番外編~繭花ちゃんの結婚式①~
「わぁ!繭花ちゃん綺麗!」
あれからたくさんの月日が流れた。
受験で学校や予備校に追われる日々の中、私達6人はずっと一緒だった。
大学が別々になっても、何故か自然と6人で集まって年齢を重ねた。
今日は、石橋君と繭花ちゃんの結婚式。
「たまちゃん、ありがとう!」
26歳になった私達は、社会人になっても相変わらず時間があれば6人で集まっていた。
ち~ちゃんと小野君は、くっついたり別れたりを繰り返してはいるけど、何故か完全に決別しないのは、6人で過ごす時間が大切だからなのかな? って思っている。
「繭花ちゃん、おめでとう!」
そんな事を考えていると、私達の後ろからち~ちゃんの声。
振り返ると、ショートカットに細身のパンツスーツ姿のち~ちゃん。
イケメン度が増し増しで
「ち~ちゃん、カッコイイ!」
と、私と繭花ちゃんが叫ぶ。
「え~、本当に? 嬉しい」
照れ笑いするち~ちゃんに、私と繭花ちゃんは骨抜きにされそうだよ。
「たまちゃんも、久しぶり」
と、抱きつこうとしたち~ちゃんより少し早く、田川君が背後から私を抱き寄せた。
「ちょっと! 私とたまちゃんのハグタイムを邪魔しないでよ!」
怒るち~ちゃんに田川君は目を据わらせて
「やなこった」
と、べーっと舌を出す。
「大体、田川はたまちゃんを普段から独り占めしてるんだから、たまには私に貸しなさいよ!」
「残念ながら、貸出はしておりません」
「はぁ? なんで田川が決めるわけ?」
「はぁ? なんで添田が反論するわけ?」
ぎゃあぎゃあと言い争う二人。
このやり取り、最近6人で集まると恒例になっているような気がする。
私と繭花ちゃんが顔を見合わせて苦笑いしていると
「あ! 千秋、又、聡と言い争ってんの?
無駄なんだから止めたら?」
呆れた顔の小野君が現れ
「もう、式場の入場が始まってるよ」
と呼びに来た。
「じゃあ、私達は行くね」
繭花ちゃんにそう伝え、式場にあるチャペルに入って行く。
「なんか、ドキドキしちゃうね!」
隣に参列している田川君に言うと
「そうか? 俺は、お前の時の方がドキドキしたわ」
って言われた。
「あ! 又、その話を持ち出す!」
プクっと頬をふくらませると、田川君が私の頬を親指と人差し指で潰す。
「あ~! あれはびっくりしたよ」
田川君の隣に並ぶち~ちゃんに言われて
「もう! 私の黒歴史をほじくり返さないで!」
私の頬を潰す田川君の手を払い、ち~ちゃんに訴える。
すると、ち~ちゃんの隣に立っている小野君も笑い出し
「あれはな~」
と呟いた。
私が羞恥で真っ赤になった瞬間、厳かにチャペルのオルガンの音色が響く。
タキシードに身を包んだ石橋君が、少し高い位置にある祭壇の下で待機している。
珍しく緊張した顔をしているのが、なんか……申し訳ないけどおかしく思えてニヤニヤしてしまう。
そんな私に気付き、田川君が目で『絶対に笑うなよ!』って訴えて来るもんだから、余計にニヤニヤが止まらない。
人間って、何で笑うな! って言われると、笑いたくなっちゃうのかな?
そんな事を考えているとゆっくりとドアが開き、繭花ちゃんが繭花ちゃんのお父さんと入口から並んで一礼すると、賛美歌と共にゆっくりとバージンロードを歩き出す。
「繭花ぢゃん、ぎれい……」
泣き出した私に、田川君が呆れた顔をしてハンカチを差し出した。
私はハンカチを受け取り、私達の横を通り過ぎる繭花ちゃんを見送る。
その姿を見て、私達の月日が走馬燈のように流れて来た。




