お勉強
朝ご飯を終えた雪紗は、透き通る青緑の瞳を輝かせながら、自分の部屋から和室へ向かった。
玲子が静かに後ろからついてくる。
「雪紗、今日から少しずつお勉強を始めましょう」
玲子は落ち着いた声で告げる。
雪紗は首をかしげ、小さく言う。
「……おべんきょう……?」
「ええ、お勉強よ。初めてだから、計算や国語、文字の書き方などをお勉強しましょう」
玲子は微笑みつつ、和室の障子を開ける。
部屋の中には小さな机と椅子、学習用の本や紙、筆記具が整然と並んでいた。
雪紗は小さな手で机の縁に触れ、目を輝かせながら座る。
「……ぼく、できる……かな……」
少し不安げだが、好奇心も混ざっている。
まずは算数の時間。雪紗は鉛筆を握り、簡単な足し算や引き算のプリントに挑戦する。
最初は少し手が震えたが、透き通る青緑の瞳に集中の光が宿る。
「……できた……」
玲子は静かに頷き、微笑む。
「ええ、上手よ。雪紗、頑張ったわね」
次に国語の時間。ひらがなや簡単な文章を読む練習。
雪紗は小さな声でつぶやきながら文字をなぞる。
「……あ、い、う……」
玲子はそっと手を添え、発音を教える。
「ゆっくりでいいのよ」
国語と算数の時間を終えると、玲子は少し微笑みながら机を片付ける。
「さて、次は少し趣のあるお稽古の時間です」
雪紗は首をかしげる。
「……おけいこ……?」
「ええ、習字と茶道、華道よ。文字やお茶、お花の扱いも学ぶの」
玲子は和室の奥に用意された道具を指差す。
雪紗は小さな手で筆を握り、墨を少し含ませて紙に文字を書く。
初めは震えた線だったが、少しずつまっすぐな線になってきた。
「……できた……」
次に花器と花を前に、華道の手ほどき。
雪紗は小さな手で花をそっと挿す。
「……こう……?」
玲子は必要に応じて手を添え、静かに指導する。
「ええ、自然に触れながら学ぶことも大切なの」
最後に茶道。湯呑を手に取り、座り方やお茶の飲み方を少しずつ教わる。
「……おちゃ……」
小さな声でつぶやく雪紗に、玲子は優雅に微笑み返す。
その日の初めてのお勉強とお稽古の時間は、雪紗にとって少し戸惑いながらも楽しい発見の連続だった。
透き通る青緑の瞳に映る文字や数字、花や茶器――どれもが新しい世界で、胸の奥で小さなわくわくが広がっていった。
「……たのしい……」
雪紗は小さな声でつぶやく。
玲子は静かに微笑み、透き通る青緑の瞳を見つめる。
「ええ、雪紗。これから少しずつ、色んなことを学んでいきましょう」




