間話 『創造神』
「やぁ!気が付いたかな?闇魔法の申し子よ!」
サングラスとマスクの様な物を身につけた、
創造神が嬉しそうに聞いてくる。
カツラもしているので、恐らく変装中だろうが、
なんとも分かりやすい人だ。
「ちっ、違うわい!私は闇魔法を司りし神!
えーっと、そう!邪神である!」
ははーっ!じゃしんさまー。
本日はどう言った御用件で?
「物分かりが早くて助かる!
ロメディア君!君は闇魔法が得意そうだね!」
はぁ、俺も知らないうちに魔力回路が発達してて、
困惑してるんですよ。
今まで闇魔法だなんて使った事がなかったのに。
「そうだろうそうだろう。
その回路はだな?私が発達させてあげたのだぁ!
邪神の加護だぁ!」
カツラがずれた。
本人は気付いてなさそうだが、
もう既にバレバレなんだよなぁ。
「そうそう、君に会いたいという人が来てたんだけど、
ついさっき帰っちゃった。
試験世界の進む時間って早いからねぇ。
恐らく他の世界の20倍程度かなぁ?
だからやっぱりこっちへ連れてくる際に、
時間を合わせる作業が必要でね、
その時間で痺れを切らせて帰っちゃった。
君の命の恩人だったんだけどなぁ」
恩人?俺の?そんな奴いるか?
思い当たる節はいくつかあるけど。
「あっ、いや、君自身は会ったこと無いと思うよ。
正確に言えば、会ってるけど会ってない、
って状況だね」
は?どういう事です、邪神様?
矛盾表現ですよ、それ。
「んー。赤ん坊の頃の記憶って、
君みたいに前世の記憶がない限り、
覚えてないじゃない?
意識を作り出す直前の状態、
つまりは魂の状態で彼には会ってるね」
はぁ、どういう事で?
「君を転生させた張本人って言う表現が正しいかな?」
んー、俺を異世界に転生させた、
張本人、か。よく分かんねぇな。
「まっ、元々君には期待してないよ。
君にはそんな事より大事な使命があるし」
大事な使命?何ソレ?
「一つ目はやっぱり剣の作成だね。
銘柄は君に任せるから、好きに入れておきな。
次に、あの世界の生物の、全消滅だね」
はぁ?つまり皆殺しか?
出来っこねぇよ。そんな事。
「まぁ簡単さ。今回私が君を呼び出すのに使った、
神鉄の爆発を応用したものを、
君の冥界の王に詰め込んどいたから。
まぁ、あれ音魔法の応用なんだけどね。
まっ、このテオトル様に掛かれば、
簡単さっ!」
……テオトルって名前なのか。
「ひぎゃっ!?なんで私の本名を!?
創造神である私の本名を知ってる奴は、
世界樹内に7人しかいないはずなんですけど!?
なんで?なんで知ってるの君!?
何処からの情報?そいつと一回話すからさ」
んー。邪神様が教えてくれたよ?
「邪神だとぉ!?くそぉ!
私の知らない間に、また厄介な神が生まれおったなぁ!?
会ったらボコボコのギッタンギッタンにしてやる!
……へ?邪神?何処かで聞いたような?
あっ!そうだ!私邪神って設定で話してたんだった。
って事は私は今、自ら名乗っちゃった感じ?
んぁぁ!失敗したなぁ。
分かったよ。そろそろ君も死んじゃうし、
教えとくよ。冥土の土産にしてね。
私は創造神テオトル!
世界樹内を見守り、
地球の不思議を究明する、
最高神が一角!
善神に仕え、とある神と戦っているのだぁ!
まぁ、敵を作っちゃったのも私だけどね。
君には私の尻拭いをして欲しいのさ」
んー。お前らしいっちゃ、お前らしいかな。
「あぁ!この様子では、まだ私の姿が定まってないなぁ!?
この私の神々しい姿を見れないだなんて!
くぅぅ!惜しいなぁ君!
死んだ後一回だけ魂を具現して見せたげるよ。
光栄におっもいなさーい!」
はいはい。分かりました。
それはそうとさ。
テオトル様って、女の神様でしょ?
「まぁね。正確に言えば性別は無いんだけど、
女性神ではあるよ。そういう風に作られたし」
じゃさ、好きな人とかって居るの?
「まぁ居ないって言ったら嘘になるかな。
まぁ彼は豪放磊落で、義理堅く、
何より筋骨隆々!かぁぁ!
あの肉体美ときたら!さいっこぉう!
しかも身長もすごく高い所も良いわぁ。
ちなみに、君の命の恩人は彼の事よ!
……はっ!何を私は言ってるんだろ。
君、何か誘導尋問させる様な能力をお持ちで?
だったら生かすけど?どうなの?」
いや、持ってないけど?
テオトル様が勝手に話して言ってるだけだし。
「んー。じゃ人柄が良いのかな?
まぁ試験世界で、君を最も信用してるって事は確かだし。
名前を教えたからには、私のコマになってもらうよ?」
はいはい、仰せの通りに。
「よろしい!では早速命令を与える!
神鉄で剣を作り出し、
試験世界を爆破させて!
剣を作ったら私に語りかけてね。
心の中でテオトル様って言えば、
私に繋がるから!
これで此方から呼ぶ必要は無くなったね。
さて、では行ってらっしゃい!」
いつも以上に上機嫌な創造神は、
何かを瓶ごと飲み干して、
俺の意識を吹き飛ばした。




