引き取る
その日の夜、祖母・玲子は娘の詩織に電話をかけた。
「あなた、自分の子達のことをあまり見ていないでしょう。今日、あなた達の家に行ったのだけど子供達の中に綺麗な容姿の子がいたでしょう。あの子が大人のいない庭に出ていたの。あの美しさで大人がいない庭に行かせるなんて、誘拐でもされたらどうするの。」
詩織は一瞬言葉に詰まり、詰まったことを悟らせないように早口で言った。
「実際に誘拐されていないでしょう」
その言葉を聞き、玲子は少し声を強め、しかし落ち着いた調子で続ける。
「あの美しさで誘拐されていないことが奇跡みたいなものよ」
玲子は一瞬小さくため息をついた。
「あなたに何らかの対策をしてと伝えるだけで終わらせようと思ったけれど、その様子では無理そうね。このままではあの子は絶対に何らかの被害に遭うわ」
そして決意を固めた表情を見せた。
「あのまま放っておくわけにはいきません。あの子を引き取ります」
その言葉を聞いた詩織は驚愕し、声を荒げる。
「あの子は私の子よ。いくらお母様といえど
詩織の言葉を遮り、玲子は力強く告げた。
「これは決定事項です」
詩織の声は途切れ途切れの言葉で何かを言っていたが、玲子は気にせず静かに告げた。
「安心なさい。雪紗のことは責任を持って育てます」
電話を切ると、玲子は静かに手元の書類に目を落とした。
その目には、雪紗を守る決意がしっかりと映っていた。




