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68/88

68:すっかり忘れていました。




 何故、私までもが船に乗り、アンジェリカ様の祖国・エゾノイ王国の将軍様をお出迎えする事になるのでしょうか。

 テオ様が、ちょっとイジけた様子で、胸から顔を上げられました。


「アイツが私と結婚すると言って逃げ出したから、私だけで行くのはマズい、と言われた。婚約者のミラベルを連れて、穏便に挨拶してこいと……」

「……あぁ」


 どうやら、テオ様も完全に巻き込まれた側のようですね。

 流石に文句は言えませんし、仕方ないと割り切りましょう。


 明日の予定を話しつつ、テオ様の髪の毛をある程度乾かしました。


「後は、自然乾燥で、大丈夫でしょう」

「んー」


 テオ様が、また私の胸に顔を埋めて、キスマークを残したり、厚手のガウンの上から、胸を鷲掴みにして揉みしだいたりしていらっしゃいます。

 取り敢えず、手の甲をつねり、ペイッと投げ捨てました。


「明日の昼に出航なさるのですよね?」

「あぁ、だから――――」

「なので、今日は早めに寝ましょう、んね゛っ!」

「お、おぉ。……そう、だな?」


 どうにかテオ様を丸め込むことに成功いたしました。

 今日はゆっくりと平穏に眠れそうです。




「みっ、ミラベル⁉」


 朝一番でテオ様が途轍もなく大きな声で叫んでいました。


「おはよぉございます」

「お、おおおはよぉぉぅ」


 えらくキョドっていらっしゃいます。

 起き上がってベッドに横座りして、くしくしと目を擦っていましたら、テオ様の鼻息がえらく近くで感じられました。

 パチっと目を開けると、ものっすごく近くで、私の胸元と、足辺りを見ていらっしゃいます。


「んー、ておさま、ちかいです……」

「みっみミラベルゥゥゥ⁉」

「んー、何でございますかぁ?」

「まままだはやぁいぃから、もうすぅこぉぉし、ねっ、眠るのは、どぉぉだ⁉」


 二度寝は確かにそそられますが、今日はお昼からとても大切な公務が入りましたし、準備は怠れません。


「大丈夫です、ぉきます……」

「いや、ギリギリまで寝ておいた方がいい、なっ! なっ!」


 えらく二度寝を推奨してきますわね。

 おかげで、段々と目が覚めて来ました。

 手を上にあげて、ググッと伸びをしましたら、またもやテオ様の鼻息が、ブフゥゥゥ、ングゥ、ハァハァ……と聞こえてきました。


「…………あっ!」


 ふと、テオ様の視線を追って自分を見ましたら、昨日の夜に着たエロエロ夜着がほぼ(あら)わになってしまっていました。

 コレを着ていたことを、すっかり忘れてしまっていました。


 慌てて、ババッとガウンの衿と裾を整えましたら、テオ様がそっと近付いて来ました。

 両手をこちらに向け、鷲掴みをするような格好で。

 二つの膨らみを狙ったように。


「……テオ様」

「…………マッサージを」

「結構です」

「チッ」

「テ・オ・さ・ま?」

「チィィィッ!」


 不機嫌全開での、渾身の舌打ちをされてしまいました。




 身支度を整え、王城の馬場に向かいました。

 相変わらず、テオ様は不機嫌全開です。

 これは暫く長引きそうなほど、ご機嫌ナナメな気がします。

 馬車の中で、ちょっとだけ甘やかしてみようかな、と思いました。




 次話も明日21時頃に更新します。

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