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基本名前を記憶しないが名前は大事らしい

四年経って、やっと入学試験の日になった。


いやー大変だった!魔術自体は多少魔力の込め方が違うだけだからすぐに覚えられたけど、気を抜くと悪魔語の方が出てしまう。

まぁあっちの方が長く使ってるし慣れちゃってるからだな。

まぁ気を抜かなければ大丈夫だろう。


読み書きも教えられた。

平民だと読み書きできない人もいるらしいが、学園は貴族社会だから必要なんだそうだ。

これも悪魔語とは違ったから大変だったけど、最低限のことはできるようになったはずだ。


それよりも大変だったのは武術と体力づくりの方だ。

孤児院でぬくぬくと過ごしてきた内は気づかなかったけど、思っていたより人間の体は弱い。

最初のうちはすぐに体力が尽きるし、初めて剣を持たされた時は重くてバランスなんか取れやしなかった。

悪魔の時は生まれた時から岩とか軽々持ち上げてた記憶があるからビックリした。


だけど、四年も続ければそれも変わる。

武術の訓練や体力づくりは、院長じゃなくて同じ神殿の聖騎士たちが見てくれた。

そのせいか思っていたよりスパルタだった気もするけど、お陰で今では俺の方が新人聖騎士よりも強い。


魔術も武術もそこそこ身につけた俺は、院長からも聖騎士長からも入学できるだろうと認められたから、油断しなければ大丈夫だろう。

付き添いでしたっぱ聖騎士がついてきてくれたけど、入学試験が始まる前に帰ってしまった。


「グレイ君は、もう僕より強いんだから自信持ってね!僕に勝っておいて入学できないなんてことにはならないよね!」


とか言ってたし、たぶん試験に落ちて帰ってくる時のことなんて考えてないんだろう。

俺はそれだけ信用されてるってことだ。


信用されてることは嬉しいけど、そういえば向こうは俺の名前覚えてたな…。

ごめんな、みんな。顔と役職は一致するんだけど名前が出てこないや。

いや、俺は院長は院長って呼んでたし、聖騎士長は聖騎士長って呼んでたから仕方がないんだ!

名前覚えるのどうにも苦手なんだよなぁ!


それはともかく、まずは試験の手続きだ。

試験会場は学園内にある闘技場スペース、受付は闘技場に備え付けられているカウンターだ。

どうやら普段から私闘とかしてもいいらしく、賭け事とかにも使われるようだ。


「特別枠試験を受ける人はこちらで受付しまーす!」


受付が始まったらしい。みんな並んでるし俺も並ぶか。

どうせなら綺麗な姉ちゃんの方に…いや、あっちの兄ちゃんの方が頭柔らかそうだな。

俺が孤児だってことを忘れてはいけない。

特別枠にすら普通は貴族しか来ないのだから、頭がかたい人に当たると門前払いとかされそうだしな。


「次の人、どうぞ。」


あ、俺の番か。


「孤児のグレイだ。ここに名前を書けばいいのか?」


「孤児…なのか?名前書けるか?」


馬鹿にしてる感じじゃないな。心配されてるだけだ。

隣の受付の姉ちゃんは呆れた顔してる。

姉ちゃんの方で受付してたら門前払いだったかもな。直感最高!


「院長から必要だって言われたから覚えてきた。それで、こっちの姓と言うのも書かないとダメなのか?」


「…そうだなぁ。貴族用の記入シートだから姓も要るよなぁ。院長がいるならそいつの姓でもいいんだが。」


…しまった。院長の名前覚えてない。


「……偽名、でもいいか?」


「孤児なら仕方ないなぁ。別に構わないけど、ここに書いたその時から、その名前で決定になるから偽名とも違うな。まぁ少しくらいなら考えてもいいから、必ず姓も書いてくれ。」


…まぁ、俺の覚えている名前なんて一つしかないからそれからとるしかない。

今日から俺の名前は、グレイ・フォールだ。

覚えている名前が女神フォルビアしかなかったんだ!


「グレイ・フォールだな。よし、受付完了だ。」


よかった、通った。

と思っていたら受付の兄ちゃんが顔を近づけてきた。

なんだろうと思って顔を近づけてやったら、


(グレイ。平民でも入れる枠ではあるが、今まで貴族様方以外でここにきた奴はお前が初めてだぞ。だからお前が気に入った。試験前に職員達で誰が受かるか賭けをするんだが、せっかくだしお前に賭けてやるよ。)


なんて小声で言ってきたよこの兄ちゃん。

まぁこうやって期待してもらうのは嬉しいから、こう返してやろう。


(ありがとな、兄ちゃん。お礼にしっかり儲けさせてやるよ。)


ってな!勝つための理由が増えちまったなぁ!

気分も乗ってきたし、しっかり目立っちゃおうかな!

ちなみに院長達の名前が出ないのは考えてないからです…

すまない…院長すまない…

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