65:例の夜着。
リジーにアンジェリカ様のお話を聞いて、疑問が出て来ました。
「テオ様に、その、迫ってなかった?」
「グイグイ迫っていらっしゃいましたね」
「よ、ね?」
アンジェリカ様が一体何をお考えなのか……。
まぁ、私が色々と考えたところで、御本人の考えが分かるはずもなく。それで何かが解決するわけもなく。
そんな風に時間を無駄に使うくらいなら、やりたいことをやって、有意義に過ごしたいです。
「ということで、お風呂に入りましょ!」
「どういう事ですか……」
「あら、ザラいたの」
いつの間にやら現れたザラに驚いていましたら、何故かハァ、と大きな溜め息を吐かれました。
「ちょうど良かったです。先程セオドリック殿下とすれ違った時に、伝言をお受けいたしました」
――――テオ様からの伝言?
「例の夜着を着ておくように、とのことです」
例の、夜着、とは。アレですか? あのエロエロのやつですか。
そもそもアレは誰が用意したのでしょうか?
「王妃殿下です。何種類かございます」
何種類もございますのですか。
興味本位で、クローゼットルームに行き、エロエロ夜着を見てみることにしました。
「何種類……? 何十種類と言いなさいよ……」
「……」
じろりとザラを睨むと、スッと目を逸らされてしまいました。
取り敢えず、手前から見ていきます。
「紐……」
「でございますね」
「総レース……」
「でございますね」
「貝……」
「緋扇貝でございます」
いや、貝の種類は聞いてないのよ。でも、綺麗ね。
というか、緋扇貝ってニホンの一部にしか生息していなかったような記憶が……え? ここ、ニホンなの?
「アンジェリカ様の国の特産でございます」
「あら! 食べられる⁉」
「無理です。鮮度的に」
「ちえっ」
期待しましたのに。
あ、でも、アンジェリカ様の国に行けば食べられるって事よね? あら、あらら。これはアンジェリカ様と仲良くしておくべきでは⁉
「セオドリック殿下が荒ぶられるかと……」
「ちえっ」
「あと、それを理由に『仲良く』は割と最低では?」
「……てへ」
ちょっと煩悩がだだ漏れ、暴走してしまいましたわ。
だから、そんな目で見ないでちょうだいよぉ。
「それで、お嬢様、どれをお召しになられますか?」
「ん? これ」
クローゼットから、柔らかくぶ厚い綿のワンピースを選び、ザラに差し出しましたら、受け取って、横にいたメイドにサッと渡していました。
そして、「却下です」と真顔で斬り捨てられました。
「じゃあ、これ」
「却下です」
「え、じゃあ――――」
「はい、こちらですね。では準備いたしましょう」
「ちょ、ちょ、ちょ、まって、待って、待ってぇぇ! それ、クロッチが…………無いわよ!」
いわゆる、オープンクロッチ。またはオープンショーツ。
昨日のよりもエロエロのエロ!
大切なところを一切隠さず、丸見えにしてしまう、エロ上級者向けの、エロアイテム!
嫌よ、お願い、もうちょっとソフトなのにして! と縋り付き、懇願しても、ザラは真顔でスルーをかましやがりましたでございますわ。
――――キィィィィッ!
次話も明日21時頃に更新します。




