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第10話 『修学旅行・前編』

少しだけ、刺激が強い可能性があります。

 5歳になった。


 今年はもう学校内最高学年になるので、

 授業も、偶に顔を出すだけで良いのだ。


 なんて甘い制度なのだろう。

 前世では受験だとか就職とかで、

 最高学年っていうのは、大忙しなのだ。


 だが俺は既に卒業後の進路は決まっている。

 学校で働ける事になったし、

 なにより給料も月給銀貨5枚だ。


 銀貨5枚も、だ。5枚もあれば色々と買えるな。


 周りを見て思うけど、

 精神的な面では、前世の学校に比べ、

 相当成長できていると思う。


 死地に何度も遭遇し、

 その度に脱してきたからだ。

 なんて世界だ。子供の頃から死が隣合わせだ。


 そういえば、武闘大会の優勝賞品として、

 魔術教本〜召喚編〜をもらっていたはずだ。


 筋トレをしながら片手間に本を読み漁る。



 ==========召喚編==========



 召喚の方法は二種類あり、

 召喚できるのは大きく分けて4種類だ。


 方法について


 1.詠唱による召喚。


 低階位精霊を呼び出すことができる。


 低階位精霊は契約者に絶対服従する。

 契約者の思い描いた通りの姿で現れ、

 命令の通り忠実に動く。

 能力は、召喚された時の姿に由来する。


 2.魔法陣による召喚。


 上位階位精霊を呼び出すことが出来る。


 上位階位精霊は契約者に絶対服従はせず、

 自らが認めた相手にだけ服従する。

 必ず人型で現れ、

 命令次第では絶世の美女や、相当な美男子にすることもできる。

 能力は、各精霊の固有能力に由来する。


 上記2通りが召喚の方法である。


 呼び出されるのは精霊だけではない。

 例として、

 生贄を置くことで悪魔と契約が出来る様になる。

 悪魔との契約は危険で、失敗すると命を奪われるだろう。


 遠くのものを近くに召喚する際は、

 魔法陣回路を少し改良すると良いだろう。


 =======================


 ふむ。下位精霊を呼び出すには、召喚(サモン)と唱えれば良いのか…。

 最近は移動手段が欲しくなってきたのだが、

 下位精霊を呼び出せば、乗り物になってくれるだろうか。


 そうだな…。どうせなら足の速い動物がいい。

 能力が姿由来なら、馬は足が速いかもしれない。


 だけど、馬は…あんまり強くないな。

 強くて、足の速い動物が良い。

 ビジュアルも格好いい方がいいな。


 ドラゴンとかどうだろう!

 かっこいいし、何より空を飛べる!


 いや、ドラゴンは都市破壊の象徴の様な物だ。

 この世界でそんな奴が現れたら、

 俺ごと討伐されちまう。


 竜はダメか…。ん?竜?


 恐竜だ!この世界には恐竜なんていない!

 格好いいし、恐れられることもない!


 とは言っても、何を呼びだせばいいだろうか。

 ゴジ◯とかは、デカすぎるし…。


 やっぱり、ティラノサウルスだろうか。


 足が遅いって聞いた事あるけど、

 速いって聞いたこともある!


 歩くのより速いし、何より強い!

 決めた!ティラノサウルスを呼ぼう!

 足が速くて、とても強いティラノを呼び出そう!


 召喚(サモン)を唱えると、

 光が辺りを通む。魔力がごっそり持っていかれた。

 危ない。また意識を失うところだった。

 目を開けると、そこにはかの邪智暴虐の王、

 地上の支配者と呼ばれたトカゲ(ティラノサウルス)の子供がいた。


「私を及びくださり、感謝します我が主よ。

 貴方の名前は、なんとおっしゃるのですか?」


 驚いた、喋れたんだ。

 てっきり下位精霊は意思を持たないんだとばかり思ってた。


「あ、あぁ、俺はロメディア。

 今日から俺が君の主になったわけだけど、

 早速命令をさせてもらうよ。

 敬語はやめてくれないかな…?

 その姿の敬語は、ちょっとおかしいからね。

 姿に見合う言葉を使ってみて?」


 本心だ。ティラノサウルスに敬語を使われるのは、

 ただただ、変な感じがする。

 なんというか、ギャップが気持ち悪い。



 精霊は自らの姿を見て驚愕していた。

 精霊とはいえど、初めて見るであろう、

 その子竜の姿は、王者の雰囲気を纏っている。


「契約者の命令は絶対ですが、

 契約の関係上、下位精霊は主人の事を同格に扱うことはできないのです」


 なるほど。契約の関係上ねぇ?

 でも、敬語を止めることが出来ないんだったら、

 どうにか慣れるしかないな。


「なぁ?名前ってなんて言うんだ?」

「私には名前がありません。

 その様なものは上級精霊のみが持っている物で、下位精霊のほとんどは、名前を持たないのです」


 そっか、下位精霊って結構不憫だな。

 でも名前がないと呼びにくいしな。

 ティラノサウルスって、

 確か暴君トカゲって意味だったはずだ。

 そうだなぁ。暴君。ボウクン。ボークン。

 ボーン……。ボーンだ。ボーンにしよう。

 骨みたいだけど、化石っぽくて良い名前だ!


「よし!なら俺がお前に名前を付けてやる!

 今日からお前はボーンだ!」

「ハッ!ありがたき幸せです!」


 目の前の恐竜(ボーン)は、

 まだ相当小さい。おそらくだが30cm程度だ。

 精霊も召喚された姿で成長するらしく、

 数週間で、俺ぐらいなら乗せられるようになるだろうと、

 言われた。乗るのが楽しみだ。


 -----


 修学旅行は、人間種最大の国であるヘリル王国に向かう。


 ギーモンも王国への出発をずらしてくれて、

 一緒に王国へ向かう事になった。


 学校には既にいつもの奴等が集まってた。


「よぅ!ロミー!久々だな!」

「ロミー!おはよう!楽しみだね!」


 ハリウスとボーラはいつの間にか、付き合い始めた様だ。

 ボーラがハリウスにベッタリくっついている。


 最近学校に顔を出してない俺は、

 みんなの顔が結構懐かしく感じられる。


 今回は長旅になりそうだ。

 王国までの道は長く馬車で進むと、

 片道3日はかかる。

 王国内で2泊するので、

 片道3日で、2泊する。つまり2泊6日だ。


 全班に馬車を用意したようで、

 10数車学校に止まっている。


 今回は暇潰しの為に、

 前世の歌をいくらか歌おうと思う。

 俺の美声を、こいつらに聞かせてやる。


 思えば、この世界には曲が少ない。

 儀式の際や、特別な時にしか曲が流れていない。

 もっと音楽を娯楽要素に入れるべきだ。


 リーモル先生のありがたい(くっそながい)話が終わり、

 気の早い生徒(ハリウス)達が馬車へ乗り込み始めた。


 こう言う時の動きはいつも早いんだ。

 集合時間には平気で小1時間は遅れる。

 だからタイムスケジュールは、

 彼にだけ二時間早いものを渡している。

 この間は珍しく時間通りに来て、二時間待ったらしいけど、

 知った事じゃない。俺だってそれぐらい待ったことがある。

 やられたらやり返すのさ。銀行員みたいだ。


 長い旅が始まった。


 ---1日目---


 皆で話をしながら外の風景を見た。

 たわいのない話だ。

 空気が美味しい、だとか、ロミーいい匂いだとか。

 おいおい、いい匂いだって?照れるなぁ。

 いい匂いのする母親と同じ石鹸で体を洗い、

 一緒に寝るんだ。

 今の俺は母親にそっくりな甘い匂いがしてる。

 自分の匂いでリラックスできるレベルだ。

 あの石鹸、何が原材料なんだろう。


 ……暇すぎる。会話はたまに起きるが、すぐに途切れる。


 日は既に落ち、馬車の音が響く。

 みんな真面目だ。

 ヴェナは数分前まで起きててくれたが、

 結局みんな寝ちまった。


 静かだし、やることないし、

 だけど、眠くない。

 そうだ、風景がある。風景を楽しもう。



 えー。右手に見えますのは、

 アフェリッサの森だね。

 この森がアフェリッサって名前だと分かったのは最近なんだ。

 こう見えて箱入り娘なんだぜ、俺。

 そういえば、村の名前も聞いたことない。

 学校の名前だって知らない。

 興味なかったから、調べもしなかったけど、

 実際なんて名前なんだろ。

 暇になったら、

 どうでもいいことでも考えないよりマシだね。



 続いて左手に見えますのも、

 アフェリッサの森でございます。

 またか、とか言うなよ。

 ヘリル王国領直前までこの風景は続くぜ。

 あぁ、待て。言いたいことは分かるぜ。

 分かるけど暇なんだ。俺の暇潰しに付き合ってくれよ。


 この森の特徴って、

 暗い!寒い!静か!

 の三拍子が揃ってるからな。

 幽霊が出るのも時間の問題かな。


 本当につまらない風景だ。

 見渡しても木!木!木!

 振り返っても木に林に森、魔物!


 はっ?魔物?


 馬車が飛んだ。まずい!敵襲じゃねぇか!

 ここの森の魔物って、

 結構強いんだよなぁ。


 ハリウス達が宙へ投げ出され、地面に叩きつけられた。

 へっ。俺の暇潰し相手になってりゃ、

 痛い思いはしなかっただろうよ。


 馬のような頭に、牛のような体。

 俺に突進しようと身構えている。

 好きだぜ、突進してくる相手。

 さぁ!俺の胸に飛び込んでこい!


 突っ込んで来た牛馬に、

 俺は華麗に右アッパーを食らわせた。

 これぐらいの魔物なら楽勝さ。



 馬車は粉々だった。

 どうしよう。馬車であと二日はかかるのに、

 馬車がないと、王国に着くのに、何日かかるだろう。


 ハリウス達が起きて来た。


「どーすんだよ…これ。旅行行けねーじゃん。」

「ろ、ロミーがどうにかしてくれるわよ!ねっ?ロミー?」


 勘弁してくれよ嬢ちゃん(ボーラ)

 魔物が来るのも予想外なんだよ…。

 馬も逃げ出しちまったし…。

 さて、本格的に困ったな。

 どうしたもんか…。


「ほっほっほ。付いてきて正解じゃったな」


 途方に暮れていた俺達に、

 希望が差し込んだ。


 おぉ、神々しく見えるぜ、ギーモン!


 どうやらギーモンは俺の事を心配して、

 後ろをつけてたらしい。

 今回はその追尾(ストーカー)のおかげで助かった。

 森で数日暮らす事になるところだった。

 安心すると、眠気が襲って来た。

 ギーモンに寄りかかるようにして、

 俺は寝た。


 ---2日目---


 翌日、昼過ぎに俺は起きた。

 ハリウス達に寝坊助だとか言われたが、

 ギーモンの額に青筋が浮かび始めたぐらいで、

 急に静かになった。助かるぜ、ギーモンさん。


 暇になるかとも思ったが、

 今回はギーモンが昔話をしてくれた。


 人王ブレイダルの子供の頃からの話だ。

 魔法の神童で、3歳で4階位魔法を扱っていたらしい。


 バケモノだ。4階位魔法といえば、

 どれくらいの威力になるのだろう。

 5階位魔法の超雷雲(スーパーセル)でさえ、

 災害レベルだったのだ。

 第一、この世界の魔法は1階位上がるごとに、

 相当に威力を増す。

 8階位の光出(フラッシュ)は、

 明かりをつけたり、目眩しをする魔法だが、

 7階位魔法の光線(レヨン)は、

 エネルギーを放ち、一箇所を貫く技だ。


 定義がよくわからないが、

 最近はマグニチュードのようなものだと、

 解釈している。1階位上がれば32倍だ。

 うん、納得できる。


 ハリウス達は面白そうに聞いているが、

 正直相当つまらない。

 王国の政治の話だ。

 戦争をしないように勤めた話や、

 税を上げる話だとか、

 明らかに子供向けではない話を、

 ハリウス達は真剣に聞いていた。


 気がつくとあたりは真っ暗で、

 ハリウス達は寝ていた。


「ロミー、まだ起きとったのか」

「あぁ…うん。寝れなくてね…」

「早く寝るんじゃぞ?」

「分かってる」


 俺は目を瞑り考えた。

 国王ブレイダルは間違いなく強い。

 俺なんかじゃ足元にも及ばないだろう。


 昔見た本には、人類種は亜人種の中で最も弱いと書かれていた。

 となると世界には人王より強い者など、

 大量にいるのではないだろうか。


 とんでもない奴等だらけなのだ。



 -----



 騒がしい声で目が覚めた。

 いつの間にかに眠っていたらしい。


 見渡せば店が並び、とても賑やかだった。


 ヘリル王国。

 人類種の技術が結成し、

 ヴェーダ家による王政が続く国家である。


 王都は巨大な結界で守られており、

 魔物は進入できないようになっている。


 学校指定の集合場所には、

 到着した生徒が並んでいた。


「今から宿へ向かい、各自荷物を置いたら、

 自由行動を開始してくれ。

 夕方までには宿に戻り、皆で食事を取ろう!」


 珍しく短めだったリーモル先生の話聞き、

 宿へ向かおうとすると、ギーモンに止められた。


「あぁ、ロミー。悪いがついて来てくれんかのぅ。」


 荷物をヴェナに任せ、ギーモンの馬車に乗る。


「悪いのぅ。実は王がロミーに会いたがっておってのぅ?連れてこいと言うのじゃ。

 わしは嫌だったんじゃが、他の者どもが賛成しおってのぅ……。」


 なるほど。王の命令か。

 ギーモンは俯いて、申し訳なさそうにしている。


「全然いいよ。それより爺ちゃんって、貴族でしょ?爵位とかあるの?父さんは騎士って聞いたけど……?」

「あぁ、わしは公爵を名乗らせてもらっておるよ。

 この国の財政と外交の大臣をしておるんじゃ」


 おいおい、マジかよ。

 ただ者ではないと思ってたが、

 まさか大臣級だとは…。


「大臣なのに、家にいていいの?」

「そうじゃよ。外交の仕事の関係で、

 あそこの村は便利なんじゃ」


 なるほどなぁ。

 公爵だったのかぁ。やっぱりすごい人だなぁ。



 王城の扉は大きかった。

 二人の門番が扉の前に立っていた。


「ギーモン様!お待ちしておりました!

 国王がお待ちです。どうかお急ぎを!」


 扉が軋むような音をたてながら開く。

 城内は広く、息を飲む様な美しい装飾であふれていた。


 感心しながらギーモンについて行くと、

 服が沢山置いてある部屋に連れていかれた。


「その服では国王に失礼じゃ。

 礼服に着替えたら、出ておいで」


 メイドさん達が出て来た。

 俺の右手に着く、洋紅色ピジョンブラッドカラーのブレスレッドを見て、

 赤いドレスを持って来た。


「あの…スーツとかないですか?

 ドレスはその…あまり来たくないかなぁ……なんて」


 問答無用でコルセットをつけられ、

 ドレスを着させられた。

 最悪だ。コルセットのせいで、血液のめぐりが悪くなった気がする。


 更衣室から出ると、

 ギーモンが俺を抱きしめ、

 頰に何度もキスをしてきた。

 うぇぇ…孫好きの老人め……。



 謁見の間は広く、

 騎士が沢山並んでいた。


 ギーモンがお辞儀をしたので、

 それに習い、俺もお辞儀をする。


「よい。表を上げよ」


 深く、重たい声がする。

 聞いただけで、痺れる様な感覚に襲われた。

 勿論、コルセットのせいでもう痺れてるが。


「国王陛下!こちらが我が娘、

 ロメディア・ハーキュリーズに御座います」


 人王は俺を見て、納得する様に頷いている。


「なるほどな。

 此奴からは、我に近い魔力総量を感じる。

 恐ろしい子供だな。今ここで殺すのもありかもしれん」


 ギーモンが目を見開いた。

 驚きと、怒りが混ざった様な顔になってきた。


「ロメディアと言ったか。貴様、この国に刃向かう気はあるか?」


 突然だな、おい。

 いや、別に刃向かう気は無いけどさ。


「いえ、ありません。

 それに、今は既に魔法を使えなくなってしまい、

 国王陛下の足元にも及びません」

「……そうか。刃向かう気がないのであれば、

 貴様にも爵位を与えてやろう。

 そうだな……、貴様は今日から伯爵だ。

 胸をはり、誇るといい。

 確か修学旅行中であったな?

 この国の名所を教えてやろう。

 貴様が来たら、すぐ通す様にも伝えてやる」

「ありがたき幸せに御座います」


 いつだったか精霊が使った敬語を、

 国王にぶつけてやった。

 それにしても、伯爵かぁ。

 父の爵位より上に入っちゃた。

 それより、この年齢でも貰えるんだね。

 年齢差別がないのはいい事だ。うん。


 国王から美味い飯の店や、

 観光名所を教えてもらった。

 今日はもう陽も傾いているし、

 明日行くとしよう。


 ドレスを脱ぎ、ギーモンと別れた後、

 宿へ戻ると、丁度夕食が始まるところだった。


「あっロミー!隣に座って!」


 ヴェナは俺にために席を取ってくれてたみたいだ。

 ヴェナの頰にキスをすると、

 顔を真っ赤にしていた。やっぱり可愛いなぁ。



 ボーラがヴェナに負けじと、頰をハリウスに差し出した。

 ハリウスは笑いながら、ボーラの唇を奪った。

 ボーラも相当驚いていたが、

 目の前で見た俺は、ショックで動けなかった。

 だって5歳だぞ?ませた子供だな…。

 やはりこの世界の子供の精神的な成長は、

 とても早い。もう前世で言えば中学生ぐらいなんじゃないだろうか。


 夕食を終え、部屋に戻る。

 お風呂の時間まであと一時間ほどあるのだが、

 俺は迷っていた。

 どっちで入るべきなのだろうか。

 ヴェナに相談すると、

 一緒に入ろう! と言ってくれた。

 今日は女風呂だな。仕方ない。

 だって俺は今、女の子なんだもの。


 しりとりなどをして---しりとりを理解をさせるのに10分程度かかった---時間を潰していると、

 お風呂に入る時間になった。


「おっ時間だな!ロメディア!入ろうぜ」


 ニーカが俺の腕を引っ張り、

 ハリウスが後ろから押してきた。


「あっ、悪い悪い、トイレ行ってくるから、

 先入っててよ」


 口からでまかせを言って、

 なんとか納得してもらえた。


 ヴェナとボーラについていくと、

 ボーラに明らかに変な顔をされた。

 当然だ。俺のことを男と思ってるだろうし。


 女風呂の更衣室に入ると、相当罵倒された。

 変態!だとか、見損なった!だとか、

 人それぞれだったが、

 その目の前で服を脱いでやった。


 服を脱ぎ始めた俺を見て、

 顔を背けたり、目をそらしたりして、

 さっきまでの罵倒が嘘だったかの様に、

 皆が絶句した。そりゃそうだ。


 相手の立場に立ってみるとわかりやすい。

 男の子が女風呂に入ってきて、

 服をおもむろに脱ぎ始めた。

 うん。完全に露出狂だ、コレ。


 次第にみんなが驚いた様にざわつき始めた。

 俺の性別に気づいたのだ。


「えっ!?ロメディアって女の子なの!?」


 ってボーラが驚きの声をあげたので、

 皆が俺の下腹部を見たのだ。

 あんまりジロジロみるなよ……?

 気恥ずかしくってならないからな。


 ヴェナと体の流し合いをして、湯船に浸かった。

 ここはまるで桃源郷だ。

 眼福眼福。湯気がもっと少なければなぁ。


 湯船に浸かる頃には、

 もう既にほとんどの人が上がって、

 俺とヴェナとボーラが、風呂の中に残っていた。


「ボーラ達は凄いね…。大人みたいなキスをして…」

「私だってビックリしたよ。

 急にハリウスがしてきたんだもん」

「そうかぁ…羨ましいなぁ」


 ……これはしてほしいって事でいいよな?

 流石の俺もそこまで鈍感じゃないぜ。


 ヴェナの膝の上に乗って、唇を奪ってやった。

 嬉しそうにヴェナは足をバタバタさせていた。


「ねぇ、ロメディア?

 私はあんたの事を今までずっと男だと思ってたんだけどさ…」

「そのままの解釈でいいよ。

 そっちの方が俺にも都合がいいし」


 ボーラは困惑した様に目を泳がせている。

 とりあえず女子風呂のみんなには、

 口止めをさせた。

 銀貨が20枚くらい消えたけど、

 来年4ヶ月働けばいいのだ。




 お風呂から上がると、ハリウス達が部屋で待っていた。


「あっ!ロミー!お前がおせーから、

 先に上がってきたんだ!悪いな!」


 そっちの方が都合がいいな。

 俺の性別はまだ教えるつもりもないし。



 明日行く観光名所を皆に伝えた。

 国王お墨付きと言うとニーカがニヤニヤしていた。


 皆が明日の予定を了承したのを確認して、

 俺はベッドの中に入り、ぐっすりと眠った。



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