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『エマージェンシー』

二日酔いってなんであんなにきついんだろう…よく酒飲むと眠れるって人いるけどありゃ虚言だな。

ふむ。

どうしたことか…

私は悩み考える。


『あの〜灯さんや?そろそろ教室に着くのですが〜』

今の悩みの原因である彼女に声をかける。


「うん?そうだね。そろそろ入る?」

彼女はさも当然のように答える。


『あの…手を…』

そうだね。僕も早く教室に戻りたいよ。

でもね…このままだと戻れないんよ…


「手?」

彼女は首をかしげる仕草をする。


なぜかな?なんで当事者なのにわからないのかな?

僕の日本語が伝わらなかったのかな?

人様より確かに語彙力はないよ。確かに。

でもね…普通は違和感を感じるものなんよ。

ましてやみんなが待ってる教室に戻るんだから。


ねぇ、灯さんなんで


おてて…全然離してくれへんの???


そりゃあね、空き教室からここまで手を繋いできたけどさ、さすがにそろそろ離そうよ。

みんな見たらびっくりするよ。

世界不思議発見になるよ。


いや、まて、大変失礼だが彼女は今まで友達がいなかったし甘えれる人がいなかったんだ…だからきっとわからないんだ!距離感というものが!今の状態の異常性が!


よし!そうとわかれば一度手を離して説明しなければ!適切な距離感というものを!

任せて灯ちゃん!おじさん手取り足取り教えちゃうよ!!

ま、使うのは口先だけなんだけどね!!


思い立ったらすぐ行動。

僕は指に力を入れ手を離そうと…


うん…


だめだ…すごい力だ…


なんで?接着剤でもつけてるの?全くびくともしないよ?しかも手を離そうとしたら逆に力込めてきたんだけど…


「なんで離そうとしたの?」

彼女は僕を睨む。

うん。すごい迫力だ。


純粋にめっちゃ怖い!!

手もギチギチと音を立ててるし

あ、ギチギチからバキバキに変わりそう…


しまったなぁ、この説得ミスったら私の手バイバイするパターンなのか?

さすがに安いものだ腕の一本くらいなんて

小洒落たこと言えないよ私。


「なんで……どうして離そうとしたの??」


彼女は下から僕を覗き込む。

追い打ち補正まで備えている。完璧だ。

こりゃ生半可なこと言ったら本当にさよならかもな…


まぁ、彼女の境遇からすると誰かに依存してしまうのは仕方ないことだと思う。だけどね…

世の中の不条理さを君は知ってるはずだよ?

そんなに自分の都合のいいように物事は進まないんよ?

今後のためにもバシッと言わないと…君のためにもね!

おじさんが今からわからせちゃうからね!!


『灯ちゃん!手を離しな「いやだよ。」そうですか…』


いや〜無理無理!

誰だよわからせるって言ったやつ!

絶対許せねぇかんな!


すごい目つきしてくるもん。

睨みつける超えてもはや睨み殺すだもん。

防御力どころか生存機能ごと持っていきそうなんだもん。


仕方ないよ。うん。今回は仕方ない。

男真城、覚悟決めます。

このままクラスに入っちゃおーーー!!

いいもんね!いっそのこと自慢してやるもんね!

非リアどもの眼差しを一身に受け止めてやるもんね!

非リアども〜覚悟するんよ〜〜!!


覚悟を決めドアに手をかけようとしたその時。

「ふふ、意地悪しちゃってごめんなさい♪焦ってる姿が可愛くて…ちゃんと手離すね。」

そう言って彼女から手を離してくれた。


なんだよもーー!!

からかうなよーー!!!

これはこれでなんか悲しいぞー!!!

と、少し複雑な心境になったことは胸に秘めておこう。


「でも、ありがとね。手を繋いで入ろうとしてくれて。嬉しかったよ。手を離そうとしたのも私のためだもんね。変な噂とか立つとまた私が嫌な思いするかもって考えたんだよね?本当に優しい…」


いや、そこまで考えていませんでした。

いっそのこと自慢しようとしてました。

穴掘って埋まってます。


「…でも、押しに弱いんだなぁ…これからは他の人に集られないように注意しないと…」

『ん?なにかいった?』

「いや、なにも?」

彼女はあっけらかんと答えた。

なんか聞いておかないといけない発言をしたように聞こえたが…


「それより早く入ろ♪」

まぁ、追求はしなくていいだろう。

色々あったがとりあえずはミッションコンプリートだ!!

2章になるのかな?

とりあえず開始です。

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