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第18話 『思いがけない来客と忍び寄る影』

ドナルド家に、悲鳴に似た驚きの声が上がった。


声を出したのはエフダの妻、

ナリーア・ドナルドだ。


「貴方、女の子だったの!?」


お風呂から上がった時に、

着替えを持って来てくれたのだ。

俺を見たなり驚いた顔になり、

叫んだというわけだ。


服を着ると、ナリーアに色々と質問をされた。


「えっと…まず、なんで女の子なのに、

男の子の喋り方をするの?」

「異世界から来たんです。

元の世界では男だったんですよ」

「ははは、面白い冗談ね。

で、本当はなんなの?」


躊躇いもなく本当の事を言ってみたんだが、

ダメだったみたいだ。


「本当はですね…。誰にも言わないでくださいよ?

実は俺、異世界から転生したんですよ。

元の世界では男の子だったんで……」

「さっきと同じじゃない?

冗談はもう良いから、本当の事を教えて?

親に強制されてるとか?」


ダメか……。どうしようか。

本当の事を言っても無駄ならそれっぽい嘘をつくしかないな。


「あーっと……、昔は男の友達が多かったので、

その時の周りの言葉に慣れちゃって、

俺もその言葉を使ってるんです」

「あぁ、なるほどね?

やっぱり若いうちに他の人と会っちゃうと、

言葉とかが写っちゃうのよね……。

女の子として見ると、貴方可愛いじゃない!

明日は女の子の服を買ったり、

ショッピングしに行ったりしましょ?」

「あぁ、いや、遠慮をしておきます。

エフダさんとコロシアムを見に行く予定でして……」

「旅行は3日間でしょう?

大丈夫よ!明日に見に行けばいいじゃない!」


半ば無理やり、明日の予定を決められてしまった。

まぁ、エフダよりはナリーアの方が街を自由に歩けるので、都合が良い。


当初は一部屋与えられていたが、

可愛い女の子を一人で寝かせられないという事で、

ナリーアと寝ることになった。

完全にセレブな雰囲気のする彼女は、

やはり良い香水を使っているのか、

とても良い匂いがした。


-----


結果を言えば、散々だった。

前世で言えば、ゴスロリの部類に入るであろう服を着せられて、

その上香水やら何やらを色々とかけられ、

化粧されて、髪をセットされた。


「女の子っぽくなったじゃない!」

「あ、はい、そうですね、ははっ、ははっ」


心が折れた。

着替え中など、ずっと泣いていたのだが、

ナリーアは喜んで俺を着替えさせてくれる。

鬼だ…悪魔だ……。

悪魔(ナリーア)は俺の頰を引っ張って、

ニコニコしている。

ナリーアに抱っこしてもらって、

家に帰った。

泣きじゃくっている俺をあやしながら、

家に一緒に帰った。


「よしよーし。良い子だね?

可愛いお顔が台無しでちゅよ〜?」

「あ…あぁ…か、あが、あぁぁぁ!」


あまりの恐怖に、意識を失った。

もはやトラウマものだ。




目を覚ますと、ナリーアに見つけられていた。

先程の恐怖が蘇ってくる。


「いや、いやだ、誰か、た、すけて」

「泣いてる顔も可愛いわねぇ。

ハーキュリーズ家の人間に会うのって、

初めてなのよ。代々美男美女揃いの華の一族。

羨ましいわぁ。

一緒にお風呂に入りましょ!

体を洗ってあげるわ!」


に服を脱がされ、水の中に入れられた。

ナリーアはヌルヌルした固形物(石鹸)を押し当ててくる。

終わりだ…もう駄目だ…。


「やめて…お願いします…」

「駄目よ?綺麗にしてあげるんだから」

「ひっ……許して……ください…」


無慈悲にも体を洗われてしまった。

俺は再び、恐怖で気を失った。


----ナリーア視点----


昨晩、珍しく来客が来た。

とても美少年で、竜の様な物に乗っていた。

下位精霊のボーンだそうだ。

こんな子供が、こんな生物を思いつくだなんて…。

聞くことによればまだ成長中で、

もっと大きくなるんだとか。

馬よりも早く、魔物よりも強い。

龍の様な風貌で、

下手な龍よりも大きい。


ーー化け物だ。殺さなければ……。


ナリーアは世界(ワルド)教の信者だ。

世界(ワルド)教の教えに、

力を持つもの、滅するべし。

というものがある。

この街に龍人や魔人がいないのは、

ナリーアが多種族に対し、

強固な態度で入街を拒否しているのだ。


だけれど、どうやって殺す?

下位精霊とはいえど、

具現生物は恐ろしく強い個体だろう。


そうだ…コロシアムで小竜と戦わせれば…!


上手くいけば相打ち、

悪くてもどちらかが死に、

金儲けが出来るわけね……。


「おい、ナリーア。ロメディア君に、

着替えを持って行ってあげなさい」

「えぇ、分かりました。

ところで貴方。あのボーンとかいう精霊、

コロシアムに出せない?」

「ロメディア君に聞いてみなければ分からないだろうな。

まぁ私もボーン殿と小龍の戦いは見てみたい物だ」


計画は成功ね……。

これで恐ろしい化け物を、まとめて……。


着替えを持っていくと、

体を拭いているロメディアがいた。

体を拭くのを手伝ってあげようとした瞬間、

違和感に気づいた。


私は驚きの声をあげた。

彼女は女の子だったのだ。

話し言葉が男だったし、

声が可愛らしいのは、声変わりをしていないからだと思い、

男として接していた。


何故男の子の口調をしているのかと聞いても、

異世界から来たんだとか、

よく分からない嘘を重ねていたが、

三度目で観念したのか、

子供の頃の話をしてくれた。


やはり小さい頃から男の子と女の子を、

同じ場所に置くと、こういうことが起こるんだ。

やはり、学校制度を見直した方が良いのではないか、と思った。


それにしても、ハーキュリーズ家は美男美女揃いと聞くが、

やはり目の前にいるロメディアも例外ではない。

超美少女だ。

男の服装のせいで美少年に見えたが、

明日、女の子の服を買ってあげよう。


「女の子として見ると、貴方可愛いじゃない!

明日は女の子の服を買ったり、

ショッピングしに行ったりしましょ?」

「あぁ、いや、遠慮をしておきます。

エフダさんとコロシアムを見に行く予定でして……」

「旅行は3日間でしょう?

大丈夫よ!明日に見に行けばいいじゃない!」


私は半ば無理やり、

ロメディアを買い物に連れて行った。


----


まずは女の子向けの服を買ってあげないと。


まず向かったのは、貴族御用達の服屋だ。

最近の貴族のトレンドの服を着せてあげると、

ロメディアは明らかに嫌そうな顔をした。

可愛い。とても可愛らしい。

彼女には黒い服が似合う。

つまり怪しい雰囲気がぴったりだった。


次に行ったのは香水のお店。

私のつけている香水をかけてあげると、

彼女はため息をついた。

頭を撫でてあげたけど、

不機嫌な顔は治らなかった。


最後に化粧をしてあげた。

黒い服だったので、怪しい感じにメイクをした。

色白だったので、黒い服が余計に白さを際立たせる。


かつて、人々を恐怖に陥れた魔族の、

ヴァンパイアの様だ。

一つの芸術品の様な彼女は、

泣いていた。

可愛く美しい顔で、

泣きじゃくっていた。


仕方がないので抱っこをしてあげて、

そのまま家に帰った。

嗚咽を繰り返しながら泣いていた。


「よしよーし。良い子だね?

可愛いお顔が台無しでちゅよ〜?」

「あ…あぁ…か、あが、あぁぁぁ!」


彼女は変な叫び声をあげて、

寝てしまった。

泣き疲れたのだろうか。



家に帰って毛布をかけてあげた。


「ロメディア君は寝てしまったのか?」

「そうみたい。疲れてるのかもね」

「そうか…若いけど、あまり無理はさせない方が良いかもしれないな。

あぁ、それとボーン殿がコロシアムに出てくれるそうだ。

コロシアムの行事に入れておいたよ。

観客が待ち遠しいって言ってたよ」

「あら!やったじゃない!

白熱した戦いが見られるわね!」


エフダは高笑いしながら部屋を出て行った。


しばらくして、ロメディアが目を覚ました。


「いや、いやだ、誰か、た、すけて」


急に泣き出してしまった。

怖い夢でもみてしまったのだろうか。

子供は怖い時、一人でお風呂に入りたくなくなるそうだ。


そうだ!一緒にお風呂に入ってあげよう。


「泣いてる顔も可愛いわねぇ。

ハーキュリーズ家の人間に会うのって、

初めてなのよ。代々美男美女揃いの華の一族。

羨ましいわぁ。

一緒にお風呂に入りましょ!

体を洗ってあげるわ?」


服を脱がして浴槽に入れて、

石鹸で洗うと、

顔を歪め、何かを恐れる顔をした。

怖い夢を思い出してるのだろうか。

かわいそうに……。


「やめて…お願いします…」


私を夢の中の怖いのと勘違いしているのだろうか。

可愛い。かわいそうだけど、体は洗わなければいけない。

ここで逃してしまうと、汚いままになってしまう。

名門貴族の子供だ。そんな事をすれば私の首が飛んでしまう。


「駄目よ?綺麗にしてあげるんだから」

「ひっ……許して……ください…」


彼女は気を失ってしまった。

かわいそうに……。よほど怖い夢を見てしまったのね。


気を失った彼女をタオルで拭き、

布団に寝かせてあげた。

頰が柔らかい。

私も子供が欲しいな……。


思いもよらない形で、

私も子供が欲しくなってしまった。

もしかするとロメディアは、

私の考えを変えるために、

ワルド様が遣わした天使かもしれない。


私もロメディアの隣に寝転がって、

そのまま、深い眠りへと落ちて行った。

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