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古着屋の小野寺さん  作者: 鎚谷ひろみ
sweet&sour
11/52

8 桜の季節過ぎたら#1

久々に投稿しました。最近、忙しくて……、あとはこの話を描くのに以外に苦戦してるので……。でも、勿論楽しんで書いてます。

今回は服よりクラス替えの後ってどういう感じだっけて所で悩みました。

では、どうぞお願いしますm(。_。)m

8-1 ばい! ばい!!





「あっやばい! スマホを忘れた 」

きっとさっき……いつも通り古着を見てる時、スマホをいじりながら見てたから、棚の上とかに忘れたのだろう。


僕は急いで『ニュートレジャーアイランド』へ戻った。もう、閉店時間だろう。

小野寺さん、まだ居るだろうか……と思い店前に着いた。

店はまだ明かりがついている。自動ドアも開いた状態だった。


その時、バックから振動を感じ、バックの底を見た。



『何時くらいに帰ってくる( ・`д・´)?』



母からだ。なんだ、うっかりしてた……


『急いで、帰ります( ̄▽ ̄;)』


そう急いで打ち返した。僕のスマホ、黒色だから焦ってると見つけづらいんだよなぁ……

んじゃ、帰るかっ! と思い、歩こうとした。


すると、中から男性の焦ってる声が聞こえる……僕は何かトラブルかクレームなのかと思い、店の中が少し見える位置に、近寄っていった。



店内はたまたま季節を先どるため、セッティングを変える途中だったため……中が少し、吹き通しの様になり見えやすくなっている。

二人は、店の真ん中辺りで話しているようだ。


「千里香! 何でだ! 何でわからない!」

「私はもう、戻る気なんてないの。もう……終わったことなんだよ。」

「いや、俺はぜったい諦めない! 絶対にお前を口説き落とす!」



見える男性はいわば……ピシッとしたスーツ姿。スーツには詳しくはないけど、装いはスゴく高そうな感じ。

身長もパッと見180センチ以上もありそうな身体ががっちりした20代後半だろうか……


そんな男性と話している。



あれ? 内容的に……えっ、痴話喧嘩?! 嘘……あの千里香さんが……


僕は自身の姿が見えないように死角でありそうな外の壁に体を張り付けた。そして息をできるだけ殺し、聞き耳を立てながら少し中の様子を横目で見ながら伺う。


それから、男性と千里香さんとの会話が続く。


「おまえには海外に来て貰う!!」

「だから、もう! 勝手に決めないで!!」


いつもは大概第三者目線で話している千里香さんには珍しく、要所要所普通に話してる感じがした。少しづつヒートアップしてきたのが伝わる。



「待って! 店のドアが空いてるかもしれないから、この話しは閉めてからする……まぁ、私の気持ちは変わらないけど……」

そう聞こえ、ヤバイと思い……僕はできるだけ音を立てないように翻し急いで店を後にした……




えっ、あの千里香さんが……確かに、美人で可愛いところもあって、面白くてミステリアスで何を考えてるわからない……

というかあの人……良い女性の条件をみたしてる!!……そう改めて思ってしまった。

僕は家に帰り、ご飯を食べてお風呂に入り寝る支度をしてベッドに入ってるとき、何故かずーっと小野寺さんの事を考えていた……






季節は春。

僕は二年生になった。ありがたい事に、一条くんと早川さんは同じクラスだ。あと、羽田くんとそのグループの人が何人かいる。

先生も一緒で一年生の時、担任だった桜井先生。でも、やっぱりクラスの半分近くは知らない人がいるのは事実。


やはり緊張はする。


とりあえず、黒板に席順の紙が張られてたので僕はそれを見た。


ぼくはココか……窓際、スゴくいい。何か漫画の主人公みたいだ。前後、お隣は……あぁ、知ってる顔だ。まぁ問題は無いかなぁ……あれ、お隣の人は知らないや……


『荻野目 武國』


おぎのめ……くん? なんか、芸能人みたいな名前だと思った。




そうこうしていると隣の荻野目くんらしき人物が来て、すっと座る。



僕は今回も……こう言う時、やはり、どう反応すればいいかわからなかった。


こちらから挨拶するべきか? もしくは待つべきか……小野寺さんだとどうするのか……僕は悩んだ挙げ句……




「あの、初めまして佐藤です。不束ものですがお願いいたします 」

結局気持ちが落ち着かず、口走ってしまった。



何言ってるんだ……僕……! 不束ものって……何だよ! ていうか何でそんなこと口走ったんだ……あぁ、絶対に変な人だと思われたよ……


すると彼も少し間があってから此方を向く。 此方をまじまじと見て、何かを考えている……


沈黙……何か返ってくるのか……と僕は身構えた。



「ああ、初めまして。荻野目と言います。僕も不束ものですが何卒お願いいたします 」

無愛想ながらも返してくれた。あれ以外にいい人なのかも……


それと、高校生らしかぬスゴく凛々しい顔立ち。そして、とても低音に近い、響く声。


どういう人なんだろう……それと、『荻野目くん』というのに相応しくないほどの落ち着き。どちかというと『荻野目さん』の方が似合う。同い年なのに大人だと感じてしまう。




しかし、この時の僕は知らなかった……この人との出会いがこの先、面倒くさい事になのを。

そしてこの人が僕の人生の中でTOP5に入る変人という事を当時の僕は知らなかった……




荻野目さんに挨拶が終わり数分が経ち、桜井先生が入ってきた。




「ええっと、まぁ、この後どっちみち俺の国語の授業なんで……まぁ、あれだよ。せっかくクラスも変わったし、15分前後使って自己紹介でもしよう。」


生徒たちは、「えぇ~!」「めんどくさい」「恥ずかしい!」「やだ!」等々。

もちろん僕も恥ずかしい……


「いや、わかるよ。でも、アレだよ。クラス変わって勿論知ってるヤツもいると思うし……わざわざ知らないヤツに絡んでもってなると思う。もしかしたらこのクラスで一生話さないで終わるやつもいる。でも、ちょっと待ってよ……今からする自己紹介で新しい友達とは言わないかもしれんが、話してみたくなるヤツがいるかもしれん。あと、大学にいった時や就活の時、就職の時その時々で確実に自己紹介やコミュニケーションは必要とされる事柄だ。だからこれも1つの授業の一貫として、挑んで欲しい。もちろん、強制はしないし、名前だけでもいい。軽く好きなものや趣味や何でもでいい。評価云々はつけないけどね。あと、もちろん『自己紹介は今はしたくない』、『名前だけ』、『少し変わった内容』等の自己紹介でも絶対にいじったり等の事をするな。もし、するとしたらスゴく仲良くなってからだ。でも、仲良くなってるて感じるのは難しいよな。だから相手と仲良くなるときはそのやりとりや関係性を大切にして欲しい。俺はお前たちに、人として『相手の気持ちを考える』『相手の立場に立てる』、大人になって欲しい。あと、相手にやられて嫌なことはするな。そして、別に無理して仲良くはなるな。嫌な事は嫌だと言って欲しい……まぁ、安いそこら辺に転がってそうな道徳な授業ぽっいけど……それは先生からのお願いだ 」


その後、クラスの一人が好戦的に手を上げる

「せんせーい! 先生の後半言ってる事って、綺麗事じゃないっすか~? 無理とは言いませんが守るのや実行するのって難しくないっすか~?」


その生徒の言い方で、数人がクスクスと笑う。そんな中……先生は、落ち着いた様子で少し考えてから口を開いた。

「うーん、そうなんだよね。綺麗事だ。でも、現実にしたいじゃん。俺含めみんな綺麗事が好きじゃん。それに、1人1人が他人を考えて思いやってくれる事が大切だと俺は思う……そうすれば、誰も傷付けることないだろ? 確かに、傷付く事は人を成長させてくれるかもしれない……でも、簡単に人を殺す事もある……それは、相手を含め、自分でもあるし、身体でもあるし、心でもあるんだ…………ならさ、そんな事になる前に……自分が言いそうになる言葉を考えてくれ……考えない事より考える事を増やして欲しい。相手の傷付く姿を想像して、その傷を自分で背負ってから言葉を紡げ。優しい人になって欲しい。せめて、みんなはそうあってくれ 」


先生がゆっくりだがさらっと言った事……そして先生の目が僕たち生徒を静まらせる。

まるで現実味を帯びた、その言葉が僕たちを納得させた。



「ちなに、さっきの綺麗事の下りは某有名な特撮平成第一作目の主人公が言ってた事だから少し拝借した。覚えておくように! そして、後半の言葉は俺のオリジナルだ。 いや、良いこと言うよな俺~」


さっきまでのいい雰囲気が台無しだ……


「あとは、最長で一分な! あまり長引くと……バレたら……先生が色んな人に怒られるから……そして、自己紹介しずらいと思うから俺からする……」


桜井先生は手を後ろで組み、まるで応援団のような立ち方をした。

「桜井雄輔! 34才、A型。趣味はランニングとプラモ、スマホゲーム、料理だ。彼女はいません!」

そのあと、勢いよく頭を下げ、

「だから、誰かいい人いたら紹介してください!お願いします!! 」


場は静まりかえる……


うん、僕たちはどうすればいいのか……っと……そのあと先生は何事もなかったかのように

「んじゃ、出席番号順で行こう 」

と言った。


先生……どんどん先生の評価が上下しまくってますよ……



そして、このクラスの自己紹介が始まった。個々がそれぞれの自己紹介をやっている……荻野目さんの番が来たとき、

「荻野目です。お願いします」

そうやって、あっさり終わる……



それで、なんやかんや僕の番が来た。緊張はする……でも、ただ僕をしってもらえたらいい。理解はされなくていい……僕には大切な友人がいてくれてる。


「……佐藤一成です。趣味は多趣味といいますか……サブカルが基本好きです。最近は……古着屋に行くことにハマってます。服が好きです。お願いします 」


「佐藤はお洒落だからな 」

「いや、確かにそうだなぁ 」

等々、羽田くんあたりが言ってくれている。


僕は少し恥ずかしかったが理解してくれてる人達もいる……そこには嬉しいものがあった。


まぁまぁ、シャイな僕にしては及第点は言っただろう……と思い席に着いた。


次の人に自己紹介が移ろうとした時、荻野目さんが手を上げる。

「すいません、もう一度自己紹介し直してもいいですか?」

「あぁ、もちろん 」

「荻野目武國です。趣味でプログラミングと絵を描いてます。あと、僕も服は好きで休みの日は服屋に観に行ったりしています。宜しくお願いします 」

彼は堂々と言った。


周りは少し沈黙の後に、1人2人と拍手が増えていった。荻野目さんは席に座るときに此方を見た。この人は何がしたいのだろう……と思い、僕は顔を反らし窓を見た。





休憩時間、何となく荻野目さんが気になったので質問してみる事にした。


「あの~」

「うん、何?」

「さっきなんですが……何で最初は趣味とか言わなかったんですか?」

「いや、なんとなく……」

「そうなんですか……」


沈黙が流れる……


「えっと……服、好きなんですか?」

「まぁ、人よりはね 」

「どういうブランドが好きなんですか?」

「えっ、あぁ……言ってもわからないよ……佐藤くんも服、好きなんだ 」

「えっ、はい! 結構古着屋に観に行くんですよ~!」

「ふーん、古着屋か……」


そこで会話が途切れる。話すことも思い付かず、、

「あっ、ありがとうございます 」

と僕は告げ、前を向いた。






後日、『ニュートレジャーアイランド』で小野寺さんに話しかけた。前回のスーツの男の人との会話内容は気になるがそれより、なんとなく荻野目さんの事の方を言いたくなった。


でも、小野寺さんは上の空……いつもみたいにテンション高くはない。


何か言っても……

「うん……それはよくないね 」

「あぁ、それはアレだよアレ」

みたいな事しか言わなく、今日は調子が良くないのかなぁっと思い、店を後にした。


後日、何回か店に行くが小野寺さんはいない……鈴木さんや田中さんに聞いてみても、

「詳しくは聞いてないけど、本部との関係らしいよ……」

と言われた。

僕が本格的に店に来るようになってからは絶対に会うのに……きっと今は小野寺さんも忙しいのだろう……春だもんな。




桜はまだギリギリ咲いている……でも桜はすぐ散ってしまう。一瞬しか保てないから綺麗なんだ…………




如何だったでしょうか?

一応、4 黄昏の知者の最後の所で呼び掛けてた人物が今回の冒頭の古着屋で言い合ってる人と同じです。

あと、荻野目さん、この後に結構絡む予定です(その前に今回の桜の季節が終わったら少し手を止めます……現実の方で忙しくなるので……)

あと、もともと、これも1話か2話でまとめるつもりでしたが3話構成になりそうです……

では、あととりあえず2話分楽しんで頂けたら幸いです!

今回も読んで頂誠にありがとうございますm(。_。)m!

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