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44/88

44:目の前に……。

 



 目が覚めて、目の前に広がるキラキラしいご尊顔。

 眼球への暴力が半端ないです。

 あと、目がえらく充血されてますが、もしかして寝られてないとか、馬鹿な事……ありませんよねぇ?


「眠っているミラベルの可愛さが一番かと思ったが、目覚めてぽんやりとしているミラベルがエロ可愛すぎるっっ!」


 ……うっわ、きもちわっるゲフンゲフン。おっと、危うく口から出てしまうところでしたわ。


「なぁ……」

「はい?」

「普通、目覚めて一番に見る、こっ……こ、恋人にっ……」


 テオ様が自分で言って、自分で照れて、右手の甲で口元を押さえていました。


「ふぅ。こっ……恋人に向けるのは、蕩けるような笑顔じゃ無いのか?」

「……」 


 ちょいちょい現れるニワトリの鳴き声が気になって、テオ様の言葉が脳内に届くまで少し時間を要してしまいました。

 目覚めの一発で、鼻息荒めで目を血走らせた美丈夫に微笑み掛けるのはちょっとハードルが高い気がしますが、普通どうなのでしょうね?

 まぁ、私はちょぉっと無理かなぁ、と思いますが。


「侍女を呼んで朝の支度をしますので、テオ様は自室に戻られて下さい」


 ぶすぅ、っと唇を尖らせてブチブチいいながら、テオ様が普通に部屋の扉から廊下に出て行きました。


 ――――えぇぇっ⁉


 もしかして、昨日の夜そこから入って来られたのですか? 同衾していた事がモロバレではありませんかっ!

 そして、扉の向こうにニヤニヤしたリジーと真顔のザラが見えました。最悪です。完全にモロバレです。

 



 ザラにヘアセットをしてもらいつつ、今日の予定を話しました。というか、一方的に告げられました。


「ピクニック?」

「はい」

「……テオ様と、二人きりで、馬車で?」


 嫌な予感しかしませんが、どうにかお断りできないのでしょうか?


「二人きりではございません。私共と護衛もいますから」

「同じ馬車の中に、ザラとリジーもいるのね?」


 鏡越しにザラを見ましたら、サッと視線を逸らされてしまいました。どうやら、二人は別の馬車で移動のようです。

 ピクニックで馬車二台も動かすとは。何たる無駄遣いでしょうか。


「我が赤き果実よ、決戦の準備は整ったか?」


 ――――決戦て。


「そこはピクニックでも良くないですか?」

「初デデデデートなのだぞ⁉」

「デートだったんですか」

「初だ!」

「……確かに、初デートですわね」


 あら、何だか楽しみになってきましたわ。

 そういえば、あの頃は王城から外には出た事がありませんでしたわね。

 初デートでピクニック。

 何でしょう、凄くウブな感じがして胸がくすぐったいです。


「早く行きましょう!」

「お、おお!」


 テオ様の腕を取って、ルンルンと馬場に向かいました。




 ルンルンしていたお馬鹿さんは何処の何方でしょうね。

 何故、忘れていたのでしょうね。

 ロブの存在を。


「おい、何故お前が同乗している」

「お嬢の護衛ですので」

「退任したと聞いたが?」

「お嬢の外出時の護衛がまだ決まっていませんでしたので」

「「……」」


 テオ様と馬車に乗り込みましたら、ロブがするりと乗って来ました。

 テオ様の横に私、その向かい側にロブが座りました。


「二人きりで乗ると伝えたはずだか?」

「お伺いしておりません」

「「……」」


 物凄く、空気が重い! そんな気分です。

 テオ様の厨二病語が剥がれ落ちてしまっていますが、大丈夫なのでしょうか。


「……我ら、二人の想いが重なり、絆を深め、完全体と成るべくしてこの決戦に挑んでいる。如何なる者も、我らを引き裂く事は許されぬ」


 ――――あ、持ち直しましたわ。


(意訳:私達は付き合い始めた。折角の初デートを誰にも邪魔されたくない)


 意訳をロブに伝えましたら、心配そうな顔をされてしまいました。


「お嬢もそう思っているんですか?」

「え……えっと」

「お嬢?」

「その…………うん」

「はぁぁぁぁ」


 何故か物凄く重ぉぉぉくて、長ぁぁぁい溜め息を吐かれてしまいました。




 次話も明日21時頃に更新します。

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