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信じたことが、罪になるとき

 遥香ちゃんとしては、私と祐子ちゃんのために、

 バレたら大騒ぎになるリスクを承知の上で動いてくれたのだと思う。


 それなのに――

 私が一番ショックだったのは、長塚君の個人情報を知れなかったことじゃない。

 祐子ちゃんの「裏切り」だった。


 私と協力するのが嫌なら、嫌だと。

 無理なら、無理だと。

 最初からそう言ってくれればよかったのに。


 そう言われたからって、仲間外れになんてしない。

 私はただ、正直でいてほしかっただけなのに……。


 後日、遥香ちゃんから聞いた話で、

 祐子ちゃんには

「たまちゃんにも絶対に伝えてね」

と念を押した上で、


 ・長塚君には二つ年上のお姉さんがいること

 ・中学が男子校で、女子が少し苦手なこと


 そんな話もしていたと知った。


 その話を聞きながら、私はぽつりと呟いた。


「私は別に……長塚君の情報なんて、知らなくてもいいと思ってる。

 でも、遥香ちゃんが『たまちゃんにも教えて』って言ってくれたことを、

 何一つ、私に伝えてなかったのが……ショックだったな」


 すると、それまで黙っていた理恵ちゃんが、きっぱり言った。


「そもそも、同じ人を好きなのに情報共有なんてありえないでしょう?

 それは、たまちゃんが甘い」


 ビシッと叱咤され、言葉に詰まる。


「どうせたまちゃんのことだから、

『祐子ちゃんと長塚君がうまくいったら、笑顔で祝福しよう』

とか、アホなこと考えてたんでしょう?」


 ――図星だった。


 だって私は、もう長塚君に振られているから。


「私ね……たまちゃんは、長塚君を諦めちゃいけないと思うの」


 そう言ったのは、今まで黙っていた亀ちゃんだった。


「恋愛とか、よく分からないけど……

 本当に、なんとなくだけどね。

 長塚君とたまちゃんの距離、少しずつ縮まってる気がするんだ」


 その言葉に続くように、夏美ちゃんも言う。


「私は正直、長塚にはムカついてるから、

 たまちゃんはもっと他の男子を見るべきだと思ってる。

 ……でもね、一途な気持ちは分かるからさ。

 他の人に譲ろうとするのは、違うと思う」


「たまちゃんは、自分が納得できる答えを出してから、

 諦めてもいいんじゃない?」


 最後に、理恵ちゃんがそう言ってくれた。


「亀ちゃん……理恵ちゃん……夏美ちゃん……」


 涙ぐむ私に、


「もう! すぐ泣くんだから!」


 そう言いながら、理恵ちゃんが私の頭をぐしゃっと撫でる。


「それに、この先には運動会も文化祭もあるのよ。

 いつチャンスが転がってくるか分からないんだから、

 今年一年、頑張ってみなさい」


 なぜか遥香ちゃんまで、拳を握ってうなずいていた。



 後日、遥香ちゃんが祐子ちゃんに、

「長塚君の件はどうしても許せない。今後は一切、協力しない」

と宣言したと聞いた。


 祐子ちゃんは泣いて嫌がったらしいけど、

 私も彼女と距離を置いたため、その後どうなったのかは分からない。


 ただ、

「私が嫌がらせをして、祐子ちゃんに長塚君の情報が行かないようにした」

という噂が、どこかで広まっているらしかった。


 でも、そんな噂なんて、正直どうでもよかった。


 言いたい人には、言わせておけばいい。

 そう思っていた。


 ――まさか、この考えが後々、

 長塚君から“あらぬ疑い”をかけられることになるなんて、

 この時の私は、思いもしなかった。


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