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番外編~蚕の恋②~

夕美ちゃんは、ずっと石橋君が好きだった。

仲も良くて、周りの誰もが「二人はきっと付き合うんだろうな」と思っていた。


 けれど、石橋君は他の色々な女の子と付き合っては別れてを繰り返していた。


 私はいつも夕美ちゃんの後ろに隠れるようにして、ただ石橋君を見ているだけ。

それだけで、十分に幸せだった。


 席替えで石橋君の隣から田川君の隣になると、


「へぇ〜、石塚って本当に字が綺麗なんだな」


 そんな声が聞こえた。


「え?」


 驚いて顔を上げると、田川君が私のノートを覗き込んでいた。


「あ、ごめん。健太がさ、いつも『石塚さんの字、綺麗なんだ』って話してたから……つい」


 そう言って、少し照れたように苦笑いする。


「そう……かな?」


 首を傾げると、


「うん。綺麗な字だと思うよ」


 そう言って笑われて、思わず顔が熱くなった。


 その時だった。

鋭い視線を感じて、そっとそちらを見る。


 ──田川君の彼女、及川さんが私を睨んでいた。


(こ、怖い……)


 私は慌てて視線を逸らし、そっと席を離れた。


 放課後、夕美ちゃんとバスケ部の練習を見に行こうと体育館へ向かっていると、


「石塚さん、ちょっと良い?」


 背後から、及川さんに呼び止められた。


「な、何だろう……?」


 首を傾げた瞬間、


「人の彼氏にちょっかい出すの、やめてくれない?」


 そう言われて、頭が真っ白になる。


「……ちょっかい?」


 聞き返すと、


「あなた、毎日放課後にバスケ部来てるでしょ? 聡が好きだからに決まってるじゃない!」


 思わず、目が点になった。


「……はぁ?」


 あまりの的外れさに声が抜ける。


「誤魔化さないで!」


 怒鳴られて、びくっと身体が震えた。


「誤魔化すも何も……私、田川君のこと、なんとも思ってないよ」


 そう答えると、


「……え?」


 今度は、及川さんが驚いた顔になる。


「だって、田川君って、及川さんみたいに小さくて可愛い人が好きなタイプでしょ?

 私なんて……論外よ、論外」


 自嘲気味に笑うと、


「じゃあ……誰が……」


 及川さんが言いかけて、目を細めた。


「まさか……小野?」


「違う!」


 反射的に否定してしまう。


「え? もしかして……石橋? マジ? ありえないんだけど」


 そう言って、馬鹿にしたように笑われた。


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