66:嫌われたの?
キャァキャァ、ワーワーと叫んでも、ザラはささっとエロエロ夜着を着せて来ます。
これはもう、無駄な抵抗のようですわね。
「テオ様がいつ帰って来るか分からないし。というか、普通に寒いのよ。せめて厚手のガウンは着させてよぉぉ」
「……かしこまりました」
――――何故に渋々⁉
「……ねぇ、ザラ、何か悩みでもあるの?」
「いえ、別に」
ここ数日、ザラの機嫌が妙に悪い気がするのだけれど、聞いても教えてくれません。
体調も悪くない、寝不足でもない、食欲もある。
ただ、妙に、私へのあたりがキツいような?
え、あれ? もしかして、そういう事なのかしら?
「え……っと、私、嫌われるような事を……しでかした?」
「っ!」
ザラが、息を飲みました。
驚いたような顔で、しまったと言うような顔で。
ずっと、子供の頃から側にいてくれたザラに、私……嫌われていたそうです。
「お嬢さ――――」
「っ、ごめん……なざいっ。ザラまで、いなぐなるの、ヤダ…………イヤ、なの。直ずがらっ、言ってょ…………おねがいっ」
「おおおじょうさまっっ、申し訳ございませんっ、大変申し訳ございません! お嬢様は、そのままでいいのです。矮小な私が悪いだけなんです!」
ロブが明らかに距離を取り始め、ザラにまで去られるのかと思うと、寂しくて、悲しくて、涙が溢れ出してしまいました。
ザラが慌てたように抱きしめてきて、違うと言ってくれました。
「その…………嫉妬、妬みです」
「嫉妬? え……ザラ、テオ様が――――」
「違・い・ま・すっ!」
えらくキッパリと言われてしまったわ。
じゃぁ、何に対しての嫉妬なのよ……っていう。
「…………ロブです」
「ロブに? 騎士になりたかったの?」
「………………お嬢様? 察しが悪すぎません?」
「何の?」
「お嬢様に対する、好意に、です」
「え、誰から?」
「…………」
どうしてかしら?
ザラに、ものすっごく呆れた顔をされたわ。
「……とにかく、この度は大変不快な思いをさせてしまい、申し訳ございませんでした。基本的にはお嬢様の事が大好きですので」
「え、あの? 何だか、全然安心できないのだけれど……」
「気のせいです」
「でも、基本的には、って事はよ?」
「気のせいです」
「気のせい、なの?」
「はい、気のせいです」
――――なら良かったわ!
ザラに嫌われてなくて良かったぁぁあ? あら? 結局、何でザラは怒ってたのかしら? あら? あらら?
「女性特有の日なので、少し気が立っていただけです」
「それ、自ら言う人、初めて見たわ……」
「事実ですから」
「えっと、きついなら早めに休んでいいからね?」
はい、ありがとうございます。と、ザラはとってもいい笑顔で答えてくれたけれど、やっぱり何か誤魔化されたような気がしてしょうがないです。
うんうん、と唸りながら寝室に入り、ベッドに座って、テオ様が戻って来るのをぼーっと待ちました。
……自分がどんな格好をしていたかも忘れて。
次話も明日21時頃に更新します。




