番外編~繭花ちゃんたちの結婚式②~
出会いは、修学旅行の班決めだった。
あの頃の私は長塚君が好きで、泣いてばかりいた。
そんな私に、いつも寄り添ってくれたのが繭花ちゃんだった。
あの時、6人が同じ班にならなかったら――
私の人生は、きっと今とは違っていたと思う。
あのクラスになって、ち~ちゃんと仲良くなって。
田川君が隣の席になって。
あの日から続いている、今の幸せな日々。
きっと私たちは、この先もずっと――
仲良し6人組でいられるんじゃないか。
そんなふうに思えた。
繭花ちゃんが、祭壇の前でお父さんから石橋君の腕へと託される。
ゆっくりと二人で祭壇を上り、牧師さんの言葉が響く。
私はその時点で、もう号泣していた。
ベールが静かに上げられ、誓いのキス。
そして高らかに告げられる、結婚の宣言。
フラワーシャワーの籠を手渡され、
バージンロードを歩く二人に花びらが降り注ぐ。
涙が止まらない。
披露宴会場へ移動する間も、ずっと泣いている私に、
「人の結婚式で、そこまで泣けるって、ある意味すごいな」
呆れた顔で言う田川君。
「え? 私だって、お二人の挙式の時は号泣しましたけど?」
ち~ちゃんがそう言うと、
「添田のは、『私のたまちゃんが~!』っていう涙だろ」
田川君が苦々しく返す。
披露宴会場の扉をくぐり、案内された席。
そこには――
『田川 聡 様』『田川 優里 様』
と書かれたネームプレートが並んでいた。
「たまちゃん、ウエディングドレスたくし上げて走り回ってたよね」
同じテーブルのち~ちゃんが言うと、
「式の途中で階段コケるしな!」
小野君が続けて、二人で大爆笑。
「あれは、マジでビビった」
田川君が肩をすくめる。
「まぁ、しばらくは大人しくしてないとね」
ち~ちゃんがそっと触れた私のお腹には、
新しい命が宿っている。
「でも、たまちゃんもとうとうママかぁ~!」
その言葉に、私は小さく微笑んだ。
「石橋たちより先に結婚するとは思わなかったな……」
小野君がぽつりと呟く。
「え? 私は絶対早いと思ってたよ。
コイツがたまちゃんを野放しにするわけないじゃん」
ち~ちゃんが田川君を指差して、苦々しく言う。
「卒業と同時に結婚だもんね」
「コイツ呼ばわりかよ!」
「大学入るなり同棲始めるし。
同じ大学なだけじゃなくて、ほぼ常に田川有り!
だったしさ。
たまちゃん、本当に良かったの?」
ち~ちゃんのぼやきに、私たちが顔を見合わせた、その時。
司会者の挨拶が始まった。
ふと、席札がカードになっていることに気付いて、裏返す。
──そこで、私は言葉を失った。
そこに写っていたのは、
付き合い始めたばかりの、私たち二人の写真だった。




