『バイバイブレザー』
ポテンシャル秘めてる人間が本気出したらやばいって本当にわかんだね。
無事、連絡先交換イベントを終え、灯ちゃんとの雑談タイムを繰り広げていた。
僕が聞いた内容は、主に趣味などのあたり感触のないこと。逆に彼女からは、うちの家族構成や今までの恋愛経験。今日、女子と何を話したかなどであった。
質問内容の温度差で風邪ひくわ。
まぁ、別に隠すこともないので質問には丁寧に対応した。
少し冗談で『女性経験は、想像に任せるよ!』と言ってしまった時はこの世界とのお別れを感じた。
女性関係の冗談はダメ絶対。
趣味については、やはり灯さんは読書やアニメ鑑賞などが趣味みたいで今はパソコンやスマホで観れるから捨てられることがないと笑顔で答えていた。
不憫でならねぇ…
絶対幸せにしてやるからな…
覚悟の準備をしてください!!あなたは救われるべき人です!!友達に囲まれながら青春を謳歌するのを楽しみにしていてください!!いいですね!!
それと、会話の中で一つだけ腑に落ちないことがあったが…それはおいおい探ってみることとする。
そうこうしていると、目的地である我がマイホームに辿り着いた。
うちはごく平凡な一軒家である。
それと言って面白みもない。
しかし、隣の彼女をみるとそんなことはないみたいだ。めちゃくちゃ嬉しそう。
あと、「ここが私の新しいお家…」とか言うのは控えて欲しい。いつでも来ていいと言ったのは事実だがそれはそれとして図々しいぞ。
まだ結婚もしとらんのに。
好きな人にはガンガンいこうぜタイプなのはわかってきたが、もう少し他の作戦も採用して欲しい。
パーティ全滅すっぞ。
あと、僕婿養子じゃないんだ…と、めちゃくちゃツッコミたかったがなんか、それはそれで怖いのでスルーした。
「待ち合わせ場所は、真城くんの家にしようね!私の通学路の通り道でよかった…これから毎日一緒だね!時間は何時がいい?」
『了解!時間は7時半でどうかな?それなら学校にも30分前には確実に着くし。』
「うん!なら、その時間でよろしくね!」
本当はもっと寝ていれるが彼女はあまり家にいたくないだろうし仕方ない。
あと、社会人経験のおかげで早寝早起きが身についていたのであまり苦ではない。
社畜様様だな。
「それじゃ、今日はこれで…」
彼女は言葉を皮切りに帰路へつこうとする。
待っていたのはこの瞬間。
やっと言ってみたかったことが言える。
刻むぜ青春の一歩。
『送って行くよ。できれば君を見送りたい。迷惑かな?』
でました!!迷惑かな?
これが言いたかった〜
くぅーなんかかっこよくない?
本当はあがっていきなよも言いたかったが…
それは掃除してからだモンニ!!
リセッシュしまくってから部屋入れるわ!
あ、でも逆にしすぎると臭くなるみたいだから皆さん気をつけてね。これだから非リア充は。
「でも…」
遠慮するのは知ってたさ、でもね仕留めるよ。
『これから朝迎えにきてくれるんだよね?だからさ帰りは僕に見送らせてほしいかな?等価交換だよ。僕のお迎えあげるから君の見送りをくれ!』
彼女は驚きながらけど少し嬉しそうに「うん!ならこれからもお願いね!」と答えた。
マーベラス!ミッションコンプリートや!
勝鬨上げろ!わっしょい!わっしょい!
「うちあがっていけよって言われると思った…」
おい、ボソボソ言ってるの聞こえたぞ。
台無しだよ。
てか、あまり隠す気ないだろ。
そこはまだ一緒に帰れることだけで喜んでくれよ。
やっぱりかなり図々しいなこの子。
『じゃあ、灯ちゃんのお家に行こっか!』
「うん!あ、それでよかったら『あがらないからね。』ぐぅ…」
絶対言うと思ったよ。
これでも身体は思春期の真っ盛りの男の子なのよ。
警戒心を持ちなさい。俗物め。
でも、反応は可愛かったな…
たまにだけど意地悪しちゃいたいなぁ〜
と、少し変態チックなことを考えてしまった。
それから特段何もなく普通に雑談して灯ちゃんのお家まで辿り着いた。
まぁ、辿り着いたが…うん。広いなぁ〜
やっぱりお父さん売れっ子漫画家だけあるよね…
うちの何倍あるんだろう…
ちゃんと税金納めてんの?未納してない?
所得税いっぱいかけようね!!
ん。やめよう。自分が惨めだわ。
それより彼女に先にお別れの挨拶だな。
「今日はありがとね。本当に素敵な1日だった…一生忘れないよ。今日のことは、私がどれだけ歳をとってもずっと。」
先に言われたわ…未納のこと考えてたらめちゃくちゃ感謝されてるやん。はずいわ。
「私ね、少しだけ前向きに生きていこうと思う。裏切られたことばかり考えるんじゃなくて一歩踏み出してみる。だから…『踏み出したなら歩いてみな。それから走ってみな。転びそうになったり躓きそうになったら隣をみてみるな。僕がいるから。ちゃんと受け止めるから。』っ…」
本当に頑張り屋さんめ。
いい意味で真っ直ぐすぎるんだよな。
そういうところが可愛らしくもあるんだけど。
『ゆっくり一緒に歩こう。一緒に走ろう。転びそうになったら一緒に支え合おう。もし転んだら一緒に笑おう。そして、また歩き出そう。焦る必要はないし。慌てる必要もない。一緒に同じ景色を見ていこう。』
君の隣にいつも俺はいるぞ…だからよ…止まるんじゃねえぞ…
うん。なかなかいいこと言えたんじゃないか?
まぁ、何処までやれるかはさておき…僕もしっかりしないとな…本当に
『ぐふぅ!!?』
腹部に着弾!ミサイル!!衛生兵!!
「…グス…グス……」
今度はシャツもイカれたな。
ちなみにうちは制服はブレザー。
でも、朝の段階でブレザーぐしょぐしょになっちゃったから今はカバンの中。
だから、今はシャツのみ。
そして今最後の砦も突破されたよ。
ウォールマリア崩壊だ!
巨人が攻めてくるぞ〜
なんて、ことを思いながら…
優しく彼女の頭を撫で続ける。
それから5分ほど経った。
周りの人たちからは生暖かい目を向けられたり、訝しんだ目で見られたり、しねしね光線を送ってくる人もいた。
正直恥ずかしくはあったが
この羞恥が私を強くする。
「ごめんね…何度も…今度はシャツまで」
少ししゃくれた声で彼女が話す。
あんだけ泣いたらそりゃ喉も枯れるわな。
『なら、ブレザーたちに聞いてみようか!』
その発言とともに彼女から少し離れ、カバンからブレザーを取り出す。
『オッス!おらブレザー!主人の大切な人の涙を受け止めれるなんてよー!ブレザー冥利につきるぞ〜でもよ、今度は悲しみじゃなくて喜びの涙をおら受け止めてぇーなぁー!それじゃ、次回もぜってぇみてくれよな!だってさ』
彼女はポカンとしたのち
「ふふ…あははははは!!なにそれ!下手くそ!」
お腹を抱えて笑いだした。
それと同時にブレザーを持っていかれる。
もっていかれたーーーー!!!
返せよ…たった1着のブレザーなんだよ…
『あーー!!ブレザーで涙拭かないでー!!訴訟だよ訴訟!』
「あはは!ブレザーくん喜んでるもんねーー?喜びの涙だもんねーー!」
『ぐっ!?確かに…』
「ねぇ、ブレザーくんなんて言ってる?ねぇねぇ?」
『はらいっぺぇだってよ!涙と鼻水で!』
「あははは!確かに貯水タンクだもんね私のブレザーくん!」
『僕のだぞ!!!!!!』
さりげなく所有権まで待っていかないで。
民法習え民法を
「はーーー!なんかスッキリ!ありがとね真城くん!」
うわぁ急に冷静になるな!?
切り替えの速さにびっくりドンキーだよ!
「このブレザー洗って返したいから今日は私に預けてね。」
『えっ…それは』
「ブレザーくんも私と一緒にいたいって。それがダメならシャツもらうよ?半裸で帰る?」
『うちのブレザーのことよろしくお願いします。』
「うむ、承知仕った!」
シャツくん人質に取られたら無理ですわ。
次の日まわりから半裸で歩く丸刈り坊主って後ろ指たたされるわ。
ごめんねブレザーくんしばしの別れだ。
「うん。色々とスッキリした!本当にありがとね♪真城くん!よかったら今から『あがらないから』…っチ…」
舌打ちした!?性格変わりすぎじゃないかこの子!?
「なら、また明日だね!気をつけて帰ってね!絶対迎え行くから!逃げないでね!逃げても無駄だからね!ブレザーくん引き裂くからね!」
いや、根本的なもの変わってなかったわ。
ポジティブヤンデレじゃん。
どう足掻いても絶望じゃん。
『わかったよチクショーー!明日もよろしく!それじゃあまた明日!!』
「また明日ーー!!」
今日の朝からは想像もできないくらい彼女から発された声はとても喜びに満ちていた。
書けば書くほど楽しくなるね。みんなも楽しんでくれてるならいいけど…少し痛いぐらいがいいじゃない?グリーンじゃない?




