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4-2

 試験の日になった。

 足が震える。貼りだされたコース図がぜんぜん覚えられない。

 二人しかいないので心を落ち着かそうにも時間すら無い。

 どうしよう…………落ちてしまうかもしれない…………


 相田さんのお父さんや、うちの父さん、気のいい教官さん、様々な人達の恩を

仇で返すことになる。

 そう考えるとますます足が震えだし、指までおぼつかなくなってきた。

 五十音順で試験は開始されるから一番は僕だ。

 景気づけのためにも下手なことをする訳にはいかない…………


 緊張の糸が切れそうになった瞬間、僕の手を柔らかいものが包んだ。


「だいじょうぶやで、辻村くんめちゃくちゃ運転うまいよ。私知ってるから、

見てたから」



 男ならこれで奮い立たないわけがない!



 足の震えは止まった。コース図は冷静に考えてみれば各過程のルートを

組み合わせただけだ。バイクは3台置いてあるけど

2番目が一番調子良かったやつだ、あれを使おう。よし行こう。

 体がキレてるのがわかる。自転車でも経験したことがあるハイになった時

のパターンだ。

 一本橋は最高記録更新だ、スラロームもスイスイいく、急制動などピタリ

と停まる。

 まるで失敗する気がしない。ノーミス完走すら狙えそうだ。


「辻村くんすごかったよ、私もあんな運転がしたい!」


 そう言って試験に出ていった森中さんだけど、どう見ても僕より運転が

うまかった…………





「おめでとう、後は学科試験だな。大丈夫だろう君たちが優秀なのは涼夏

から聞いている」


 お礼を兼ねてホッケンハイムに報告に行ったら、勇気づけられて帰って

くることになった。


 残念なのはいつも出てくる紅茶がなかったことだ。

 日本茶が出てきたけど、渋くて口に合わなかった。森中さんは美味しそう

にしてたけど。

 相田さんは今日も留守のようだった。なにしてるんだろう…………

 学科試験の開催地は遠かった。

 電車とバスの乗り継ぎを覚悟していたんだけど、なんと森中さんの実家が

車を出してくれることになった。


 ありがたい!交通費も浮きます。




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