47:計画的に。
テオ様と唇を重ね、ちょっと艶めかしい声が漏れたりしました。
「んっ、テオ……さまっ、まって」
「……最後まではしないから…………流されて?」
あまりにも泣きそうなお顔で言われるので、つい、「はい」と答えてしまっていました。
テオ様は最後まではしないという宣言通り、体のあちこちを触り、その触った全ての場所にキスを落とされるだけでした。
それだけ、のはずなのに、私の息は上がり、何だか恥ずかしい声まで出してしまっていました。
今は下着姿で二人ピッタリと寄り添って、ベッドに寝ています。
「ミラベル可愛い」
「っ――――」
蕩けそうなほどの微笑みを溢しながら、テオ様がまた顔を近付けてきました。
何十分、いえ、何時間か、ベッドの上で体を寄せ合い、唇を重ね、それ以上もしているのに、未だに微笑むテオ様を見ると顔が熱くなってしまいます。
「ミラベル、真っ赤。あぁ、可愛すぎる……。ねぇ、もっと声を出して」
「んんっ! やっ……」
「声、抑えないで」
テオ様が私の首筋にヂュッと吸い付きました。
ピリリと走る痛みから、キスマークを付けられたようです。
「服で……隠れ、ないとこ……」
「隠すな」
今度は手首の内側をジクリと痛むほどに強く吸われ、真っ赤な印を付けられました。
あぁ、明日から暫くはハイネックを着て、手袋もはめないと、と思っていると、テオ様がまた泣きそうな顔で「隠さないで」と呟かれました。
「テオ、様? 何故そんなお顔をされるのですか?」
「ミラベル……私は、自信がない」
「え?」
「あの日、感情的になってミラベルを追い出した――――」
テオ様は五年前のあの日から、私が去って行った姿が悪夢として現れるのだそうです。
「最近は……その横にロブがいて…………ミラベルをさらって行くんだ」
「ロブとは何も――――」
「あいつはそうは思っていない!」
まさかぁ、と笑い飛ばそうとしましたが、テオ様のあまりの切迫感が漂う雰囲気に、何も言えなくなってしまいました。
前世の感覚でロブとは友人のように接していたのですが、よく考えればこちらの世界での男女はもうちょっと距離を取るものだと気付きました。
私の態度がテオ様を不安にさせてしまっていたのですね。
「大丈夫です。これからはずっとテオ様の側にいます。こんな恥ずかしい姿を晒すのも、テオ様にだけです」
「ん……」
「テオ様、不安にさせてごめんなさい」
「ん……私も、すまなかった。もっと他のヤり方はあったのに……」
――――ん? なんか語感が。
妙な違和感を感じましたが、気の所為だと流して、テオ様の頬を撫で、私から唇を重ねました。
「……お腹、空きました」
「ん、私もだ」
ベッドから起き上がり、ナイトローブを羽織っていると、テオ様がメイドを呼び出す為のベルを手に取り、『チリン』と、それはもう、とても軽く鳴らしました。
「人払いをしてい――――」
「呼ばれましたか?」
人払いをしているのに、そんな音では誰も来ませんよ、と言わせて欲しかったです。
ベルが鳴って瞬時にドアが開くという事は、ドアの直ぐ側にいたという事で。
軽く鳴っただけなのに聞こえたという事は、ドアだか壁だかが薄いという事で。
色々と筒抜けだったという事で、ロブに。
「っ⁉」
「軽食の用意と寝具を整えるように伝えろ」
「……畏まりました」
色々と気付いてしまい、あまりにも恥ずかしくて、ロブの顔が見れませんでした。
次話も明日21時頃に更新します。




