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『言わせたもん勝ち』

徒党を組むとはまさにこのこと。

気軽になんでもなんて言わないようにみんなは気をつけようね!!

休み時間

休みという言葉とは裏腹に

僕は説明という労働を強いられている。


「ねぇ!いつから2人は付き合ってるの?」

「昨日からかなぁ?ね、真城くん!」

『付き合っておりません。』


「馴れ初めは?」

「すっごく情熱的なことがあって…ね、真城くん!」

『特段ありません。知り合ってまだ2日目です。』


「2人はどんなところに惚れたの?」

「全てかな…優しいところも責任感があるところもひっくるめて全部。ね、真城くん!」

『記憶にございません。』


スキャンダルがあった芸能人の気持ちがよくわかる。

めんどくさい…

しかも自分には存在しない記憶なのだから。

付き合ってないし。


質問が多すぎて後半はほぼ覚えていないが

周りの認識としては

安土は硬派で照れ屋で恥ずかしがり屋

黒蜜は明るくかわいい安土のことを好きな女の子

ということで落ち着いた。

灯ちゃんへのイメージが2日目にしてガラリと変わっててびっくりしたがそこは素直に喜ぶこととする。


さすがに2人に温度差があったためか

まだ付き合ってはいないと認識してもらえたのが唯一の救いだ。

というか、ものすごく付き合っていないことは強調した。

その成果と言えるだろう。


その際に隣からすごい圧をかけられたが

そこだけは死守した。

いつまでもやられっぱなしじゃないのだよ。


最後に「無駄なのになぁ…」とボソッと言っていたのが印象的だった。

どのみち逃げられないのは確定した。

やったね真城!家族ができるよ!

まじやめろ。


質問タイムから解放された後は、少し催したため

足早にトイレに向かい用を足す。

戻って授業の準備をするのだが

ここで問題が発生した。


教科書だけ…ないやん…

席替えが終わってすぐに入れ替えをしたため

ちゃんと教科書は持ってきていることは把握している。

なくなったタイミングを予想するに

僕が用を足している時に仕掛けたのだろう。


犯人はおおよそ想定できる。

いや、最早隠す気すらないみたいだ。

机が隙間すらなくピッタリとつけられている。

それが何よりの証拠だ。


『灯さんや。やったやろ?』

「ん?なにを?」

ふふ…きれそう♪


『僕の教科書「え!真城くん教科書わすれちゃったの!?」』

このアマァ〜

でも、きれない。僕は慈悲深いんだ。


『灯ちゃん。僕ね今すっごく怒ってるんだ!でも、今返してくれたら許しちゃう!僕は寛容なんだ!』

「返すってなんのこと?私わかんない〜?」

『はは!灯ちゃんの脳みそはコアラさんと同じなのかもね!』

「そんな、コアラさんみたいに可愛いよ!なんていきなり言われても恥ずかしいよー!」


うん。我慢の限界!時間もそろそろやばいし

ここらで仕掛けるか。

『灯ちゃん僕ね、言ってなかったんだけど特技があるんだ!!灯ちゃんに見てもらいたいんだけどいいかな?』


「えー!なになに!!みせてみせて!!」

キラキラ目を輝かしやがって…

余裕でいられるのも今のうちだぞ。


『それはね…』

灯ちゃんの座っている椅子に回り込む。

いまだ!!!


『瞬間移動ーーー!!!』

灯ちゃんの椅子の脚をしっかりホールドし

一度持ち上げてから安全に僕の体ごと回れ右をする。

「きゃ!!?」


今までの行いに反して可愛らしい悲鳴ですこと。

少し申し訳ない気持ちになるがそっちが仕掛けてきたんだもんね!仕方ないね!


悠長にしている時間はない。

どうせ引き出しに隠してるんだろう?

さぁ、出ておいでかわいいかわいい

僕の教科書ちゃん。


……なん…だと……

机の中を全部出し確認する。

ありえない…


そこには一人分の教科書しか存在しなかった。

ばかな…ありえない…

「あーー…びっくりした〜!いきなり何するの!さすがの私も怒るよ!!しかも机の中身まで全部出しちゃって!そろそろ授業始まるのに急いで片付けなきゃじゃん!」


灯ちゃんがプリプリ怒る。

どういうトリックを使ったのだろう…

しかし部が悪すぎる。

とりあえず今は謝らないと…


『その…ごめん…もしかしたら灯ちゃんが持ってるのかと思っちゃって…』

「疑ったの?ひどいよ…」

灯ちゃんが泣きそうになる。


『ご…ごめん!!疑ってしまったことは謝るよ!本当にごめん…』

これは僕が悪い。どうみても僕が悪いだろう。

少し過剰に疑いすぎたのかもしれない。

灯ちゃんには申し訳ないことをしてしまった。

素直に反省しようと思う。


なら、教科書はいったいどこに…

と言う疑問は残るがまずはこの場を凌がなくてはならない。


「すごく傷ついた…本当に傷ついたのに…謝罪だけなんてひどいよ…」

確かに…これは僕の落ち度だ…

こうなったらこの手しか…しかし…いいのか…


「ひどいよ…ひどいよ…」

いや、灯ちゃんは今泣いているんだ!怯えるな!

進め!心臓をささげよーー!!


『なんでもいうこときくから!!!許してください!!』

言ってしまった…


「そっか〜なんでもね…うん!わかった!今回は許します!でもまた同じことしたらダメだからね!今度は籍…まちがえた…とりあえずダメだから!」

うん。絶対もうしないよ。

だって籍入れるつもりだもん。

今度やったら。


『ありがとう〜それでさ、おこがましいとは思うんだけど…教科書見せてくれないかな?一緒に』

「もちろん!それなら早く机の物しまわないとね!」

『ありがとう…灯様様です。僕も筆記用具とノート準備…』


その刹那、真城に電流走る。

原因は前の席の沢田さんの机の中が遠目にみえたからである。

彼女机の中には明らかに今日の授業量には見合わないほどの教科書っぽいのが見えた。

しかもずっと笑いを堪えている…


まさか…まさか!?


『沢田さん!!!まさか君が…』

僕の言葉はチャイムの音でかき消される。


その音を聞いて隣の少女と前の少女は微笑み合うのであった。

まるで何か勝ち取ったようなそんな微笑みであった。

まだまだ始まったばかり。

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