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異世界拳聖 〜魔法と筋トレ始めました〜  作者: 英雄の原材料
3章 少女期 復讐の誓い編
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第22話 『再会』

裁判まで、一週間の猶予があった。


その内3日はハリウスの行動を記録した。

ハリウスは夜中の3時くらいから、

明け方の6時くらいまで俺の牢屋の前にいて、

俺が起きる前に何処かへ行くことがわかった。


今日もいつも通り就寝時間の12時で、

寝たふりをしてハリウスを待っていた。


1時、2時、3時。

暇をつぶすこともないので、

何度も意識が飛びそうになったが、

魔力を使おうとした際に起こる、

結界反発力(マギア・カウンター)のお陰で、

なんとか起きて入られた。


足音が近づいてくる。

俺は壁側を見て、その足音が牢屋の前に来るのを待った。


足音が止まるのと同時に跳ね起きて、

牢屋の前にいるハリウスの首を絞めた。


「やっ、辞めろ。離せ!俺だ。俺だよ!」


ハリウスが咳をし始めたぐらいで首を締めるのを辞め、

胸ぐらを掴んだ。


「ハリウス!俺をここから出してくれ!

冤罪なんだ。俺はやってない!

エフダの仕業だ!見事にはめられたんだ!

信じてくれ…。頼む……」


ハリウスは一瞬考え込む様な顔をして、

俺の顔を見つめていたが、

やがてため息を吐いて、口を開いた。


「なるほどな。俺がこの間王様の所に謁見した時、エフダさんに褒美を与えてたから、

何事かな、とは思ったんだ。

それにしても久しぶりだな。ロミー」

「あぁ、久しぶりだな」


俺は久しい友との再会を喜んだ。

ハリウスも嬉しかったのか、

俺を抱きしめてきた。


再会を喜んでいた友の顔は、

俺を抱きしめた瞬間に変わった。


「いや、お前は……、ロミー…なのか?」

「どうした?何か変か?」


ハリウスは急に黙り込んでしまった。

何故だろう。俺の背中がそんなにも痛々しいことになっていて、

顔とかが変に歪んでたりするのかな?


「お前…ロミーじゃないな?」

「いや、ロミーだよ。ロメディア・ハーキュリーズ!」

「俺が知ってるロミーは、

女じゃねーぞ。お前は胸があるし、

男の体とは思えない柔らかさだ。

名前を騙るだけの小悪党が…」

「待て!待ってくれ!ハリウス!ハリウス!」

「偽物なんかに用はねーんだよ。

くそっ。よくよく考えりゃおかしいんだ。

ロミーが犯罪なんて起こすわけねーんだよ」


くそっ!そうだった。

俺は同級生の中で、ヴェナにしか性別がバレてないんだ。

ハリウスは俺の事を男だと思ったままだ…。


望みが絶たれちまった。

脱獄は出来ないし、

下手をすれば、断頭だ。


脱獄をしようにも、

唯一の望みだったハリウスが絶たれてしまった。


結局俺は王に裁かれることになった。



謁見の間は昔見た時から変わっていなかった。

王は面倒臭そうに俺を見ながら、

髭をいじっている。

王の周りには4人の貴族が座っている。

それぞれハーキュリーズ家で、

サーマ、ヤジュル、アダルヴァ、リグのミドルネームが付いている。

因みにリグの血筋の代表はギーモンで、

俺が謁見の間に入って来た瞬間、

とてもショックを受けた様な顔をして、

複雑な感情を抱いているのが目に見えた。


「残念だよロメディア君。

貴様は数年前にヘリル王国に反逆しないつもりだと言ったと記憶してるのだが?」

「えぇ、勿論そのつもりですし、

今回もそうです。つまり冤罪なんです」

「ほぉ?冤罪か?では誰がやったと言うのだ?

我は貴様の契約精霊がやったと、聞いておるのだが?」

「エフダさんの奥様である、

ナリーア殿にお話を聞いていただければ幸いです。

私は彼女が精霊に、毒の様なものを投げ付けるのをこの目で見ました」


俺は正直に、自分の知っていることを全て話した。

しかし帰って来た答えは、

期待よりも遥かに低い返答だった。


「なるほど。嘘が上手であるな?

我は既にエフダと話をしたが、

急に貴様の精霊が暴れ出して、小龍を解放したと聞いたぞ?

それ以前に、どうして貴様は契約精霊をコロシアムなぞに出したのだ?」


答えようとしたら、

後ろで俺を拘束している兵士の一人が、

鞭を打ってきた。

既に満身創痍の状態であったので、

謁見の間に俺の血が飛び散った。

ギーモンが飛び出そうとしたが、

王に制止されていた。


「どうした!答えぬか!

貴様はどうして!精霊をコロシアムに出したのだ!?

我の質問に答えられると言うのなら、

今すぐにでも貴様の処罰を決めてくれようぞ!」


答えようとしても、

何度も鞭を打たれる。

血が飛び散った、俺の周りは真っ赤に染まっていた。


その痛みのあまりに体を動かし、

回避行動を取ろうにも、

手錠と足枷は、兵士に固定されているため動かず、

魔法付与(エンチャント)をしようにも、

結界が貼られている為、行使できない。


兵士や王の笑い声が聞こえる。


「答えぬと申すか!

それもまた一興よ!貴様の処罰を決めようぞ!

サーマ!ヤジュル!アダルヴァ!リグ!

其方らの答えはなんだ!」


ギーモンのみが反対をしてくれたが、

王は聞く耳を持つどころか、

ギーモンにも犯罪者呼ばわりを始めた。


「くそっ!ギーモン!何故反対するのだ?

これでは打ち首が出来ぬ!

……仕方があるまい。

ロメディアの処罰は、奴隷階級への転向だ。

兵よ!ギーモン以外のリグの血筋を、

皆ここへ連れてこい!」

「王よ!おやめください!

どうか儂の命で良いので、

ロメディアの父母は奪わんといてやってください!」

「ならん!ウサの街はヘリル王国にとって、

どれだけ不可欠である都市か分かっておるのか?

あの都市が無ければ間違いなく、

我等がヘリルは、アバルディアに侵攻されるであろう!

その都市を破壊した家族など、

何度殺しても殺し足りぬ!」


ギーモンは信じられない物を見る目で王を見つめ、

やがて決心した様に口を開いた。


「そこまで落ちぶれていたとは……。

儂は心底呆れましたぞ!

王よ!前に戦った時は儂の勝ちでしたな!

ご覚悟願いますぞ!」


ギーモンが王に戦いを挑み、

剣を抜く様を見ながら、

俺は兵に連れていかれた。


しばらく剣を叩きつけ合う音が聞こえたが、

やがてその音は聞こえなくなってしまった。

勝敗が付いたのだろうか。

そうであればどちらが勝ったのだろうか。


俺は妙に冷静にそんな事を考えながら、

奴隷商へ売られた。


-----


奴隷になって数日が経った。

ギーモンやアルク、メーネやメリッサの安否は、

何も聞いていないが、

大丈夫だろうと自分に言い聞かせ、

平静を保っていた。


奴隷商はヤジュル領のとある村に設置されていた。

商人達はほとんどが獣人個体で、

顔に傷が入ったもの、腕がないものなど、

様々な人物がいた。


食事はあまり美味くはなく、

服は着ることができない。

衛生面の管理はしっかりされていなかった。


朝は早くから見世物にされ、

裸の俺を品定めの目で見てくるが、

背中の傷を見た途端に態度を変え、

急に殴られるのだ。


夜遅くになると酔っ払いが来て、

酒瓶を投げられたり、

体を触ったりと延々繰り返した後、

身体検査だろかいって、

何度も殴られた日もあった。


考える事を放棄し、

ただ起こる事をそのまま受け入れることにした。

傷は増えていき、

体はボロボロな状態になった。

雨の日も風の日も、毎日晒され続けていた。



殴られ続けたせいで、

恐らく色々な部位の骨が折れた状態で、

露店にずっと立たされ続けていたある日、

一人の男が俺の前で足を止め、

店の者と話し込んでいた。


どうせ品質チェックだとか言って、

殴られたり、体を触ったりとされるのだと、

諦めていたが、その男は俺の名前を聞いた途端、

考える様な素振りを見せ、

帰っていった。

店員に知り合いかと聞かれたが、

知らないと答えた。


「それにしてもお前……。

傷だらけ過ぎるな。ほら休復(セラピア)

お前も可哀想な奴だよな。

元は貴族の出身だったんだって?

よく耐えられるよな。

俺だったらもう自殺してるぜ」


彼は狼系獣人のヴォーラフだ。

アルバイトで来ているらしく、

俺が奴隷として売られたら、

そのしつけ役ろして付いてくることになっている。


「そういえばよ。

さっきの男、お前の名前を聞いたら、

買うかもしれないから、待ってろ!

とかって言ってたぜ?

知り合いか何かか?」

「……いや。知らない」

「そっか。まぁ元とはいえど、

ハーキュリーズ家だもんなぁ。

貴族を好む奴も多い時代だしな」


ヴォーラフと軽口をたたいていると、

男が娘を連れて戻って来た。


俺はその娘を見た途端に、懐かしい感情で溢れ、

堰を切ったように涙が溢れて来た。


「ロミー……なの?」


声の主はヴェナだった。

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