『妖怪責任とれ』
何事もタイミングが大事!
それが人生。
目の前の少女に確認も取れぬまま
悲しくも授業は開始される。
隣の少女は嬉しそうに肩を寄せる。
ちょっと近すぎるくらいだ。
「安土くん。2人が仲がいいのはわかるが私の授業では控えてくれたまえ。」
優しそうな顔をした初老の先生(男)が申し訳そうにけれど少し微笑ましそうに注意する。
『すみません先生!本日、教科書をうっかり忘れてしまい。隣の黒「灯」灯さんに見せてもらっている次第です!今後は忘れないようにします!あと、決して仲がいいわけではありませんので微笑ましくみないでいただければ幸いです!』
「いや…まぁ今回はいいけど次回から気をつけるようにね。でも、仲がよくないってのは無理があるでしょ?そんなにひっついて…」
違うんです先生。
ひっつきたくてひっついてるわけじゃないんです。
見えないだけでガッチリ右手を掴まれてるんです。
彼女の細腕からは想像つかないほどの万力で。
前世はゴリラかな?
バナナでも食わせれば大人しくなるのかな?
少しは落ち着いてほしいよ全く…
『っツ!??』
右手に激痛が走る。
ゴリラが僕の右手を苦しめている。
誰か助けて!
僕にしか聞こえないような声でゴリラが呟く。
「仲が良くない?聞き間違いかしら?」
ゴリラ…いや、灯様がお怒りだった。
ガチギレモードだ。
やめろあかり!!気を沈ろ〜
僕の願いなど通じるはずをもなく
右手がギチギチと悲鳴をあげつづける。
『痛い痛い!ちょっと待って灯ちゃん!確かに悪かった!僕たちは仲良しだよズッ友だ!でも、さすがに今回は「僕たちは特別な関係ですと言いなさい。」…は?』
「もう一度言うわね。先生に、「先ほどのことは訂正します。僕たちは特別な関係です。愛してます。今度は嘘じゃないです」と言いなさい。」
『いや増えてんじゃん!?』
またとんでもないことを言い出した…
このゴリラゴリラゴリラめ
頭まで筋肉でできてんじゃねぇのか?
そんなに飼育されたいなら上野動物園でも案内してやろうか?
「なんでも言うこと聞くのよね?」
そりゃ反則だろ…
『君は僕に死ねと?』
「いいえ…あなたは死なないわ。私が守るもの」
『現在進行で君に殺されそうなんだけど!!主に社会的に!』
「ふふ…面白い冗談ね…座布団一枚あげたい気分だわ。」
『勝手に笑点の司会してんじゃねーってばよ!』
無意味なラリーを繰り広げる。
この子は私が本当に好きなのか?
甚だ疑問に思う。
「どうした?こそこそ話して?まだ何か言い忘れたことでもあるのか?」
最悪なタイミングで先生が声をかける。
「ほら、言いなさい。自分が言い出したことよね?なんでもするって。ならちゃんと責任取りなさい。」
でた、妖怪責任とれ。
これなら、妖怪首置いてけの方が幾分か可愛く感じるよ。あっちは一瞬こっちは一生だからね!
『先生…』
「どうした?」
うわぁ…言いたくないけど…
口が勝手に動いちゃうヨォぉぉ〜!!
『先ほどの発言一部撤回します。私、安土真城は黒蜜灯さんと…くっ…』
「責任とれ…責任とれ…」
やめろ…静かに…
『特別な関係であることをここに証言します!』
恥ずかしくて死にそうだ…
頼むみんな、そんな温かい目で見ないでくれ。
隣のゴリラはそんなに満足げに頷かないでくれ。
全員、八つ裂きにしますよ。
「そ、そうか!まぁ青春することはいいことだと思うよ!うん。でも、学業も大切にしような。」
『はい…失礼します。』
一生分の羞恥を受けたよ…はは…終わった…
これで僕たちの関係は晴れて教師まで周知されることとなったのである。
でも、なんでもの権利をすぐなくせたのはよかった。
それだけはホッとするのであった。
「よくできました。これからはみんな私たちの味方よ。真城くん。」
…僕からしたらみんな敵だよ…灯ちゃん。
このひとでなし!!!
次は沢田さんとの初交流。
あと、やっと30話




