第35話 『悲壮と契約』
少し胸糞展開かもしれないので、
苦手な人はご注意ください。
頭が三つある犬が走り回り、
ツインテールの女性に噛み付いた。
「痛っ!離しなさい!離さないと酷いわ!」
女性は腕を振り回し、
どうにか逃れようとするが、
しっかりと噛み付いていたのか、
全く離れず、傷口が開いて行く。
「警告はしたわ!悪いのは貴方だからね?
私悪くないからね!」
被害に人差し指を突き立て、
何かを唱えると、犬は消滅していった。
今のはなんだ?創造神ちゃん?
「ひゃっ!?居たの?呼んだ覚えないんだけど!?
それにちゃん、だなんて……照れるよぉ」
こ、こいつ!案外可愛い!?
「当たり前じゃない!創造神よ!創造神!
それはそうと、今のはね?
魂をあそこに還元したの」
世界樹の根元を指差し、
指をくるくると回す。
還元……っていうと?
「魂を魂の大元に戻すの。
また別の魂にするためにね。
一応世界樹に吸収された魂は、
分解されて創元の宮殿に溜まって行くのよ。
それで、新しい魂を私が作るわけ」
なるほどな?でもなんで今、警告したんだ?
「本来なら記憶を消して、
もう一度世に送り出すの。
でも、なんども繰り返せば魂は耐えられなくなって、
粉々に砕けちゃうわけ。
で、その前に作り直しちゃえ!って戦法を取ったの。
まぁ偶に失敗して、君みたいに前世の記憶を持っちゃう子も生まれちゃうんだけどね?
なんか俺が失敗作みたいな言い方やめてくれないか?
「失敗作だなんて大袈裟な。
元々ロメディアちゃんの体は、
相当強めに作ってあるのよ?
今回みたいな大魔法を使うとは思わなかったけどね。
前世の記憶があるからだろうなぁ。
おかげで私も大変よ」
大変?何か仕事が増えたのか?
「貴方のせいでね。
試験世界の結界に穴が空いちゃったのよ。
元々、こんな魔力を持った子を産ませるつもりは無かったのに……。
魂が元の肉体状態で具現するなんて初めてよ。
もうあの世界消したほうがいいかなぁ?」
待て待て待て、考え直せよ?
俺が悪かったって。
「んー。じゃ、お詫びとして、
あの世界を消してきて?」
そりゃ無理な相談だろ。
「ほんと?嬉しい!私の手間が省ける!
貴方にこの魔法を教えてあげるね!」
しないからな!絶対にしないからな!
「じゃ、貴方がやる気になるような事言ってあげる。
君の両親が、この間ここに来たよ。
餓死だった。へリル王国の地下でね。
君が好きだった侍女のメリッサも、
ウサの街消滅事件のおかげで死刑宣告。
全部君のせい。お分かり?」
両親が……死んだ?
な、何言ってんだよ?
最低限の食事ぐらい配ってくれてるんじゃ?
「甘いよ。それは地球でのお話。
この世界は、君の世界ほど良い世界じゃない。
野蛮なんだ。とにかく野蛮なんだ。
嫌になるくらい……ね?」
そんな……嘘だ、嘘なんだろ?
嘘って言ってくれよ!
頼むから!お願いします!嘘って、
嘘って言ってよ……お願い……。
「ごめんね……こうなる事は分かってたけど、
こうしなきゃ君も覚悟ができないと思って…。
本当のことなんだ。
両親も、メリッサも。
死んじゃった。
簡単に、いとも簡単にね。
メリッサは魂の状態でも、
君を心配して居たよ。
もちろん君の両親も、泣きながら聞いてきたよ。
私の息子は元気でやってるか?ってね。
君が強くならなきゃ、
君の事が好きなヴェナちゃんも、
もっと大切にしているギーモンも、
密かに君を狙ってるヴォーラフだって、
守れなくなっちゃうよ?
それでも、新しい魔法は、嫌?」
……。教えてくれ。
頼む。教えてくれ。絶対に、
絶対にブレイダルの野郎だけは許さない。
同じ苦しみを与えてやる……。
「おぉ、怖い怖い。
こんなこと言っちゃってごめんね?
またおやつ減らされるかもしれないけど、
極大闇魔法を教えよう!
第0階位魔法の暗黒の礎!
これで全部!全員!破壊しちゃって!
魂ごと消えちゃう代物だよ!
いや、まぁ大元に戻すだけだけど。
君たち一行は転生コースだね。
家族になれるよ!きっとね!
地球に戻してあげる。ふふふ」
分かった。契約成立だな。
俺は家族の敵討ちで、
試験世界を破壊する。
その代わり、お前は俺達を救う、だな?
「そうそう、その通り。
まぁ今回は、悲しいことを教えちゃったし、
出血大サービス!
今回会ったことの記憶を消してあげる!
これでおあいこ!行くよ!」
創造神の合図とともに、
目の前が真っ暗になった。
創造神「これで完璧!」
善神「おやつ500年抜き」
創造神「えぇぇぇ!?なんで!?」
善神「摂理破った。馬鹿」




