68:すっかり忘れていました。
何故、私までもが船に乗り、アンジェリカ様の祖国・エゾノイ王国の将軍様をお出迎えする事になるのでしょうか。
テオ様が、ちょっとイジけた様子で、胸から顔を上げられました。
「アイツが私と結婚すると言って逃げ出したから、私だけで行くのはマズい、と言われた。婚約者のミラベルを連れて、穏便に挨拶してこいと……」
「……あぁ」
どうやら、テオ様も完全に巻き込まれた側のようですね。
流石に文句は言えませんし、仕方ないと割り切りましょう。
明日の予定を話しつつ、テオ様の髪の毛をある程度乾かしました。
「後は、自然乾燥で、大丈夫でしょう」
「んー」
テオ様が、また私の胸に顔を埋めて、キスマークを残したり、厚手のガウンの上から、胸を鷲掴みにして揉みしだいたりしていらっしゃいます。
取り敢えず、手の甲をつねり、ペイッと投げ捨てました。
「明日の昼に出航なさるのですよね?」
「あぁ、だから――――」
「なので、今日は早めに寝ましょう、んね゛っ!」
「お、おぉ。……そう、だな?」
どうにかテオ様を丸め込むことに成功いたしました。
今日はゆっくりと平穏に眠れそうです。
「みっ、ミラベル⁉」
朝一番でテオ様が途轍もなく大きな声で叫んでいました。
「おはよぉございます」
「お、おおおはよぉぉぅ」
えらくキョドっていらっしゃいます。
起き上がってベッドに横座りして、くしくしと目を擦っていましたら、テオ様の鼻息がえらく近くで感じられました。
パチっと目を開けると、ものっすごく近くで、私の胸元と、足辺りを見ていらっしゃいます。
「んー、ておさま、ちかいです……」
「みっみミラベルゥゥゥ⁉」
「んー、何でございますかぁ?」
「まままだはやぁいぃから、もうすぅこぉぉし、ねっ、眠るのは、どぉぉだ⁉」
二度寝は確かにそそられますが、今日はお昼からとても大切な公務が入りましたし、準備は怠れません。
「大丈夫です、ぉきます……」
「いや、ギリギリまで寝ておいた方がいい、なっ! なっ!」
えらく二度寝を推奨してきますわね。
おかげで、段々と目が覚めて来ました。
手を上にあげて、ググッと伸びをしましたら、またもやテオ様の鼻息が、ブフゥゥゥ、ングゥ、ハァハァ……と聞こえてきました。
「…………あっ!」
ふと、テオ様の視線を追って自分を見ましたら、昨日の夜に着たエロエロ夜着がほぼ露わになってしまっていました。
コレを着ていたことを、すっかり忘れてしまっていました。
慌てて、ババッとガウンの衿と裾を整えましたら、テオ様がそっと近付いて来ました。
両手をこちらに向け、鷲掴みをするような格好で。
二つの膨らみを狙ったように。
「……テオ様」
「…………マッサージを」
「結構です」
「チッ」
「テ・オ・さ・ま?」
「チィィィッ!」
不機嫌全開での、渾身の舌打ちをされてしまいました。
身支度を整え、王城の馬場に向かいました。
相変わらず、テオ様は不機嫌全開です。
これは暫く長引きそうなほど、ご機嫌ナナメな気がします。
馬車の中で、ちょっとだけ甘やかしてみようかな、と思いました。
次話も明日21時頃に更新します。




