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65/88

65:例の夜着。




 リジーにアンジェリカ様のお話を聞いて、疑問が出て来ました。


「テオ様に、その、迫ってなかった?」

「グイグイ迫っていらっしゃいましたね」

「よ、ね?」


 アンジェリカ様が一体何をお考えなのか……。

 まぁ、私が色々と考えたところで、御本人の考えが分かるはずもなく。それで何かが解決するわけもなく。

 そんな風に時間を無駄に使うくらいなら、やりたいことをやって、有意義に過ごしたいです。


「ということで、お風呂に入りましょ!」

「どういう事ですか……」

「あら、ザラいたの」


 いつの間にやら現れたザラに驚いていましたら、何故かハァ、と大きな溜め息を吐かれました。


「ちょうど良かったです。先程セオドリック殿下とすれ違った時に、伝言をお受けいたしました」


 ――――テオ様からの伝言?


「例の夜着を着ておくように、とのことです」


 例の、夜着、とは。アレですか? あのエロエロのやつですか。

 そもそもアレは誰が用意したのでしょうか?


「王妃殿下です。何種類かございます」


 何種類もございますのですか。

 興味本位で、クローゼットルームに行き、エロエロ夜着を見てみることにしました。




「何種類……? 何十種類と言いなさいよ……」

「……」


 じろりとザラを睨むと、スッと目を逸らされてしまいました。

 取り敢えず、手前から見ていきます。


「紐……」

「でございますね」

「総レース……」

「でございますね」

「貝……」

緋扇貝(ひおうぎがい)でございます」


 いや、貝の種類は聞いてないのよ。でも、綺麗ね。

 というか、緋扇貝ってニホンの一部にしか生息していなかったような記憶が……え? ここ、ニホンなの?


「アンジェリカ様の国の特産でございます」

「あら! 食べられる⁉」

「無理です。鮮度的に」

「ちえっ」


 期待しましたのに。

 あ、でも、アンジェリカ様の国に行けば食べられるって事よね? あら、あらら。これはアンジェリカ様と仲良くしておくべきでは⁉


「セオドリック殿下が荒ぶられるかと……」

「ちえっ」

「あと、それを理由に『仲良く』は割と最低では?」

「……てへ」


 ちょっと煩悩がだだ漏れ、暴走してしまいましたわ。

 だから、そんな目で見ないでちょうだいよぉ。


「それで、お嬢様、どれをお召しになられますか?」

「ん? これ」


 クローゼットから、柔らかくぶ厚い綿のワンピースを選び、ザラに差し出しましたら、受け取って、横にいたメイドにサッと渡していました。

 そして、「却下です」と真顔で斬り捨てられました。

 

「じゃあ、これ」

「却下です」

「え、じゃあ――――」

「はい、こちらですね。では準備いたしましょう」

「ちょ、ちょ、ちょ、まって、待って、待ってぇぇ! それ、クロッチが…………無いわよ!」


 いわゆる、オープンクロッチ。またはオープンショーツ。

 昨日のよりもエロエロのエロ!

 大切なところを一切隠さず、丸見えにしてしまう、エロ上級者向けの、エロアイテム!


 嫌よ、お願い、もうちょっとソフトなのにして! と縋り付き、懇願しても、ザラは真顔でスルーをかましやがりましたでございますわ。


 ――――キィィィィッ!




 次話も明日21時頃に更新します。

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