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間話 『悲しいハープ』
ハープの音が響く。
木々はそれに答えるように揺れ、
動物はその音に引き寄せられ、
音に集中する。
優しい音色が体を包み込み、
目がさめる。
悪夢を見て居た感覚で、
全身は汗で濡れている。
目からは涙がこぼれ落ちるが、
どんな夢を見たのかも覚えて居ない。
「ロミー、どうしたんじゃ?
怖い夢でも見たのかのぅ?」
ハープを弾いているギーモンが、
曲を奏でながら話しかけてくる。
「思い出せないんです。
でも、とても怒って、
とても悲しかったような、
不思議な夢だった気がします」
「……そうか、そういう時もあるじゃろう。
寝れるときに寝て起きなさい。
まだ陽も上っておらんぞ」
「ありがとうございます。
……先程から何の曲を演奏しているのですか?」
「むっ?これか。この曲は、
儂の妻、つまりロミーのお婆さんのリーベルが、
気に入っておった曲でな。
若い男女の冒険の歌なんじゃ。
儂は今でも、旅の安全を祈って歌っておる。
おっと……話が過ぎたのぅ。
さぁ、早めに寝なさい」
「分かりました。
お休みなさい。お爺様」
「おじいちゃんで良いんじゃぞ?
ほっほっほ」
笑いながら奏でられたハープからは、
寂しい音色が奏でられていた。




