『きらめく』
外堀を埋めるってのは1番手が掛かるけど
1番効率的だよ
僕の親友になり得た少年は
遥か遠くに行ってしまった。
その代わりに僕のことを執拗に付け狙うハンターが襲来したのである。
選ばれたのは灯ちゃんでした。
「よろしくね!真城くん♪」
『…あ…うん…よろしく〜…』
明るい彼女とは対照的に僕は消極的な返事しかできない。
当たり前だ。
目の前にあった平穏という名の幸せを掴んだ矢先に
全ての幸せが僕の手元からなくなったのだから…
こんなことなら最初から希望を持たせないでほしい。
やっぱり神様なんていなかったね…
灯ちゃん…僕は君のことを幸せにすると言ったけど灯ちゃんも僕を幸せにすると言ったよね?
それがこの仕打ちなのかい?
「あれ?さっきの男と話してる時より元気ないね?もしかしてだけど…私が隣にくるの嫌だった?」
あまりの恐怖にビクッと反応してしまう。
声の圧がすごい。
緊張で喉が渇く。
『い…いや…その…』
「いや??????」
『ちが!?いやってのはそういう意味じゃ…』
「じゃあどっち?」
『とっても嬉しいです…はい…』
「え?聞こえないなぁ?もっと大きい声で言ってくれないと…あと、誰と一緒になれて嬉しかったの?」
詰将棋のように追い込まれる。
遥か遠くにいる親友に目で助けを求める。
…助けて純ちゃん…
僕の願いは届かず親友は呑気に隣の子と雑談してやがった。
いいなぁ…僕とは大違いだ。
純ちゃんのこと、ちゃんと後から苦しめるからね。覚悟しとけ(理不尽)
頼みの綱も切れた。
もう選択肢は一つしかない。
『……灯ちゃんと…隣になれて…嬉しいです…』ボソッ
「え〜?なんて?もっと大きい声でもう一度言って。」激圧
『灯ちゃんと!隣になれてすっごくすっごく嬉しいです!!!!』クソデカボイス
ヤケクソ気味に言葉を発する。
周りが静まり返る。
「真城くん…そんなに喜んでくれて嬉しい…でも、そんなに大きい声で言われたら少し恥ずかしいよ…けど私も答えないとね!私もとっても嬉しいよ!!」
恐喝罪と強要罪。彼女を一度牢屋にぶち込めないか少し考えてしまう。
彼女の返答を皮切りに周りがざわめき立つ。
「きましたわーーー!!!やっぱり2人はできてるんですわーー!!激アツですわ〜!!」
「さっきはいくじがないって馬鹿にしてごめん。安土…お前がナンバーワンだ。」
「私も恋愛したいーーー!!よっ!お幸せに御二方!!」
だから付き合ってないんだって…
もうツッコムのも疲れた。
あと、沢田さん。ほぼ君のせいだからね(激怒)
ずっと笑ってるけど。
君に好きな人ができたら応援してあげるね(善意)
周りの人にもたくさん協力を仰ぐね(悪意)
にがさねぇからなぁ…おい(復讐)
阿鼻叫喚。興奮おさまらない教室を止めるようにパンっと音が鳴る。
「おいお前ら!少し静かにしろ!」
先生が一喝する。
「盛り上がるのは結構だが周りのクラスのことも考えなさい。」
クラスの熱が収まる。
先生がこの地獄から救ってくれたメシアのように感じる。
「安土。黒蜜。それはそれとしておめでとう。学生であるうちは節度ある付き合いをするように。以上。学級委員長号令!」
やっぱり救いはなかった。
救いはないのですか〜
ありません!!




