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62/88

62:嫌いな笑顔。




 何が何でも『先王の妹の孫娘』様のお名前を言わないテオ様にイラッとしましたが、『シェンォー・ノイモート・マゴームスゥメェ』で毒気を抜かれました。


「そんなに言いたくないんですか?」

「ん、きらい」


 ――――あら、かわいい。


 違う違う違う!

 危うく絆され、流されるところでしたわ。

 ちゃんと教えていただかないと。このまま有耶無耶は良くありません。


 取り敢えず、ドレスに着替え……ええ、今まで下着姿でしたが、何か?

 テオ様の残念そうな顔とか見えませんが、何か?

 取り敢えず、ドレスに着替えます!


 着替えた後はソファに座り、膝枕で寝転ぶテオ様の頭や頬を撫で撫でして、ご機嫌取りをしていました。


「そろそろ晩餐の時間ですわね」


 膝からテオ様を()()()()()しましたら、腰に抱きつかれ、身動きが取れなくなってしまいました。


「ちょっと、テオ様⁉」

「晩餐はこの部屋で、二人だけで」

「今からこの部屋に準備など、迷惑です!」

「嫌だ。行きたくない。嫌な予感しかしない」


 時間になっても、イヤイヤとぐずるテオ様を無視して、いつも晩餐をする食堂へと向かいました。




 食堂にはいつものメンバー、国王陛下と王妃殿下、王太子殿下と王太子妃殿下だけでした。

 エスコートしてくれていたテオ様を見ると、あからさまにホッとされていました。


 何事もなく、普通に、晩餐が進んでいきます。


「そういえば、先王の妹の孫娘様はご一緒されないのですか?」


 流石に『シェンオー・ノイモート・マゴームスゥメェ様』と言うわけにはいかないので先王の妹の…………あら? 何か妙に静かですわ……。


「「……」」


 ふと、気になった事を聞いてしまったのが、運の尽き、とでも言うのでしょうか。

 皆様が無言でこちらを見るもので、何となく嫌な予感がしました。

 隣の席にいるテオ様のをチラリと見ると、またもやキラッキラの笑顔になってしまいました。

 これは非常によろしくないです。


「我らがウィータ(人生)のコンコルデ(調和)ィアに重大な歪みが生じた。我が赤き果実にウォルプタース・アエテルナエを教え込む必要があるので、先に失礼する!」

「え? ええっと……私達の間で意見の相違があ……え?」


 皆様に意訳をしている途中で、テオ様に腰を掴まれ、ほぼ強制的に立たされました。

 そして、『ウォルプタース・アエテルナエを教え込む』が脳内に到達した瞬間、思考回路がショートしました。


 ――――か、快楽を、永遠の快楽を教え込む⁉




「まっ、まって、て、ておさま、まって!」

「どうした? 我が赤き果実、淑女は廊下で大声を出すものではないぞ?」

「そっ、れは、そうですが……テオ様、なぜ……」


 なぜそんなに怒っていらっしゃいますの? と言いたかったのですが、私に向けられた極上の笑顔が、まるで『黙れ』と言っているかのようで、何も言えなくなってしまいました。


 息切れするほどの速さで廊下を突き進みますが、テオ様のエスコートのおかげなのでしょうか、きっと優雅に見えてはいると思います。

 曲がり角を急カーブで突き進んだ時など、腰をがっちりホールドされ、足が浮いていました。


「テオ様っ、も、もう少し、ゆっく――――」

「我が赤き果実よ、舌を噛むと痛いぞ?」

「っ……」


 また……まだ、笑顔のままです。

 段々とテオ様が怖くなって来ました。

 何か話したくても、きっとまたあの笑顔をこちらに向けて来ます。

 また黙らされてしまいます。




 ほぼ強制的に、夫婦の寝室に連れ込まれました。


「テオ様」

「ん?」

「そのお顔…………嫌です」

「……ふうん」


 嫌と言っても、テオ様はそのままの目が笑っていない、私の嫌いな笑顔のままでした。




 次話も明日21時頃に更新します。

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