表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/60

第39話 『旅の終わり』

咆哮が轟き、周囲の地面が振動する。

この世界最強の魔物の一角、

ヒュドラと対峙していると、

その咆哮は再認識させてくれる。


ヒュドラの目は赤く染まり、

牙からは毒が滴り落ちている。

首が数本あり、全ての顔が俺達を睨みつけ、

薄気味の悪い笑みを浮かべている。


「ほう。ニンゲンか。この沼地に踏み入るとは、

余が居ると知っての行動か?」


地の底から響いてくる様な、

重い声が聞こえる。


ギーモン達は何も言わずに戦闘態勢に入る。

俺も遅れまいと魔力凝縮術マギア・コンデセイションを開始する。


「答えぬか……。ハーキュリーズの血の者と、

ヒューゼンベルクの血筋の者。

アウェルザータの者に、

忌々しきアーカベーターの血を引く者、

英雄の血が集合しておるな。

余を倒す気か?」


答えない。行う動作は冥界の王(ハデス)の起動だ。


「ゴーレムか?いや、不完全だな。

自我を持ちかけておるが、

形成時点で自我を持たない様に設定しておるのか。

不思議な者よのう。

普通であるならば、自我を持たせた方が強いであろうに。

まぁ良い。余が此処に居ると知っていての行動である事は、

面を見て分かったわ。


始めるのであろう?

天気も良いし、小鳥のさえずりも聞こえる。

だからこそ、本気で相手をしようぞ」


最後の難行だ。

此奴を倒す事で、

俺たちの旅は終わりを告げる。


「短期決戦じゃ!

ロミーは最大出力で!

ヴェナお嬢も出せる最大威力の魔法を!

犬っころは儂の援護を頼むぞ!

ワーザックは自由に行動せい!」


ギーモンは司令を残すと、

ヒュドラの首を次々と切り落として行く。

しかし切り落とした首は、

再生し元に戻る。


なるほど。前世の記憶の出番だな。

確かヒュドラの出てくる神話では、

切った部分を焼けば再生出来ないと聞いたぞ。

だとすれば炎魔法か?

俺は風と闇魔法の回路は発達して居るが、

炎魔法はイマイチだ。

ヴェナは炎魔法と水魔法の使い手だ。

だが、まだまだ弱いんだよな。

ワーザックはどうだろうか?

まだ会って二日目だ。

得意な魔法など知らない。


「ワーザックさん!貴方の得意な魔法はなんですか?

炎魔法は使えますか?」

「な、なんじゃいきなり。

今はそんな事、関係ないであろ?」

「早く!答えてください!」

「……魔王の血を引いておる。

粗方の魔法は得意じゃが、

獣人の血が血を嫌うのじゃ。

生憎威力は低いぞ」


ぐむぅ……そうなればどうするものか。

魔力を混ぜ合わせるか?

可能なのか?

自身の魔法は混ぜ合わせることで、

混合魔法を発動できるが、

他人とは出来るのだろうか?


迷ってる場合じゃないな。

失敗しても、魔力爆発とかして倒せるかもしれないし。


「突拍子のない考えですけど、

魔法を混ぜ合わせるというのはどうでしょう?」

「つまり混合魔法か?

それぐらい普通の考えであろう?

湯を作るときにも使うしのぅ」

「一人でではなく、複数人で発動するタイプです」

「む!それは良い考えじゃのぅ!

古代エルフ族の大魔法の様じゃな!」


エルフか……。

そういえば異世界なのに、

エルフ族とか見た事ないな。


「でも、そんな大魔法の詠唱の仕方知らないわよ?

ロミーも、ワーザックさんも、

良い考えが有るんでしょうね?」

「「ない!」」

「だったらどうするのよ!

どうやって詠唱するの!?」


ヒュドラの頭が目の前に落ちてきた。

ヴォーラフはその頭にとどめを刺し、

再び他の頭にとどめを刺しに行く。


「ロミー!まだ良い案が浮かばんのか!

早めにしてくれぬと、

ちょっと疲れてきたぞ!」

「ひゅはっははっはっは!

まだまだよなニンゲンよ。

余をもっと、もっと楽しませてくれる事を期待するぞ!」


ヒュドラは俺たちの事は既に眼中には無く、

ギーモンとの一騎打ちを楽しんでいる。

ギーモンは首を切り裂いた時の返り血で、

良い感じの服が血で染まって居る。


「では、ロメディア卿よ。

各個人の得意な魔法を混合させ、

大魔法を打ってみようではないか」

「あっ!それ賛成!私もそうしたい!

新しい魔法が出来たのよ!」


遊びじゃないんだけどな。

まぁ、得意な魔法を扱った方が、

威力も高くなるだろうから、

何も問題はないが、

新しい魔法か、気になるな。


「分かりました。では混合の仕方を考えてみましょう。

一度発生したら、混合しにくいかもしれませんし」

「む?其方ほどの知恵の持ち主が、

こんな簡単な事に気付いておらんとはな」

「ロミーも頭かったーい。

ねー、ワーザックさん!」


くそっ。なんでこういう時だけ仲いいんだ此奴ら。

微笑ましい光景だけどな。


「す、すいません。

教えて頂けますか?」

「どうしようかのぅ?

ヴェナ、教えるかの?」

「どーしよっかなぁ?」


ギーモンに青筋立ってるぞー。

早く教えてくれー。

そろそろ俺たちの首は飛ぶかもしれんぞ。


「ゔぇ、ヴェナよ。

ギーモン殿の殺気がやばい。

教えようぞ」

「えっとね。冥界の王(ハデス)を媒体にするの。

6つぐらいの魔法を同時に操れる?」

「やった事は御座いませんが、

出来ることを尽くしてみましょう」


なるほど、冥界の王(ハデス)を通じて魔力を混ぜ、

発射するのか。

よし、準備は出来た。


「お爺様!そろそろ戦闘離脱の準備を!」

「やっとか!待っておったぞ!」

「戦闘離脱?余も舐められたものよな」


よし、あとは魔力を混ぜ合わせるだけだな。


「行くぞ!ロメディア卿!

魔王(ダークロード)

炎滅(ディスアペクション)!」


待った待った!威力半端ないだろ!?

闇魔法と炎魔法も第1階位魔法か。

流石魔王の血を引く者だな。


「私の番よ!

氷上世界(コルドワルド)

新魔法よ!憎炎世界(ヘイトプロクス)!」


やばい。結構制御に手間がかかる。

ヴェナもいつの間にか腕を上げたな。

あとは俺の魔法だな。


暗黒の礎(ブラックホール)

風炎星爆発(ブラスト・ノヴァ)!」

「うおっ。其方、大丈夫か!?

どちらも異常な威力じゃありはせんか?」


冥界の王(ハデス)の腕から、

禍々しい何かが噴き出している。


「ロミーよ!そろそろ儂もギリギリじゃ!

早く一発打ち込まんか!」


よっしゃ来たな!

見てな!多分、ここら一体の森が吹っ飛ぶぜ。


「行きますよ!

ヒュドラ!この一撃を耐えられますか?」

「ひゅはっはっはっは!

余は今まで傷付けられた事がない!

傷付けられるものなら、

傷付けてみるがよい!」


言ったな?


思い切り腹部にパンチを入れる。

ヒュドラの鱗が蒸発し、

柔らかい腹部に魔法が全て炸裂する。


発射した全魔法が炸裂し、

ヒュドラは身悶えし、

首が全部蒸発し、

眩い光に包まれた。

体が焼け焦げた状態になって居る。


「やったのか?」


犬っころおお!

貴様、それはまずいやつだろ!?


「貴様等……。

中々やるではないか。

余も、本気を出すとしようぞ」


焼け焦げた体から、

一本の太い首が出て来て、

首長竜の様な姿になった。


「どうした?貴様等、余を怒らせた罪は重いぞ。

ひゅはっはっはっはっは!」


まずいな。

もう此方側は、全員体力切れだ。


「ろ、ろみー!何か作戦はないの!?

やばいよ!まずいって!」

「ロメディア卿!どうにかしてくれ!

このままでは全滅だぞ!?」

「ロミー!お前なら出来るだろ!?」


出来ねーよ!

後は助けてもらうぐらいしか。

ダレカタスケテ!

《了解。今すぐに向かいます》


……この声は聞いたことがある。

数年前に、俺の人生を無茶苦茶にした奴だ。

まぁ、仕方なくやったんだろうけど。

後であの薬について聞いとこう。

そうだよね。草食竜っぽい奴には、

地上の暴君の出番だよね。


ヒュドラの首に噛みつき、

動かなくなるまで、

深く牙を突き立てた。


「やめろ!何者だ貴様!

精霊……?くそっ!邪魔をするな!」


そのまま、抵抗はだんだんと弱まり、

絶命した。


12の難行のクリアである。

だが、その前に此奴らに話を聞かなければな。


「何故、ここに居るんです?

ボーン。それにメリッサ」


俺たちの窮地を救ったのは、

恐ろしく大きくなって居るボーンと、

相変わらず美貌を保って居る、

可愛いメリッサだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ