1章 曇天
さて、「仕事」とはどのような物なのだろうか。
比較的工業が発達している所では、
大半がデスクワークのような情報系。
地方へ飛べば農業や漁業と言った肉体労働のはずだ。
ここでだ、どちらも兼ねている仕事などある物なの
だろうか?
-あるにはある。が、それはコンピュータいじって
金銭の操作や各々の会社の経理を統計するわけでも
無い。
はたまた草刈って魚釣って動物育てるわけでもない。
まぁ、少しやり方が違うだけで根本的な所は
都会と地方の労働の違いを混ぜただけだ。
え?何なに?そんな偉そうに言ってるお前は何の
仕事してんだって?
言ったじゃねぇか、アレをやってんだよ。
は?しっくりこないだって?
まぁ、無駄に平和な毎日を過ごしてきたお前さん
には分からんのも無理ないわな。
それはな、 何でも屋だよ。
でも、お前さんここに来たって事は何かやらかした
んだよな?まぁ良い。ここはアンタのお仲間が
集まるところだ。無論、私もその1人だ。
え?私が誰なのかって?
そうか、教えていなかったか。私はアベル。
勿論本名ではない。以後よろしくな。
前置きが長くなったな、改めてよろしく
そして、無法地帯へようこそ。
後でこの場で落ち合おう。
その場で色々しなければならないからな。
じゃ、また。
そう言い残して彼は行ってしまった。
「え?ちょ、ちょっと待って・・・」
呼び止めようとし声をあげたが、彼はいなかった。
いや、消えていた。
走っていたならまだ彼の姿はあったはずだ。
飛んでいたなら・・・飛んだか!?
そう思い空を見上げるも見えるのは、
曇天の空だけだった。いない。
となるとどうやって移動した?
消えたか?まさかな。
そう思いつつ約束の時間までの暇を潰すため、
曇天の空に包まれた暗い街を少年はぶらぶらと
歩く。