想の未来都市モデルの研究、という巨大実験場を前提とした学園都市を舞台に、ありふれた日常や競争の厳しさ、そしてこの学園都市内のみで稼働するDIEシステム、簡単に言えばネットワーク上でプログラミングされたデータを、現実の物質として具現できるシステム下での日常をストーリーを綴ったものだ」
電子召喚獣
学園都市の住人にとって、生活を補助するパートナーであり分身とも言える存在であり、其々に風、火、雷、土、水と言う属性に基づいた特殊能力を持っている
入学と共に、レッサータイプと呼ばれる球型の幼体のマスターとして登録され、学園生活を送っていくなかで共に自我を形成し、通常種、古代種、幻獣種と呼ばれる3つの形態に分岐する。
特徴として、通常種は現実に存在する動物の姿をとり、比較的数が多く汎用性に優れた形態。
古代種、今や絶滅した動物の姿をとり、パワー等の出力に優れた形態
最後に幻獣種、空想上の生物の姿をとり、学園都市でも数が少ない特異な能力をもつ形態
本来はロボットに搭載する人工知能として開発された物の発展型で、あるいはの分岐としてあげられた技術。
電子ツール
DIEシステムにより物質として具現した、デジタルデータ。
実在する物質としては脆いが、特殊な付加効果をつけることができ、主に保安要員の支給武器として使われている
この応用として、既存の物質の成分変化技術として確立させ、品種改良の研究なども行われている。
「主にそれらが、学園都市の基盤となる技術だ。そしてもう1つ、学園都市の特徴……それは、学生たちによる自治都市を舞台とした競争」
学園都市と銘打たれたこの場所は、あらゆる可能性を許される。
学生による行政機関を始めとし、全てが学生…初等部、中等部、高等部の学生により運営される都市。
そして文明の産物、学問、スポーツ、芸術、研究という個人の物。
果ては政治、経済のような社会的組織としての物まで、盛者必衰、下克上は必要最低限の常識とする、あらゆる競争の場が繰り広げられる場
「ただ楽しむ為の、穏やかな道もいい。そして、多くの狭き門を踏破し、たった1つしかない頂点の座を目指すのもいい……それこそ、自らの魂の行方は、自己責任という選択」
高度に発展した科学技術は、魔法と区別がつかない
「DIEシステムはまだ、不可能と可能の境界線が定義されていないシステム。それがもたらすのは、恩恵だけじゃない……社会として、人という種として、向き合わねばならない事態も起こり得る」
ーーでは、ここまでにしよう
「この学園都市で暮らす人たち、その暮らしを読む人たち、僕のちょっとした小話に付き合ってくれてありがとう。あなたたちがどんな道で、平穏か挑戦かのどの生を選んだ人かはわからないけど、それが人から祝福される物でありますよう、願います。では、この学園都市のどこかで、会う日があればまた話をしましょう」




