祈り
未熟な少年たちは沢山の人と出会い、時に迷いながら成長していく。
四人の旅が始まります!!
息を整え、舞台の上に立つ。もともと目立つのは苦手でこうして多くの人を前にすると場の雰囲気にのまれそうになる。俺に崇高な目的なんてものはなかった。周りの仲間たちに引っ張られて進んできただけだった。なのに残ったのが俺だったのは皮肉なことだ。だからこそ俺は笑わなければならない、志半ばで倒れた仲間たちの分まで立たなければならない。もう子供っぽいことは終わりだ。アイツらの分まで誰かのために生きなければならない。最後にもう一度だけ深く息をついて、俺は会場の人たちを見つめた。
「今日皆様に集まっていただいたのはほかでもなく、私たちが提案した計画についてお話したいからです。都市に住む人類にとって死はもはや終わりを意味するものではなくなりました。先人たちの科学技術によってどんな病気をもある意味、克服したのかもしれません。しかし外の人たちは今だに祈り続けています。もしかしたらこの中にもその人たちを狂信者という人がいるかもしれません。私はそうは思いません。彼女を作った我々が神を否定するわけではないんです。彼女を崇拝する都市の人には彼らは悪魔のように思えるかもしれません。ですが実際には悪魔の存在自体が神の存在を証明することになるのです。彼女の存在を確かなものにするためにもどうか彼らの存在を認めていただけないでしょうか。外についても、都市についても知っている彼らだけができることもあるはずです。」
会場がざわついていた。野次でも飛んでくるかと思っていたが、誰しも思うところがあるのかもしれない。
「私はこれ以上誰も犠牲になってほしくはありませんでした。ここにいる皆さんもそうではないんですか。誰一人として人類の幸福を願わなかった人はいないですよね。もちろん彼らはそんなことを望んでいないかもしれません。これが私一人のエゴにほかならないことは分かっています。ですが私は期待せずにはいられないんです、これから生まれてくる彼らが選ぶ選択に。」
できれば毎週更新するので読んでもらえたら嬉しいです!!