学校帰りに。
いつも似たような時間の電車で登校して、下校する。私も、同じ方向の学校に通う人たちと混ざって乗り込んで、同じ最寄り駅の人たちと混ざって降りる。
4月とかの節目には人の入れ替えが多少はあって、でもいつの間にか定位置が何となく決まっていて、名前を知っている人の方が少ないけれど、顔はほとんど見知ってしまっている。
でも今日この日は、見知らないひとがいた。
旅行帰りか、帰省か、親戚でも訪ねてきたのか。
部活をやっていない私の学校帰りの、人がまばらな時間。
2月の半ば、まだ肌寒い外気。快適とは言えないけれど幾分かマシな電車内に入って座席に着くと、窓から差し込む暖かな日差しにてらされて、舟をこいでいるひとが向かいにいた。
知らない人だからもちろん話しかけない。
どこで下車するのかは知らないけれど、眠たいときには眠るのが一番だし。
ああ、気持ちよさそう。
眺めていたら、私もいつの間にか眠ってしまったらしい。
家の最寄り駅より少し進んだ先、電車の終点で目が覚めたとき、向かいにあの人はいなかった。