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鋼のメンタル恐るべし

(ひぃっ……怖い)


隣から絶対零度の風が吹いてきた気がして、聞いている私のほうが恐怖で縮み上がる。

でも青山さんは、まるで気にする様子もなく、


「はいはい。もう、照れ屋さんなのは知ってるよ。それで、今度の土曜日のカラオケは行くんでしょう?」


と話を続けた。

……鋼のメンタル、正直ちょっと羨ましい。


私がそっと歩くペースを落とすと、今さら気づいたふりをして、


「あれ? 田川さん、いたの?」


なんて言われる。


(だから、田上だってば!)


心の中で反論しつつ、いちいち訂正するのも疲れてきて、作り笑顔で


「おはよう」


とだけ返した。


すると青山さんは、ぱっと顔を明るくして、


「やだ! 聞いた? 今、否定しなかったよね。やっぱりそういうことなんだ〜」


と楽しそうに言う。


……あぁ、面倒くさい。


そう思っていると、


「あれ? いつの間に青木が割り込んでるんだ?」


と、新井君が振り返って会話に入ってきた。


「新井のほうが割り込みじゃん!」


唇を尖らせる青山さんに、新井君はさらっと言い返す。


「俺とち〜ちゃん、それと長塚と田上で歩いてたんだけど?」


そう言ってから、


「な、田上」


と私に微笑んだ。


頷こうとした、その瞬間。


「いいよね。あっちこっちの男子に庇ってもらえて」


低く、刺すような声が耳に届く。


(……そんなふうに見えるんだ)


胸の奥が、ずしんと重くなる。


その空気に気づかなかったらしい三人が、私の沈んだ表情を不思議そうに見た。


「あ! 私、たまちゃんとこのまま教室行くね! じゃあ、またお昼休み!」


ち〜ちゃんが私の腕に手を回し、新井君に笑顔で手を振って歩き出した。


無言のまま下駄箱へ向かい、上履きに履き替える。


そのまま教室へ向かう途中で、ち〜ちゃんがぽつりと聞いてきた。


「で。あの女に、何言われたの?」


「え?」


「どうせ、あのバカ女に何か言われたんでしょう。マジでムカつく!」


頬をぷくっと膨らませるち〜ちゃんに、私は小さく答えた。


「あっちこっちの男子に庇ってもらえていいね、って……」


「はぁ!? 全然そんなことないんだけど!」


今にも火を吹きそうな勢いで怒るち〜ちゃん。


「長塚に相手にされないからって、たまちゃんに八つ当たりとか、ほんと最悪!」


歩きながら本気で怒ってくれるその姿に、胸がじんわり温かくなる。


私のことで、こんなふうに怒ってくれる人がいる。

それだけで、少し救われた気がした。


「……ち〜ちゃん」


「なによ」


席に座るち〜ちゃんに声をかけると、まだ怒りが残った顔で振り向く。


「ありがとう」


そう笑って言うと、ち〜ちゃんはふっと表情を緩めて、


「当たり前でしょ。友達なんだから」


と、きっぱり答えてくれた。


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