夢の国デート⑤
私がその様子にニヤニヤしていると、
「別にいいけど。そうしたら俺、和風ハンバーグにするから」
と、いつもの無表情で答えた。
……けど、眉がほんの少し上がっている。
(あ、これ“してやったり顔”だ)
そう気づいて、私は思わず笑いを噛み殺した。
「何、笑ってるんだよ」
私の反応に気づいた長塚君が、指で私の額を軽く突く。
「だって……今、超得意顔してたでしょ」
「してない」
「してたよ。眉、ちょっと上がってたもん」
「眉?」
そう言いながら、自分の眉を指で撫でる長塚君。
その仕草がおかしくて、私はクスクスと笑ってしまう。
すると、
「あの〜、私たちがいるの、分かってる?」
と、ち〜ちゃんがニヤニヤしながら声を掛けてきた。
思わず長塚君と顔を見合わせていると、
「で、どうするの?」
ち〜ちゃんがメニューを私たちの方に差し出した。
「どうする?」
「ん〜」
「今、“考えるの面倒くさい”って思ってるでしょ?」
「……そっちが決めて」
「じゃあ、さっき言ってた和風ハンバーグにする?
あ! おろしハンバーグもあるよ。これにする?」
夢中になって話しているうちに、再び周囲の視線を感じて、
(……そうだ、ち〜ちゃんたちと一緒だった)
と気づき、前のめりになっていた体をそっと元に戻す。
「じゃあ、そっちはおろしハンバーグ二つね」
そう言って、新井君が手際よく注文してくれた。
食事中も、ずっと二人にニヤニヤ見られていて、少し居心地が悪かった。
食事を終え、私たちとは反対回りで園内を回るち〜ちゃんたちとは、ここでバイバイすることになった。




