夢の国デート⑥
「緊張した〜!」
二人と別れたあと、思わずそう呟くと、
「そんなふうには見えなかったけど?」
と、長塚君が笑いながら隣に並んで歩き出した。
「え? 本当に? もうさ、ずっとニヤニヤされてたから〜」
両手で顔をパタパタと仰いでいると、突然、長塚君が手の甲で私の頬に触れてきた。
「……本当だ。熱い」
そう言われて、さらに顔が赤くなる。
「ちょっと! 長塚君も私で遊ばないでよ!」
思わずそう叫ぶと、長塚君が声を上げて笑った。
その笑顔を見るたび、胸がぎゅっと締めつけられる。
好き、という気持ちがどんどん膨らんで、
――この人には、ずっと笑っていてほしい。
そんなことを、心の底から思ってしまう。
その後はいくつかアトラクションを回り、最後はお土産店を巡ることになった。
私は友達みんなにチョコクランキーを買い、
チケットをくれたお姉さんにも、こっそりお土産を選んだ。
そんな時、ふと目に留まったのが、夢の国のキャラクター。
猫の「モッキー」のぬいぐるみがついたキーホルダーだった。
モッキーと、彼女のモニーが寄り添い、
小さなパワーストーンを抱えている。
手に取ると、首元についた鈴が「チリン」と高い音を立てた。
「……欲しいの?」
突然、背後から声をかけられて驚き、思わず手から落としてしまう。
でも――
落ちる前に、長塚君が素早くそれをキャッチした。
そのまま無言でレジへ向かって行く姿を見て、
(もしかして……)
胸がドキドキと高鳴る。
けれど、店員さんと少し会話をしたあと、
長塚君はそのキーホルダーを返してしまった。
(……だよね。現実は、そんなに甘くないか)
一気に気持ちがしぼんで、私はしょんぼりしながら、他のお土産に視線を移した。
しばらくして、
「ここにいたんだ」
と背後から声がして振り向くと、長塚君が立っていた。
「まだ、何か買う?」
そう聞かれて時計を見ると、そろそろパレードの時間だ。
「パレード、見たいかな?」
笑顔でそう答えて、私たちは店の外へ出た。
夕暮れどきの園内は、少し薄暗くなり始めていて、
人々はみんな、パレードの方向へと流れていく。
――その中で。
なぜか長塚君は、
人の流れとは反対の方向へと歩き出した。




