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69/88

69:キャラック船




 馬車に乗って暫くすると、先日訪れた湖が見えてきました。

 海は、湖を通り過ぎて、更に三時間ほど走った先にあります。


「テオ様、また行きたいですね?」

「……」


 あら、まだまだ不機嫌のようです。


「今度は、何日かお泊りで。のんびりと」

「…………どうせ、イチャイチャしてくれないんだろう?」


 うふふ、ちょっとこちらをチラチラと見だしましたわ。


「二人きり、で、ね?」

「っ、んっ!」


 あらま。

 嬉しそうに、ブンブンと頷いていらっしゃいます。

 チョロすぎではないでしょうか?


 


 テオ様の『湖でラブラブ計画』を軽く聞き流しつつ、外を眺めなが話していましたら、港に到着しました。


「まぁぁ! 私、こんなに大きな帆船、初めて見ました!」


 私達が乗るのはキャラック船といって、全長が五十メートル近くありました。

 その他に引き連れて行く三隻がキャラベル船といって、三十メートルほどです。


 こんなに⁉ と思うのですが、相手方も四隻で出航されているそうです。

 それに合わせての数だそうです。


「どうやって相手の船の数や動向が分かるのですか?」

「我らは闇の組織を下僕にし、世界中に置いている。いつ何時(なんどき)も、常に最新の情報を天を舞うキャリアビジョンがもたらすのだ」


(意訳:各国に諜報員を配備している。常に伝書鳩で最新の情報を得ている)


 割と普通の方法で情報を得ていました。

 そもそもが、そこまでの機密情報でもなかったのでしょうね。




 船に乗る前に、テオ様からの厨二病的激励の言葉があり、船員、同行員、騎士たちの全員がキョトンとしていました。


 ――――あぁ、だからこその私の同行なのですね。


 船室は、まさかの、というか、当たり前なのかも知れませんが、とてつもなく豪華な船長室でした。


「王族専用だからな」

「こっちは? あ、寝室なのですね。まぁ、お風呂もあるのですね!」

「なんだ? 気に入ったのか?」

「はい! 凄いですねぇ。初めてばかりでワクワクしています!」


 なんて、元気な時間が、私にもありました……。


 思ったよりも波が高かったらしく、船が揺れる揺れる揺れる揺れる……うっぷ。


「ほら、無理をするな」

「うぅぅ、きぼぢわるぃでふ……うぐ……」

「もう一度、吐いておくか?」

「ふぁひ……」


 ヘロヘロのヘロです。

 夜になって、錨を下ろし停泊していても、グラグラと揺れる船体に、限界を迎えてベッドの住人となっていました。




 ふと、目を覚ますと、船全体が騒然としていました。

 

「ど、したの、ですか?」

「この場所で停泊後、明日の朝に相手側と挨拶し、我が国の領域に入る予定なのだが、何故か追い抜かれた。今から甲板で指示を出してくる」

「がんば」


 これ以上話したら、キラキラとしたものが出そうで、何だかブカツドウを頑張る人みたいな応援になってしまいました。


「ん。ミラベルは、ゆっくりと寝ておきなさい」

「ふぁび……」

「ふふっ」


 テオ様がちゅ、とおでこに軽くキスをして、船室から出ていかれました。

 私はざわめきを子守歌のように聞きながら、眠りに落ちました。




 寝落ちしておりましたm(_ _)m


 次話こそは、明日21時頃に更新します。

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