69:キャラック船
馬車に乗って暫くすると、先日訪れた湖が見えてきました。
海は、湖を通り過ぎて、更に三時間ほど走った先にあります。
「テオ様、また行きたいですね?」
「……」
あら、まだまだ不機嫌のようです。
「今度は、何日かお泊りで。のんびりと」
「…………どうせ、イチャイチャしてくれないんだろう?」
うふふ、ちょっとこちらをチラチラと見だしましたわ。
「二人きり、で、ね?」
「っ、んっ!」
あらま。
嬉しそうに、ブンブンと頷いていらっしゃいます。
チョロすぎではないでしょうか?
テオ様の『湖でラブラブ計画』を軽く聞き流しつつ、外を眺めなが話していましたら、港に到着しました。
「まぁぁ! 私、こんなに大きな帆船、初めて見ました!」
私達が乗るのはキャラック船といって、全長が五十メートル近くありました。
その他に引き連れて行く三隻がキャラベル船といって、三十メートルほどです。
こんなに⁉ と思うのですが、相手方も四隻で出航されているそうです。
それに合わせての数だそうです。
「どうやって相手の船の数や動向が分かるのですか?」
「我らは闇の組織を下僕にし、世界中に置いている。いつ何時も、常に最新の情報を天を舞うキャリアビジョンがもたらすのだ」
(意訳:各国に諜報員を配備している。常に伝書鳩で最新の情報を得ている)
割と普通の方法で情報を得ていました。
そもそもが、そこまでの機密情報でもなかったのでしょうね。
船に乗る前に、テオ様からの厨二病的激励の言葉があり、船員、同行員、騎士たちの全員がキョトンとしていました。
――――あぁ、だからこその私の同行なのですね。
船室は、まさかの、というか、当たり前なのかも知れませんが、とてつもなく豪華な船長室でした。
「王族専用だからな」
「こっちは? あ、寝室なのですね。まぁ、お風呂もあるのですね!」
「なんだ? 気に入ったのか?」
「はい! 凄いですねぇ。初めてばかりでワクワクしています!」
なんて、元気な時間が、私にもありました……。
思ったよりも波が高かったらしく、船が揺れる揺れる揺れる揺れる……うっぷ。
「ほら、無理をするな」
「うぅぅ、きぼぢわるぃでふ……うぐ……」
「もう一度、吐いておくか?」
「ふぁひ……」
ヘロヘロのヘロです。
夜になって、錨を下ろし停泊していても、グラグラと揺れる船体に、限界を迎えてベッドの住人となっていました。
ふと、目を覚ますと、船全体が騒然としていました。
「ど、したの、ですか?」
「この場所で停泊後、明日の朝に相手側と挨拶し、我が国の領域に入る予定なのだが、何故か追い抜かれた。今から甲板で指示を出してくる」
「がんば」
これ以上話したら、キラキラとしたものが出そうで、何だかブカツドウを頑張る人みたいな応援になってしまいました。
「ん。ミラベルは、ゆっくりと寝ておきなさい」
「ふぁび……」
「ふふっ」
テオ様がちゅ、とおでこに軽くキスをして、船室から出ていかれました。
私はざわめきを子守歌のように聞きながら、眠りに落ちました。
寝落ちしておりましたm(_ _)m
次話こそは、明日21時頃に更新します。




