夢の国デート③
振り向くと、ち〜ちゃんが隣のクラスの新井君と並んで、私たちを驚いた顔で見ていた。
「ち〜ちゃん?」
思わず声を上げると、ち〜ちゃんは私と長塚君を交互に見て、
「え? もしかして、たまちゃんの好きな人って……」
と呟いた。
その瞬間、私は反射的に繋いでいた手を離し、ち〜ちゃんの口を押さえた。
「きゃ〜! 恥ずかしいから言わないで!」
叫ぶ私に、
「恥ずかしいって……。手を繋いで歩いてるところを見られたのは、恥ずかしくないの?」
と突っ込まれてしまう。
「い〜わ〜な〜い〜で〜!」
照れと恥ずかしさが入り混じった感情のまま、ち〜ちゃんに抱きつくと、
「それより! ち〜ちゃんの彼氏って新井君だったんだ!」
必殺・話題すり替えの術を発動させると、ち〜ちゃんはケロッとした顔で、
「あれ? 言ってなかったっけ?」
と笑った。
その間に、どうやら長塚君と新井君は「一緒にご飯を食べよう」という話をまとめていたらしい。
「俺、店を予約してたんだけど、電話したら人数が増えても大丈夫だって」
行き当たりばったりな私たちとは違い、事前にきちんと調べて予約までしている新井君を、思わず尊敬の眼差しで見てしまう。
「それにしても、二人が付き合ってるなんて知らなかったよ」
新井君の言葉に、長塚君は否定も肯定もせず、曖昧に視線を逸らした。
「あまりにも初々しかったからさ。つい声かけちゃった」
ニヤニヤしながら言うち〜ちゃんに、
「お願い……それ以上言わないで!」
と、私は必死に懇願する。
「やだ〜。真っ赤になって、可愛い」
からかうち〜ちゃんに私がアワアワしていると、長塚君が私の肩を引き寄せた。
「子供にぶつかるよ」
耳元でそう囁かれ、目の前を走り去る子供を目で追う。
背中と肩に感じる長塚君の体温に、全身から一気に汗が噴き出しそうになる。
「ひゃあ! ご、ごめんなさい」
緊張で固まっていると、ち〜ちゃんと新井君が、揃ってニヤニヤしながらこちらを見ていた。




