あなたの側にいても、許されますか?
私には、中距離恋愛中の彼氏がいる。
彼氏は、電車で30分くらい離れたところに住んでいるし、その上学校も違うから、毎週金・土曜日のどちらかしか逢えない。
逢えたとしても、そこまで長い時間じゃない。
けど、二人とも…ううん、基本的には私が、長く逢っていたいからとわがままを言うから、彼はいつも終電に乗るのが当たり前になっていた。
今日も、当たり前のように終電。
駅までは、私の母が送ってくれるのが日課。
しかし、今日は少し違った。
「送ってってくれるの?」
と尋ねると、
「いいけれど、もっと早い時間にして頂戴。どうして、私が、あなた達のために遅くまで起きてないといけないの?私も、もう眠いのよ」
そう答えられた。確かに…と、私は思った。
別に母に迷惑をかけたい訳じゃない。
でも、結果的には迷惑をかけていた。
それを彼氏に話したら、
「もっと早く帰してくれないもんで~」
と言われた。
彼氏は笑いながら、冗談のつもりで言ったのかもしれないが、私にはその冗談は伝わらなかった。
私は、もっと逢っていたいのに、どうして現実はこんなにも苦しいのだろう。
高校生の自分達が、無力すぎて悔しかった。
車で駅まで送ってくれている最中、いつもなら手を繋いでいるけど、今日は繋がなかった。
駅について、彼は「怒ってるの?」
と聞いてきた。
「ううん、怒ってないよ。眠いだけ」
そう答えたけど、実際は少し怒っていた。
怒ると言うか、悲しかった。
正直、彼の気持ちが分からなかったから。
私は、あなたの側にいてもいいですか?
側にいても許されますか?
聞けるなら、そう聞きたかった。
でも、怖くて聞けなかった。
私が無言になったのに気がついた彼は、こっそりメールを送ってきた。
「絶対、離さないから」
普段、そんな事をめったに言わないから、凄く驚いた。
「そういう事は、直接言わなきゃ。今、言われるのも困るけど」
と返信した。
「そんな事、直接言えるかっ!」
って返信されて、思わず微笑んでしまった。
照れ隠ししてる彼が、あまりにもいとおしく感じて。
そして彼は、車を降りて、帰って行った。
中距離恋愛は、意外にも辛いものだ。
嬉しい事よりも、悲しい事の方が多いかもしれない。
でも、その微かな嬉しさを求めて、必死にもがきながら生きているのだと思う。
今は無力な私でも、いつか大好きな彼と共に歩んで行けるように成長したい。
これが、無力な私が出した、自分なりの結論。
彼がいる限り、私の道が途絶える事は決してない。