夢の国デート②
長塚君がふと気づいたらしく、立ち止まって振り返った。
「ごめん、歩くの早かった?」
そう言って待ってくれる。
追いついて並んだ瞬間、長塚君は私の手をそっと握り、
「はぐれないようにね」
と、微笑んだ。
――心臓、ドキドキMAX。
返事ができなくて、コクコクと頷きながら長塚君を見上げると、彼の耳もほんのり赤くなっていた。
(……そっか。長塚君も、同じなんだ)
にやけそうになるのを必死で堪えながら、混み合う電車に乗り込む。
出入り口とは反対側のドア前に立つと、長塚君はさりげなく人混みに背を向け、ドアと手すりを掴んで、私を庇うようにその内側へと入れてくれた。
思った以上に近い距離に、胸が高鳴る。
会話もなく、心臓の音が聞こえてしまうんじゃないかと不安になる。
(こんな状況、漫画の中だけだと思ってた……!)
そう思っているうちに、ようやく夢の国の最寄駅に到着した。
人波に流されながらなんとか降りて、ほっと一息つくと、
「混んでるね」
と、長塚君が苦笑いする。
これだけ人が多いと、学校の人に会ってしまうかもしれない――そんな考えがよぎった。
「学校の人に会っちゃうかもね」
不安になって呟くと、
「そうだね。これだけ多いと、会う可能性はあるかも」
なんて、呑気な返事が返ってくる。
「……平気なの?」
「何が?」
「その……私と一緒にいるところを見られても……」
思い切って聞くと、長塚君は少し呆れたような顔で言った。
「誘ったのは俺だし。嫌だったら、そもそも一緒に来ないでしょ。ほんと、変なところ気にするよね」
そう言って歩き出し、
「ほら、せっかく来たんだから行こう」
と、大きな手を差し出す。
私は笑顔で頷き、その隣に並んで手を繋いだ。
夢の国の空気のせいか、まるで雲の上をふわふわ歩いているみたいな気分になる。
実は長塚君も絶叫系は得意じゃないらしく、二人で怖くない乗り物を選びながら園内を回った。
結構歩いて、
「どこかでご飯でも食べようか?」
なんて話していた、その時だった。
「たまちゃん?」
聞き覚えのある声に、呼び止められた。




