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車の中で
雪紗は黒塗りの車の中に座り、手を膝の上に置いたまま少し緊張した顔で外を見ていた。
庭や家の屋根が少しずつ遠ざかっていく。
玲子は横に座る雪紗を見下ろすように微笑んだ。
「あなた、お名前は?」
雪紗は小さく首をかしげ、白い髪を揺らしながら答えた。
「ゆきや……」
玲子はやさしい声で頷く。
「そう、雪紗と言うのね」
雪紗は窓の外を見て、まだ小さい体で胸の奥がざわざわするのを感じた。
「……おうち、また……もどるの?」
玲子は雪紗の小さな手を軽く握り、柔らかく答えた。
「今日は少し違うお家に行くの。ここはお別れだけれど、心配しないで」
雪紗は小さく息をつき、頷く。
「……うん」
お祖母様は静かに微笑んだまま、車の窓越しに外を見ながら言った。
「大丈夫よ。お祖母様がしっかりと側にいますから」
車がゆっくりと進むたびに、雪紗は幼いながらも、まだ理解できない不思議な胸の高鳴りと、少しの期待が混ざった気持ちが、白い髪を揺らす風に重なって流れていった。
遅れたけど、新年明けましておめでとうございます。
眠いです。




